鎌田 秀樹 院長の独自取材記事
鎌田歯科矯正クリニック
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2024/11/18

湘南・藤沢駅から歩いて3分ほどの場所にある「鎌田歯科矯正クリニック」は、看板どおり、矯正に特化したクリニック。日本でワイヤー矯正が行われるようになった黎明期から研究に取り組んできた鎌田正毅先生が1975年に開業。その背中を見続けてきた息子の鎌田秀樹先生が、2024年5月に2代目院長となって同院を継承した。矯正は、経験値がそのまま歯科医師の実力になるという。長年のキャリアの中で数多くの症例を手がけてきた正毅前院長の経験とノウハウを引き継ぎ、藤沢という地で地域の人々に向き合っていく秀樹院長。「患者さんの納得と喜びを最大限に重視しています」とにっこりほほ笑む秀樹先生に、歴史ある同院がこれからめざす道筋について話を聞いた。
(取材日2024年10月1日)
安心して受けてもらえる矯正治療を
こちらは藤沢でおよそ50年にわたって矯正専門のクリニックを運営され続けているそうですね。

はい、父が藤沢駅南口の石上地区に1975年に開業しました。当時、この地域の矯正専門の歯科医院はまだ珍しかったと思います。わが父ながら、矯正治療に熱心に取り組む姿を子どもの頃からかっこいいなと思いながら見てきましたし、矯正に使うワイヤーをおもちゃみたいに触りながら育ってきたので、扱いも熟練してきたようなところがあります(笑)。そうして私も矯正を専門とする歯科医師になり、父とともに診療を行い、2013年に現在の場所に歯科医院を移転。2011年の東日本大震災の際、建物の安全性に不安を覚えたのが移転のきっかけでした。長らく父とコンビを組んで患者さんの矯正と、後進の矯正歯科医の指導に従事し、2024年5月から私がこのクリニックを継承し院長となりました。
前院長から継承されて、変化したことと、変わらず追求していきたいことを教えてください。
患者さんとのコミュニケーションの取り方が大きく変わったかなと思います。私自身、矯正治療を受けてきた身でもあり、小さな子どもを持つ親でもありますので、よりリアリティーを持って患者さんの立場に立つことができていると思います。その上、当院には父の代から約50年に及ぶ、安定してきれいに治していくためのノウハウがあります。患者さんにさまざまな選択肢を提示し、難しい矯正の症例でも適切に対応できるのは、歴史があればこそ。また、当院は診療ユニット4つに対して歯科医師4人、歯科衛生士などのスタッフを含めると10人常勤しています。これだけのメンバーでクリニックを運営するからこそ、患者さんとしっかりコミュニケーションを取りながら、きめ細かな診療を行うことができているのだと思います。
どのような患者さんが通われていますか?

いわゆる一般歯科ではなく「矯正専門」の看板を掲げていますので、まさに矯正とそのご相談の患者さんですね。ありがたいことに年代や属性的には、下は7歳から、小学生、中高生、20代の若い世代から40代50代以上まで、本当に満遍なく多くの患者さんにご来院いただいています。お子さんの矯正に毎月付き添ってこられた親御さんが、歯並びやそれに伴う健康的なメリットに意識的になられて、ご自身も矯正に興味を持つようになるというケースも結構あります。
矯正は健康に対してもプラスの影響が期待できる
診療の際に大切にされていることについて教えてください。

歯の今の状態をしっかりと患者さんと状況共有し、患者さんにマッチした矯正の仕方を選んでいくことですね。患者さんの歯の現状を検査し、適した矯正法の選択肢をご提案し、治療していくのはプロとして当然のこと。そして、それをいかに理解していただくかという点に、とにかく力を入れています。当たり前のことですが、ゆっくりはっきりお話しし、「言ってそれでおしまい」なのではなく、うまく伝わっていないようであれば、同じ内容を繰り返しかみ砕いて説明します。矯正は短期間で終わるものではないですし、良質な咬合をめざすためには歯科医師の力だけでなく、患者さんの協力も欠かせない治療です。ですので、いかに満足してもらえるか、どれだけ安心して取り組んでいただけるか、という点にはとにかく時間をかけています。
こちらでは、さまざまな矯正法に対応されているそうですね。
当院では、歯の重なりが多い状態である乱ぐい歯、出っ歯、受け口、深い噛み合わせ、上下の前歯の間が開いている開咬、口元の突き出した状態に加えて、顎が変形していることで手術を併用する保険適応の顎変形症治療、口唇口蓋裂や先天異常の方の矯正治療などの多様な状態の治療に対応しています。また当院では難易度の高い症例に対して必要に応じて「歯科矯正用アンカースクリュー」を用いた矯正法を選択することもできます。これは歯肉とそれを支える歯槽骨に小さなスクリューを植立し、そのスクリューを固定源として歯をけん引する方法です。スクリューを打つ位置の判断やけん引の仕方に高度な技術が要求されますが、開発前では対応できなかった高難易度の症例も治療できるようになったり、抜歯しないといけなかった症例を非抜歯として治療できる場合もあり、治療の幅が各段に広がったと思います。こうした技術を備えているのも当院の大きな強みですね。
他には、どのような矯正を提供されていますか?

マウスピース型装置を用いた矯正も行っています。とても目立ちにくいので近年装置の見た目を重視される患者さんからのニーズがより高まってきている矯正法だと思います。ただ、自由に取り外しできる装置であるため1日20時間ほど装着し続けてもらう必要があり、自己管理がしっかりできる方でないとお勧めしにくいですね。また歯並びによってはマウスピース型装置では思うように歯が動かなかったり、口元が突出している場合、歯並びを矯正しても顔立ちに悪影響が出るケースもあるため、誰にとってもベストな方法とはいえません。そこで、適した症例か判断する力がとても重要であり、歯科医師が矯正方法を適切に判断できる知識と技術を持ち合わせているかも、クリニック選びの一つの基準としていただくといいと思います。
未来を見据え、診療のデジタル化と後進の育成に注力
虫歯や歯周病は痛みなどの自覚症状が受診のきっかけですが、矯正は何がきっかけで受診されるのでしょう。

歯並びのがたつき、見た目のバランスの悪さが気になって受診される方がほとんどです。しかし矯正というのは「見た目」を良くすることだけを目的に行うものではないんですね。噛み合わせに不具合があると虫歯や歯周病のリスクが高まります。きちんと噛み合えば、特定の歯への負荷やダメージの軽減が期待できます。そして何より磨きやすいので、毎日の歯磨きでも磨き残しが少なくなることが期待できます。歯のお手入れは毎日の積み重ね。お年を召したときに自分の歯で食事をしたいのであれば、きちんと正しくケアすることが重要で、そういう長期的な視点で考えても、矯正はお勧めです。それに口元を気にすることなくいつも幸せに笑えるようになれば、人生は変わります。これまでたくさんの矯正を手がけてきたからこそ、そこは自信を持ってお伝えしたいことですね。
今後、力を入れていきたいことはありますか?
矯正というのは、30年、40年先の自分の未来に関わることですから、何か不調があればすぐに来ていただいて調整できなければなりません。なので安定して診療を継続していくための仕組みづくりはしっかり行っています。例えば、診療のデジタル化もその一つ。先進の口腔内スキャナーを活用して、時間をかけずに型採りを行うなど、患者さんの快適性を重視した設備や環境は整えているつもりです。あとは人材育成ですね。矯正治療は手技が重要ですので、高いレベルの手技や知識をスタッフにも身につけてもらい、安定して良質な治療を提供できる仕組みを確立していきたいと思っています。
では最後に、地域の方々へのメッセージをお願いします。

私自身、小さい頃から矯正治療を受けてきた経験があり、患者さんが多くの疑問を抱えて来院されることは十分理解しています。当院は約50年間藤沢という地域に密着しながら診療を行ってきました。これからも引き続き、当院に来てくださった皆さまが健康に暮らしていくためのお手伝いをできればと考えています。ご来院いただいたからといって、無理に矯正を推し進めたりすることはありません。親切心をモットーに診療していますので、ご家族みんなで納得していただいた上で、取り組んでいただけたら幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正相談料(初診料)/2000円、検査・診断料/6000円(検査2回と診断時の計3回で合計1万8000円)、子ども矯正/1期矯正30万円、2期矯正/マルチブラケット装置を用いた矯正:30万円、マウスピース型装置を用いた矯正:50万円、成人矯正/マルチブラケット装置を用いた矯正:55万円、マウスピース型装置を用いた矯正:75万円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。