柳 裕一郎 理事長の独自取材記事
やなぎ耳鼻咽喉科クリニック
(横浜市青葉区/あざみ野駅)
最終更新日:2025/09/16

東急田園都市線・あざみ野駅前にある「やなぎ耳鼻咽喉科クリニック」は、2007年の開業以来、地域に根差した医療を提供してきた。柳裕一郎理事長は卒業後、大学病院勤務を経て同院を開業し、地域のかかりつけ医として、赤ちゃんから大人まで幅広い症状に対応。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医と日本東洋医学会漢方専門医の資格を持ち、多様な治療の選択肢を持つことで、患者が通い慣れた場所で治療を完結できるよう尽力する。「常に未来志向で、時代に合わせて変わり続けるクリニックでありたいです」と意気込む柳理事長に、同院の特徴や診療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年5月28日/再取材日2025年6月20日)
1階の増床と先進の検査機器でさらに充実の診療体制へ
クリニックの特徴を教えてください。

当院は2007年に開業した耳鼻咽喉科クリニックです。めまいや耳鳴り、鼻水・鼻詰まりといった風邪症状から花粉症を含むアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、喉の違和感など、耳・鼻・喉に関するさまざまな症状を診療しており、小さなお子さんからご高齢の方まで、幅広い世代の患者さんにご利用いただいています。当院はもともとビルの2階にありますが、2024年に1階フロアを増床しました。通常の診療は今までどおり2階で行い、1階は各種検査や発熱の外来、補聴器の相談・調整、点滴の処置などで使用しています。特にめまいの検査では新しい機器を導入し、さらに体制が充実しました。また、フロアを分けたことで診療の効率化につなげるとともに、患者さんも1階と2階で分散されることで待ち合いスペースにもゆとりが生まれ、快適に過ごしていただければと期待しています。
めまいの検査・診療に力を入れているそうですね。
他科からの紹介が多いのはめまいの患者さんです。中には原因がわからないまま長年悩みを抱え続けている方もいらっしゃいます。めまいの多くは三半規管の不調によるもので、そのほか、薬の副作用、脱水、貧血、低血圧、ストレスなどが原因になることもあります。また、脳卒中や心臓病などが原因の場合は命に関わることもあり、注意が必要です。当院では、先進の検査機器を導入しており、患者さんの症状に合わせて重心動揺計や赤外線CCDカメラによる検査、眼球運動検査、vHIT(ビデオヘッドインパルス)検査などを行います。vHIT検査では眼球の動きを測定するため高速ビデオカメラを内蔵したゴーグルを装着していただきますが、従来の方法と比較して患者さんの負担が軽いことが特徴です。先進の検査機器をそろえ、迅速かつ適切な診断を心がけていますので、めまいの症状でお困りの方はぜひご相談ください。
めまい以外の領域でも、検査機器が充実しているそうですね。

精密検査のために大きな病院を受診するのは、患者さんにとって大きな負担になります。最近では、ご自身でインターネットやAIを使って症状を調べ、不安を募らせて来院される方も増えています。その不安を少しでも軽減し、できるだけ早く適切な治療につなげるため、当院ではCTやファイバースコープ、デジタルエックス線、超音波検査機器などの機器が充実しています。まずは地域医療のゲートキーパーとして、当院でできる限りの診療を行い、必要に応じて大学病院など適切な専門機関へつなぐ役割を担っていきたいと考えています。
アレルギー疾患や慢性上咽頭炎、補聴器の相談も
アレルギー疾患の診療にも力を入れていらっしゃるとか。

指先に小さな針を刺して血液を1滴採ることで、食物や植物、動物など41項目のアレルゲン反応を調べる検査機器を導入しています。採血の負担が少ないため、2歳ほどの小さなお子さんから受けていただけます。従来の検査では専門機関に検体を送るため結果が出るまで数日かかっていましたが、この検査では最短30分で結果がわかります。アレルゲンに繰り返し接触すると、より重い症状への移行や口腔アレルギー症候群など別の症状が出ることもあり、原因を突き止めて接触を避けることが重要です。口腔アレルギー症候群は、乳製品や小麦への食物アレルギーとは異なり、特定の野菜や果物などで口内や喉にかゆみや腫れが出るものです。検査によりアレルゲンを知ることが適切な治療や対策につながります。
アレルギー疾患に対する治療法について教えてください。
スギ花粉症やダニアレルギーの方には、舌下免疫療法やレーザー治療といった方法をご提案できます。舌下免疫療法は、体質改善をめざしアレルゲンに少しずつ体を慣らしていく治療法です。ただし、3~5年間、毎日薬を服用し続ける必要があります。レーザー治療は、アレルギー反応を抑えるために鼻の粘膜にレーザーを当てる方法で、治療自体は麻酔も含め30分程度ですが、個人差はあれど、1~3年はアレルギー反応の抑制が期待できると言われています。スギ花粉が飛び始める1~2ヵ月前までに治療を受けることがお勧めです。
そのほか、力を入れている診療があれば教えてください。

慢性上咽頭炎や後鼻漏という症状に対しては、上咽頭を専用の綿棒で刺激する「Bスポット療法」を行っており、この治療を希望して来院される方もおられます。また、聞こえづらさを感じて補聴器を検討されるご高齢の方が増えています。自己判断で購入される方も多いですが、補聴器はご自身の聞こえの状態に合ったものを選び、正しく調整することが大切です。購入前に、耳鼻咽喉科で検査や診察を受けることをお勧めします。当院では聴力検査などを行い、補聴器の必要性を評価した上で適切な機種のご提案や使用のアドバイスをしています。補聴器でどのように聞こえるか、試聴していただくことも可能です。補聴器は眼鏡と違い、音に慣れるためのトレーニング期間が必要ですので、まずはご相談ください。
未来志向で変化を続け、長く頼られるクリニックに
診療の際に心がけていることは何ですか。

自分が子どもだった頃、医療機関に怖い印象を持っていたので、親しみやすい雰囲気づくりを大切にしたいと思い、私を含めスタッフ全員がいつでも穏やかに接し、患者さんに不安を与えない対応を心がけています。ありがたいことに多くの患者さんと良い関係を築けていますが、混雑する時期はお待たせしてしまうこともあり、厳しいお声をいただくこともあります。特に冬〜春や花粉症の時期は非常に混み合います。私たちも待ち時間短縮に努めておりますが、感情的な言葉をぶつけられると、スタッフも人間ですから傷つきますし、周囲の患者さんも驚かれてしまいます。温かい雰囲気の中で、信頼に基づく診療を続けていきたいと思っていますので、どうかご理解とご協力をお願いいたします。
待ち時間短縮のため、予約システムを導入されていますね。
2ヵ月先まで希望の日時を指定して予約できるシステムを採用しています。10分間隔で予約でき、風邪がはやる時期などは多少お待たせすることもありますが、混んでいなければほぼ予約時間どおりかと思います。予約方法もインターネット、電話、受付で直接と各種対応していますので、次回の来院日が決まっている方は受診後すぐに予約を取るなど、柔軟にご利用いただけます。ウェブ問診やキャッシュレス決済も取り入れ、診療の効率化をめざしています。
医師をめざしたきっかけと休日のリフレッシュ方法を教えてください。

医師をめざしたのは、開業医だった祖父の存在が大きいですね。祖父が亡くなった時、たくさんの患者さんが道に並んで見送ってくださり、子どもながらに「地域の人のために尽力していたんだな」と、尊敬の念を抱きました。患者さんやスタッフと強い絆で結ばれていた祖父たちのような医師になれるよう、日々の診療に精一杯取り組んでいます。休日は、愛犬との散歩の時間を楽しんだり、スポーツジムやジョギングなどで体力づくりに努めたりしてリフレッシュしています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
常に未来志向で、時代に合わせて変わり続けるクリニックでありたいと思っています。開業から15年以上経ち、昭和医科大学藤が丘病院や昭和医科大学横浜市北部病院との病診連携や近隣クリニックとの診診連携も強固に、皆さんに頼られるクリニックをめざしています。何か気がかりなことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。