荒井 孝仁 院長の独自取材記事
荒井歯科医院
(岐阜市/名鉄岐阜駅)
最終更新日:2021/10/12
名鉄岐阜駅から徒歩5分ほど、大通りから少し奥に入った住宅街の一角にある「荒井歯科医院」。院長の祖父から3代、86年にわたってこの場所で診療してきた歴史あるクリニックだ。明るい笑い声とともに迎えてくれたのは荒井孝仁院長。「この仕事が好きでしょうがない」と語る。本人は「ただ子どもが好きだから」と話すが、小学校でのブラッシング指導などにも熱心で、高齢者への訪問診療など地域医療にも長年貢献している。本来の歯を残すことを主眼に置いた丁寧な診療で、予防への意識の高い患者も多く通う。小児歯科を専門とする妻、モチベーションが高く明るいスタッフとともに、気軽に通える怖くない歯科医院づくりに取り組んできた。プライベートではフルマラソンも楽しむ活動的な荒井院長に話を聞いた。
(取材日2019年1月21日)
子どもや高齢者の歯を守るため、地域医療にも貢献
こちらではいつから診療をされているのですか。
私の祖父が開業したのが1933年ですから、86年の歴史があります。当時、歯科医院の開業はこの辺りではかなり早いほうだったと思います。岐阜市は城下町として栄えた街で、当院の裏にある公園も昔は市場でとてもにぎわっていたんですよ。私はここで生まれ育ってきましたが、駅前はずいぶん様変わりしましたね。ずっとこの場所で、祖父から父、私へと3代にわたって診療してきました。私は、日本大学歯学部を卒業してから数年間経験を積んだ後、小児歯科を担当する歯科医師である妻と一緒にこちらに帰ってきて2000年に父の後を継ぎました。その時から、もうすぐ20年になりますね。
長い歴史のあるクリニックですが、患者さんはどういった方が多いですか。
祖父の代から、代々家族で通ってくださっている患者さんも多いです。年齢層は小さなお子さんからご高齢の方まで幅広いです。通院の方だけでなく、ご高齢で寝たきりの方などへの訪問診療もかなり多いですね。やはり何十年もずっと通ってくださっている方が多いので、通院が難しくなっても引き続き訪問して診療しています。患者さんの主訴はさまざまですが、予防の意識の高い方は多いです。祖父の代から、自分の歯をできるだけ残すこと、そのために定期的にメンテナンスをして予防するという治療方針だったので、患者さんにもそれが根づいているように感じます。新しく来られる患者さんもご紹介の方が多いので、できるだけ自分の歯を残したいと考える方が多いですね。
小学校の学校歯科医として先生のことをご存じの方も多いそうですね。
小学校へのブラッシング指導にはよく行っています。学校へ行って啓発活動をすることで生涯自分の歯で過ごせる子どもたちが増えていけばと考えています。熱心に予防される親御さんは増えてきましたが、中にはさまざまな理由でお家では十分なケアがされていないお子さんもいます。そんなお子さんたちにとっては、健康を守るためにも特に学校は貴重な場となるので続けていきたいですね。こういった活動は、地域への貢献というよりも単純に私自身が子どもが大好きなので続けているのだと思います。普段の診療中でも子どもの患者さんを見ると遊んでしまうので妻に怒られるくらいなんです(笑)。
自分の歯を残す治療と予防に力を入れる
普段の診療で心がけていることはありますか。
本来の自分の歯を残せる治療をすることですね。いくら良い材料で補っても、神経につながっている本来の歯に勝るものはありません。しかし、悪くなりかけている歯を残していくためには患者さんの努力も必要です。治療前に写真とエックス線を撮って今の状態をご説明し、歯の表面が黒くなっていても、虫歯だからとすぐに削らずにレーザーで歯の状態を測定し、定期的に観察していきます。メンテナンスをしていくとその数値も変動し頑張った成果が見えるので、患者さんのモチベーションにもつながります。患者さんご本人がどんな治療をしたのかわからないということがないように、治療後にも写真を撮って治療前と見比べてもらい納得していただくことも心がけています。
小児歯科やスポーツ歯科など専門的な分野についても聞かせていただけますか。
小児歯科は、妻が担当しています。自身の子育て経験からも、親御さんの気持ちに寄り添った具体的なアドバイスができますね。私はスポーツ歯科について専門的に学んでおり、マウスガードの作製で地元のスポーツクラブの選手などスポーツをする方を安全面でサポートしています。マウスガードはその人に合ったものを作製するのですが、体調によって使い分けする人もいるほど、精密さが必要とされます。けがの防止に役立つものなので普及を進めていきたいですね。高校生の選手には、マウスガードを通じてスポーツドリンクの取り方など歯の指導もしています。選手にとってはしっかりと食いしばることのできる健康な歯が大切ですが、ドリンクの糖分によって歯がぼろぼろになってしまう人もいるんです。
設備面のこだわりなどはありますか。
気持ち良く治療を受けてもらいたいので、衛生面にはこだわって設備を導入しています。治療に使う器具は滅菌パックに入れて高圧蒸気滅菌をして、患者さんごとに開封して使用しています。また、最近では診療チェアを一新しました。治療で使う水が常に消毒された状態で出てくるので、衛生面に配慮できるのが特徴です。また、お湯も使えるため歯を削る時などに痛みが和らぎやすいというメリットもあります。バキュームのパワーも強力で、お口の中に水がたまりにくくなるのも患者さんにとってメリットですね。大きな投資だったので迷ったのですが、患者さんにお見せすると「エコノミーからビジネスに変わった!」と喜んでくれたので変えて良かったと思います(笑)。
スタッフの明るさと気遣いが予防のモチベーションに
スタッフの方はどんな雰囲気ですか。
歯科衛生士の応対にはいつも感心させられます。歯科衛生士は担当制なので、患者さんのことをよく把握しており、雑談からも患者さんの性格やご希望をくみ取り、「頑張ってメンテナンスを続けていこう」と思ってもらえるように声をかけるのが上手ですね。どんなお話をしたかなどカルテと一緒にメモも残してくれていて、万が一自分が休んだ時も同じ対応ができるようにしてくれていることなど、きめ細かな配慮にも助かっています。明るくて優秀なスタッフが集まってくれていますが、実は私は面接をしたことがないんですよ。患者として来てくれていた人が歯科衛生士になって就職したり、歯科衛生士学校からの研修やアルバイトからそのまま就職したり……。産休をとっても戻ってきたいと言ってくれるのでありがたいですね。
今後の展望を聞かせてください。
学校や、マウスガードを通じた子どもたちへの活動が10年後、20年後の成果に結びつけば良いなと思います。ただ、小学生の間は親も熱心だったのに中学生で部活で忙しくなったり、高校生になると医療費がかかるようになることでパタッと口腔ケアが止まってしまい、悪くなってから来院されることがよくあります。定期的なケアを続けられるようにすることが課題ですね。私自身は、まだまだ技術を磨き勉強を続けていきたいですね。歯科医師になったのはどこか祖父や父の期待を感じていた側面もありましたが、実際に自分で始めてからこの仕事の奥深さを知り、今はこの仕事が好きで楽しくてしょうがないんです。患者さんとお話しするのも好きで、父にも「よくしゃべるなぁ」と言われていました。常に動くかしゃべるかしていないといけないタイプなんです(笑)。
読者へのメッセージをお願いします。
子どもが歯磨きをなかなかしようとしない、とお悩みの親御さんも多いと思いますが、私自身の子育ての経験からも家族みんなで取り組むことが大切だと言えます。親御さん自身は食べたらすぐに歯を磨いているでしょうか。その姿を見ると子どもも自然と磨くようになります。また、静かにさせたいからといって親がむやみに甘いものを与えたりしなければ、大きくなってもお菓子ばかりを欲しがったりはしないでしょう。子どもに限らず定期的なメンテナンスは大切です。歯は痛くなってからだと治療もつらくなりますし、特に歯周病は進行中は痛みがない場合もあるので痛みが出た時には歯を抜かないといけない状態になっていることもあるのです。歯科医院は怖くて嫌なイメージをお持ちの方も多いと思いますが、こちらに来ていただいたらイメージは変わるかもしれません。ぜひ気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスガード作製/高校生まで5000円、成人8000円