伊藤 輪人 院長の独自取材記事
伊藤歯科医院
(千代田区/御徒町駅)
最終更新日:2021/10/12
JR線御徒町駅南口から徒歩5分の「伊藤歯科医院」。開業は明治時代という歴史ある歯科医院だ。4代目院長となる伊藤輪人先生は、「歯だけではなく体全体を診る」をモットーとし、幅広い治療に対応。そのためにも患者とのコミュニケーションを重視して、まずは信頼関係を築くことを心がけている。「かかりつけ医として、何でも相談してもらえる存在になれたら」と伊藤先生。治療を終えた患者と、受付で和やかに談笑する姿が印象的だった。痛みを取るだけでなく、先を見据えた根本的な治療をめざす伊藤先生に、今回は治療全般に関する話や患者への思いを聞いた。
(取材日2020年6月18日)
地域のかかりつけ医として、4代目を継承
どのような患者さんが多いですか?
患者層は幅広いです。当院は開業が明治時代ですから、おじいちゃんおばあちゃん、その娘さんや息子さん、お孫さん……とご家族で通院されている患者さんも多いんです。現在、治療は主に僕が担当していますが、僕の祖父や父が診療していた頃から通ってくださる方も少なくありません。たまに、父が昔から診ていた患者さんが、治療のためというよりは、ほとんど父と話すために来院することもあるんですよ。あとは、オフィス街という場所柄、近隣にお勤めの方が多いですね。社会人の方は転勤や移動などもあるので新陳代謝が活発で、新規の患者さんも多く来院されます。子どもの患者さんはそう多くはないのですが、ご相談があればもちろん対応しています。
子どもの頃から歯科医師になろうと思っていたのですか?
僕が生まれた時からこの場所で開業していましたから、祖父や父の背中を見て自然と関心を持つようになった、というのはありますね。僕、子どもの頃からよくここに遊びに来ていたんですよ(笑)。そういう経験の積み重ねは、この道を選ぶ大きな要因になっていると思います。あとはやはり、人と接するのが好きだからでしょうね。僕は自分からたくさん話をするタイプではないのですが、昔から「聞き上手」と言われることが多かったんです。歯科医師の仕事は、コミュニケーションがとても大切です。治療とは直接関係ない話でも、患者さんを知るという意味では重要なのです。患者さんのどんな小さな言葉にも、真摯に耳を傾けるようにしています。父も患者さんとの対話を大切にしていますし、これからも「聞く」ことで少しでも患者さんの願いに沿った手助けができたらうれしいですね。
なじみの患者さんも多いようですね。
僕の父も未だ昔からの患者さんを診ていますが、「ここには先生と話をしに来ている」と言って、僕が治療した後、父とおしゃべりをして帰る患者さんもいるくらいです(笑)。歯科医師なので、専門は歯を診ることですが、口の中を通してトータルな診療をする、いわば町医者のような役割でありたいと思っているんです。不安があれば何でも話せる、そして何かあったらすぐ診てあげられる、という点が、地域密着型歯科医院の醍醐味だと思います。患者さんには、「痛いときやつらいときはいつでも電話してくださいね」と伝えています。痛みがあるのに、次の診療日まで待たなくてはいけないとしたら、つらいじゃないですか。患者さんは、「こんな時間に」「お休みなのに」というためらいがあると思いますが、気にせず相談してもらえたらと思っています。
先を見据えた、トータルな治療を提供
治療の面で、力を入れていきたいのはどのようなことですか?
どれか一つに力を入れるというよりは、口腔内をトータルで診ることを大切にしています。大学の研修でインプラントを専門的に学んでいたため、希望される患者さんは多いですが、インプラントもあくまで治療法の一つです。お口の中の状態によって、最適な治療法をご提案できればと考えています。その際に大切にしているのが、目先のことだけでなく、将来的に1本でも多く歯を残せるような治療をすることです。例えば、食いしばりの癖があって歯が割れてしまった方にインプラント治療をしても、食いしばりによって、そのうちインプラントもダメになってしまう可能性が高いのです。同様に、歯周病で歯がダメになる人もいます。失った歯を補うのであれば、まずは歯を失うことになった根本的な原因を突き止めることが先決。根本原因からトータルで治療をすることで、治療を長持ちさせていきます。
噛み合わせのバランスが崩れている人が多いとも聞きます。
人にもよりますが、「この歯が繰り返し悪くなる」という傾向があるとしたら、その部分に力がかかりやすいなど、何かしら原因があるはずです。そこで、噛み合わせをチェックしていくのですが、やはり、一箇所だけ調整すればいいわけではなく、他の箇所も併せて調整するなど、全体的に診ていくんです。歯は毎日使うものなので、長年使っていればすり減ってきてもおかしくはありません。もし、お口の中のことで、昔と今との違いを感じているとしたら、その原因が噛み合わせということは十分考えられます。
予防の大切さも伝えていきたいところですよね。
はい。咬合の話をしましたが、虫歯や歯周病によっても咬合は崩れてきます。虫歯や歯周病を予防するには、やはり定期的にメンテナンスに来ていただくことが効果的です。特に歯周病は、一箇所だけでなく全体的に起きているはずなので、あまりに進行すると、元に戻すことが難しくなるんですね。しかし、人間は順応性があるので、例えば歯が一本くらい抜けてしまっても、慣れてしまうものなのです。そしてさらに症状が悪化してから、「これはまずいぞ」となって、歯医者に駆け込むという。それほど多いわけではありませんが、たまにそのような方もいらっしゃいますよ。その点、日頃から歯の健康に意識を向け、メンテナンスに通っている方は、少しの変化にも敏感になるようで、何かあるとすぐに来院されます。ですので、痛いところを治すだけでなく、治した後も大事ですよ、ということはお伝えしていきたいですね。
信頼関係を第一に、患者に寄り添った診療を
印象的なエピソードがあれば教えてください。
ずっと父が診ていた、昔からの患者さんがいました。治療は父にしか任せない、という人だったのですが、あるとき、父が不在のときに来院されたことがあったんです。父がいないことをお伝えすると、最初は「帰る」とおっしゃったのですが、どう見てもつらそうで……。「ちょっとでいいから診せてもらえませんか?治療させてください」と言って、僕が治療しました。すると、次にいらしたときに、僕のところに来て「本当にありがとう」と言ってくれたんです。それからは急に僕に対しての信頼度が増して、父の治療の後、帰り際には必ず僕にも顔を見せてあいさつしてくれるようになりました。治療を通して信頼を深めてくれたのがうれしくて、もう亡くなってしまったけれど、忘れられない患者さんです。
お休みの日は何をしてお過ごしですか?
家族で過ごすことが多いですね。最近は新型コロナウイルス感染症の件で学校が休校の時期もありましたから、今まで以上に子どもたちと一緒の時間を過ごすことができました。そういえば、最近、犬を飼いはじめたんです。イタリアングレーハウンドという小型犬ですが、妻がペットショップで一目惚れし、一緒に見に行ったところ、とても気に入ってしまい、わが家に迎え入れることにしました。子どもたちも友だちと遊べない時期が続いていたので、とても可愛がっています。時間さえあれば、犬と戯れている感じですね。子どもたちがもう少し大きくなったら、家族でいろいろなところへ旅行に出かけて観光地や歴史的な建造物などを見せて回りたいなと思っています。
ありがとうございます。最後にメッセージをお願いします。
トータルな診療を心がける中で、虫歯や歯周病をはじめ、審美歯科、インプラント、矯正治療、顎関節症の治療など、幅広い治療に対応していますので、まずはご相談ください。クリニックを知るきっかけはさまざまだと思いますが、大切なのは、来院された患者さんから「この人に診てもらいたいな」と思ってもらえるかどうか。僕自身も、もし病院に行くことがあれば、医師との相性は気になりますから。当院に来てくれた一人ひとりの患者さんと責任をもって信頼関係を築いていきたいと思っています。歯だけではなくて、「その人のすべて」を支えていけるような歯科医師でありたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本約30万円~、セラミック治療/10万円、矯正治療/50~80万円