桜井 明弘 院長の独自取材記事
産婦人科クリニックさくら
(横浜市青葉区/たまプラーザ駅)
最終更新日:2026/05/13
たまプラーザ駅南口から徒歩2分。交差点の一角に構えるグレーの外壁がシックな「産婦人科クリニックさくら」は、一般婦人科と不妊治療を専門に、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療まで対応しているクリニックだ。インタビューでは、不妊治療のスペシャリストである桜井明弘院長が、さまざまな質問に的確に答えてくれた。中でも「不妊治療に関してはご夫婦間の考え方を大事に、診療を進めていきます」と、穏やかな口調で話す姿も印象的であった。桜井院長に、同院の不妊治療の方針をはじめ、開業から約20年たった不妊治療の現状や婦人科の診療に力を入れる理由など、広く話を聞いた。
(取材日2026年4月9日)
夫婦間の考えを尊重して行う不妊治療
2007年の開業からもうすぐ20年ですが、これまでの患者層の変化などをお聞かせください。

当院は不妊治療と一般婦人科診療を両輪とするクリニックで、約20年前から専門性の高い不妊治療に対応してきました。不妊治療における変化としては4年前に体外受精が保険適用になったという流れが大きいですが、患者さんの考え方の変化も感じます。開業当初は妊娠できる限界についての知識が乏しい患者さんがほとんどで、40代半ばでも治療を始めれば妊娠できると疑わずに来る方も少なくありませんでした。今はインターネット社会で情報を集めやすいことなどから、患者さんの妊娠に対する知識が変わってきています。どの年代の方も、不妊治療を考えて受診される方は知識が豊富で、意識も高いですね。そういった中で保険適用になったことで、金銭面が理由で不妊治療に進めなかった若い世代が治療に進みやすくなり、国の施策としては功を奏していると思います。
こちらではどのような治療に対応していますか?
不妊治療は主にタイミング法・人工授精という一般不妊治療と、体外受精・顕微授精という生殖補助医療に分かれますが、当院ではどちらにも対応しています。院内に胚培養室もあり、高度な不妊治療を行える体制が整っています。一般の婦人科では生理不順や生理痛、おりもののことなどで受診される方が多いですが、婦人科のトラブルは何でも対応します。院長は男性の私ですが、女性医師が3人おり、基本的に毎日女性医師が勤務していますので、男性医師には言いにくい症状などは女性医師を指名してご相談いただくこともできます。体外受精は私が担当しますが、一般不妊治療は女性の先生でも対応していますので、こちらもご相談ください。
診療方針を教えてください。

不妊治療に関してはとにかくカップル間、ご夫婦間の考え方を尊重して診療を進めていきます。結婚したばかりのご夫婦が非常にカジュアルに妊活の相談にいらっしゃる場合もありますし、年齢が上になってきているので早く体外受精に取りかかりたいという方も来ます。ですので、患者さんのお考えや価値観に合わせて行っていくことを大事にしています。例えばがんなどの病気であれば、この検査を受けて抗がん剤治療をして……と、お金はかかるにしても、命に関わることですから皆さん同様の選択をされるかと思います。一方で、不妊治療は患者さんの価値観に合わせて選択していくことができるものです。妊娠したいというベースは同じですが、それに対する切迫感は人によって異なります。ですので、治療もそれぞれの形を模索していくこととなります。難しいところではありますが、患者さんの本当に考えていることを探りながら治療を提案していきます。
出産まで考慮した不妊治療。婦人科診療と両輪で進める
先生は、妊娠した先のことも考えた不妊治療に取り組まれているとお聞きしました。

不妊治療は妊娠することがもちろん目標なのですが、妊娠を継続し、出産まで考えた治療であるべきだと思っています。例えば、不妊治療中におりものの検査を行いますが、そこで不妊や流産につながる問題が見つかることがあります。知らずに経過してしまうと妊娠の継続にも関わってきます。妊娠中に子どもの育ちが悪かったことで、初めて甲状腺の異常がわかるというケースも。先に甲状腺の異常がわかっていればもっと早くに治療ができ、患者さんの悩みを減らせたのではないかと思うのです。甲状腺のほかに、高血圧や糖尿病も妊娠・出産に関わりますから、当院では検査をして同時並行で治療を進めることもできます。そういった面からも不妊治療を「ただ妊娠ができればいい治療」とは捉えていません。
婦人科全般の診療を行っている理由にもつながるのでしょうか?
当院で不妊治療と一般婦人科診療を両輪としてきたのは、これまで不妊治療に携わる中で、子宮内膜症や子宮筋腫など妊娠前から患っている病気を早くに治療できていれば、軽い状態から不妊治療を進められたのにと思うことがあったからです。例えば、子宮筋腫は術後6ヵ月間は避妊しなければなりません。数年不妊に悩んできたご夫婦が、さらに6ヵ月待たなければならないとなったときの心労はとても大きいです。ご自身に子宮筋腫があることを知っていれば、妊活に照準を合わせて治療を行えて、その心労を減らすことができたはず。だからこそ、婦人科の診療も大事にしています。
診療の際、特に気をつけていることはありますか?

診療に対して痛いとか怖いといった印象を植えつけないように気をつけています。婦人科が初めてという方に対しては無理に内診などの診察をすることはありません。高校生でも生理痛がひどければ内診をして子宮や卵巣の様子を確認することは大事なのですが、ご本人やご一緒に来られたお母さんの希望に沿った診察をしますので、ご安心ください。
子どもを願う患者の希望をかなえていきたい
先生はこれまで不妊治療に対してどのようなご経験を積まれてきましたか?

もともと順天堂大学で不妊治療を専門とするグループに配置され、体外受精を含む不妊治療に携わってきました。同じグループが、開腹せずに腹部に穴を開け、腹腔内にカメラを入れて行う腹腔鏡下手術に力を入れていたことで、不妊治療とともに子宮筋腫や子宮内膜症などに関しても経験を積んできました。その後、大学から関連病院に出向という形でいくつかの病院に勤務し、一般不妊治療を行ってきました。そうした経験を踏まえて、一般婦人科をはじめ、不妊の検査や一般不妊治療、生殖補助医療にも対応できる当院を2007年に開業し、今に至ります。
今後の展望として考えられていることはありますか?
クリニックの展望とは少し違うかもしれませんが、少子化の進行は非常にかんばしくない状況です。先進国家で女性が子どもを産まなくなるのはどこの国も同じなのですが、日本はそのスピードがとても速いです。それは未婚率が高くなり、晩婚化、晩産化が進み、産めなくなっている女性が増えているからだと思うのですが、結婚したくない人に押しつけることはできません。ただ、子どもを産みたい方、子どもが欲しい方の望みはかなえてあげたいと思うのです。先ほどの質問の答えにも挙げましたが、当院が婦人科にも力を入れているのは、将来不妊の原因となる可能性が高い婦人科疾患について患者さんに知ってもらい、患者さんの人生を考えながら治療を進めていくためでもあります。婦人科の診療の際に、将来子どもが欲しいという相談も気軽にしていただけます。希望する方が、早くに赤ちゃんを抱けるように、これからもこの地域での診療を担っていきたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

悩んでいるのでしたら一度相談に来てほしいです。来ていただければ、ご自身が今どういう状態なのか知れますし、不妊治療に関するおそらく皆さんが知らなかった話も聞けると思います。気になっていることや不安に思っていることをご相談ください。当院はご夫婦間、カップル間のお考えを大事に、治療のステップアップに関しても患者さんのご希望に沿って進めていきます。基本は予約制ですが、予約外でも受けつけていますので、時間ができたタイミングで気軽にいらしてください。

