貝塚嘉信院長の独自取材記事

貝塚歯科医院

(杉並区／明大前駅)

最終更新日：2025/02/10

明大前駅から11分ほど歩いた住宅街にある「貝塚歯科医院」は、この地で50年以上地域密着の歯科医療を提供してきた歴史ある歯科医院だ。院長の貝塚嘉信先生は歯学部の口腔解剖学教室で顎関節の研究に従事した後、父が開業した同院を継承。以来30年間以上にわたって地域の人々に親しまれるアットホームな歯科医院として、対話重視の診療に努めてきた。そのやわらかな物腰や丁寧な口調からは日頃から患者に寄り添った診療を行う姿が伝わってくる。噛み合わせを重視した診療では、歯の痛みの原因を口腔内だけではなく姿勢との関連の中にまで探る。現在の診療の様子から噛み合わせ治療の意義、診療で大切にしていることなどを詳しく聞いた。

（取材日2024年12月20日）

父から継承した歯科医院で地域に根差した診療を続ける
一般歯科や予防歯科から、審美面に配慮した治療も
幅広い患者のニーズに応える診療を提供していきたい

父から継承した歯科医院で地域に根差した診療を続ける

歯科医師を志したきっかけや得意とする治療分野についてお聞かせください。

職業として歯科医師を志したのは、私にとって自然な流れでした。歯科医師だった父の存在に大きく影響されたのだと思います。父がこの場所に開業したのは1970年で、幼い頃から歯科医療に携わる父の姿を身近に感じていましたので、歯科医師になる以外の道は考えられませんでしたね。大学卒業後は歯学部の口腔解剖学教室に助手として入局し、顎関節の解剖学的な研究を行いました。また、父から当院を継いだ後に、噛み合わせの治療に詳しい先生のもとで勉強する機会にも恵まれました。そういった学びの場で得られた幅広い知識や技術は、現在の噛み合わせや顎関節症の治療に生かせていると思います。

噛み合わせの治療を重視されているのはなぜでしょう？

歯の痛みが常に虫歯のような口腔内の原因によって引き起こされるとは限らないからです。例えば口の周りの筋肉は年齢を重ねるとともにだんだんと衰えます。すると歯を噛みしめる力のバランスが均等ではなくなり、例えば奥歯に強い負荷がかかることで、虫歯がなくても痛みを感じてしまう場合があるのです。他にも頬づえをつく癖やパソコン作業中のかがんだ姿勢などさまざまな原因によって噛み合わせがうまくいかなくなり、結果的に痛みが生じてしまったりするケースがあります。ストレートネックや首・肩・腰の凝りの症状を抱えている方が歯の痛みを訴える場合もありますね。このような症例が実際に見られるため、診療においては歯の状態だけに注目するのではなく、姿勢を含む全身との関連性がないか総合的に判断していくのが重要だと考えています。

具体的にはどのような治療を行うのですか。

一方の歯は上下が強く当たっているのに一方の歯は当たっていない、というように口の中で噛み合わせに偏りがある場合には、その平均化をめざして治療を行います。例えば歯の当たっていない所のセメントや合成樹脂の不足部分を補い、噛み合わせが適切にできるように調整していきます。噛み合わせのずれによって顎関節症が生じている患者さんがいらっしゃる場合には、併せて治療します。就寝中の歯ぎしりによって歯や口周りの筋肉、顎関節に負担がかかっている場合には、マウスピース型の装置を使用することもあります。患者さんの症状によって治療方法はさまざまですね。また治療後のメンテナンスも欠かせません。人間の体は加齢に伴い筋肉が衰えるほかに、日々の生活習慣の影響を受けて変化するものなので、噛み合わせの状態を定期的にチェックする必要があります。長期的に取り組んでいく姿勢が求められる治療といえますね。

一般歯科や予防歯科から、審美面に配慮した治療も

ホワイトニングや審美面を重視した治療も行っているそうですね。

ホワイトニングについては、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの2パターンから選んでいただけます。オフィスホワイトニングは、院内で行うもので、だいたい糸切り歯から糸切り歯まで、上下合わせて行うと1時間ほどかかります。ホームホワイトニングは来院して専用のマウスピース型装置を作成した上で、患者さんにご自宅で2週間ほどホワイトニング剤を浸透させていただく方法です。女性の患者さんや若い男性の患者さんで希望される方がいますね。ご希望の方はご相談ください。審美面でいうと最近では、条件つきではありますが、虫歯の治療などに用いる詰め物やかぶせ物の材質を保険診療の範囲内で白いものにすることができるようになりました。白い材質で治療するほかにも、以前治療した部分を白い材質に替えるという対応も可能です。

治療内容や使う材料を説明するときに心がけていることはありますか。

初診でも詰め物やかぶせ物が割れてしまったと来院される患者さんは結構多いのですが、そういう場合はむしろ、自前の歯が保護できたと考えていただきたいと思っています。例えばかぶせ物は硬い材質のものもあるのですが、硬ければ良いというわけでもありません。噛み合わせは変化しているのに、かぶせ物はそれに合わせて変化するわけではないからです。そのため、あまり硬いものだと歯を支えている部分がかえって悪くなったりする場合もあります。保険診療・自費診療に関わらず、それぞれの素材には必ず利点と欠点があるものですので、それを細かく説明させていただいた上で、治療方針を決めるようにしています。

それ以外にも、先生が診療で心がけていることを教えてください。

自分はあまり器用なほうではないですし、日頃から大事にしているのは、患者さんのお話にしっかりと耳を傾けることですね。その中に治療を行う際の重要なヒントが見つけられることも多いため、お話しになる言葉をよく聞くという姿勢は日頃からとても大切にしています。そのようにお話を伺う中で、例えば噛み合わせに問題がありそうな患者さんには、お口の中だけでなく肩・腰の凝りの有無や生活習慣についても質問いたします。対話を通じて患者さんとともに症状の根本的な原因を追究していくような作業ですね。また、当院では痛みの少ない治療を心がけており、麻酔を行う際には表面麻酔を長めに打ったり細い注射針を使用したりするなどして、少しでも患者さんの感じる痛みを軽減できるように工夫しています。

幅広い患者のニーズに応える診療を提供していきたい

患者さんに寄り添う診療スタイルはどのようにして身につけられたのでしょうか？

当院に来院される患者さんは、昔からお話をするのが好きな方が多いですね。私が当院を父から継いだ当時は患者数が今よりも少なかったので、お一人に対してたくさんの時間を使えたこともあり、診療中にいろいろなお話をしていました。すると会話を通じてさまざまなことが見えてくるんです。そういった経験を重ねるうちに、話を聞く癖が自然と身についていったのかなと思いますね。また長いお付き合いの中で幸いにも患者さんとの間に信頼関係を築くことができました。実は院内に飾ってある写真や油絵は患者さんからプレゼントしていただいたものなんです。時にはうっかり話しすぎてしまうこともありますが、これからも患者さんに寄り添った丁寧なコミュニケーションを大切にしていきたいですね。

休日はどのように過ごしていますか？

釣りをするのが好きで、以前はよく海まで出かけていってアジやカワハギなどいろいろな魚を釣っていました。時には歯科医師会の先生たちと一緒に行くこともありましたね。また旅行に行くのも好きです。以前から広島県の尾道市が好きで車で12時間もかけて行ったこともあります。尾道市は好きな監督の映画作品の舞台になることが多く、それが尾道市の魅力を知るきっかけになりました。ですからもちろん映画を観るのもとても好きですね。それから読書もします。最近は感染症のことがありますので釣りや旅行は控えていますが、いつかまた行ける日を楽しみにしています。

今後の展望をお聞かせください。

幅広い年齢層の皆さんのお力になれる歯科医院でありたいですね。ウェブ予約を導入するようになってから、それがうまく機能していて、現在は30代～40代の働き盛りの患者さんが多い傾向にあります。私は以前から1歳6ヵ月検診や小学校の学校歯科医の仕事にも携わってきましたので、その世代の患者さんにもぜひいらしていただきたいですね。皆さんのお口の健康を守るために精一杯力を尽くしていきますので、少しでもお困り事があればぜひお気軽にご相談ください。