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高橋 寛 院長の独自取材記事

昭和大学藤が丘病院

(横浜市青葉区/藤が丘駅)

最終更新日:2019/08/28

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藤が丘駅からすぐの場所に位置する「昭和大学藤が丘病院」。1975年に昭和大学の2番目の教育病院として開設され、以来41年にわたって横浜北部地域の中核病院としての役割を担ってきた。救命救急センターを併設し、横浜市北部はもとより川崎市北西部、町田市など隣接地域をカバーする救急医療施設として機能するほか、神奈川県災害拠点病院、横浜市小児がん連携病院、神奈川県がん診療連携指定病院として、専門的かつ高度な医療を提供。その一方で、近隣の病院やクリニック、医師会と連携しながら地域に根差した診療を展開し、地元住民から親しまれ、信頼を寄せられている。がんとメタボリックシンドロームの克服を大きな目標に掲げる同院の取り組みについて、高橋寛院長に話を聞いた。
(取材日2016年5月13日)

がんとメタボリックシンドロームの克服をめざして

まずは病院の成り立ちをお聞かせください。

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当院は、昭和大学の建学理念である「至誠一貫」のもと、使命感を持った医療人の育成と、地域医療への貢献を目標に、1975年に昭和大学病院の最初の分院として設立されました。「医療人の育成」という点では、昭和大学の関連病院の中で初めてレジデント制を導入したのがここ藤が丘病院であり、開設当初から臨床研修に力を入れています。私自身も1978年に昭和大学を卒業し、レジデント制の第3期生として当院で研修を受けました。最初の1年間は病院に寝泊まりして、夜中に患者さんが急変したときは3分で病室に駆けつけるという生活でしたね。開設されたばかりで医師の人数も少なかった頃ですから、われわれ研修医も先輩医師と一緒になって、皆で藤が丘病院の夜間を守っていました。現在は新しい研修医制度に変わりましたが、相変わらず学生やレジデントの教育に熱心な医師が多く、たくさんの学生さんが当院での初期臨床研修を希望してくれています。

先生のご経歴をお聞かせいただけますか。

内科レジデントとして研修を終えた後、1980年に当院の消化器内科医局に入局し、2001年まで消化器内視鏡を、特に5ミリ以下の微小胃がんの診断と内視鏡治療を中心に診療と研究を行っていました。その後しばらくの間当院を離れ、癌研究会附属病院(現・がん研究会有明病院)に勤務していましたが、2009年に当院に戻り、副院長を経て2016年4月に院長を拝命いたしました。

院長に就任され、どのような抱負をお持ちですか。

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当院は大学病院として幅広い診療科をそろえていますが、ほぼすべての診療科に関連する「がん」と「メタボリックシンドローム」の克服を大きな目標に掲げています。狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患や脳卒中、脳梗塞などの脳血管疾患は動脈硬化によって引き起こされます。そして、その動脈硬化の元凶となっているのがメタボリックシンドロームです。メタボリックシンドロームは、動脈硬化を促進する危険因子であり、早く見つけて改善していくことが地域住民の命と健康を守ることにつながると考えています。また、がんも命に関わる危険性の高い病気です。当院は2016年4月に「神奈川県がん診療連携指定病院」に指定されました。これまで以上にがん診療機能の強化と質の高いがん診療の提供にまい進してまいります。

キャンサーボードを開催し、がんチーム医療を推進

がん診療に関する取り組みについてご説明ください。

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当院のがん診療に関する特徴的な取り組みとして、「キャンサーボード」が挙げられます。キャンサーボードは、内科医、外科医、放射線科医などがん治療に関係するスタッフが診療科の枠を超えて集まり、患者さんの治療方針を話し合う場です。がん治療には手術のほか、抗がん剤を用いた化学療法や放射線治療などさまざまな方法があります。主治医一人の知識や経験だけで治療を決めてしまうのでなく、さまざまなスタッフが意見を出し合うことで、一人ひとりの患者さんに最善の治療を選択することができると考えています。キャンサーボードの開催は、今のところ消化器がんや呼吸器がんなど一部のがんに限られていますが、今後は各診療科に広げていく予定です。また当院だけでなく、昭和大学の関連病院全体でキャンサーボードの導入が進められています。

そのほか、病院として力を入れている取り組みはありますか。

当院には地域の中核病院として、専門的な高度医療の供給が求められていると思います。その役割を果たすためにも、入院治療を必要とする急性期の患者さんを当院で受け入れ、病状が安定した患者さんの診療を開業医の先生方にお願いする「病診連携」に力を入れてきました。今後も地域の医師会や病院、クリニックとの連携を深め、患者さんが住み慣れた地域を離れることなく十分な医療を受けられる「地域完結型医療」の確立をめざしていきたいですね。前院長に倣って私も青葉区医師会の副会長として活動に参加していますし、病院としても、地域の先生方やコメディカルの方を招いて学術講演会や懇談会を行うなど、顔を合わせる機会を設けてコミュニケーションを深めるよう努めています。

地域貢献ということでは、災害時の医療対策にも注力されているそうですね。

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はい。当院は神奈川県の災害拠点病院に指定されていますが、災害時に患者さんが当院に集中して機能がストップすることのないように、地域医療救護拠点に指定されている小中学校では青葉区医師会の医師が医療を行うことになっています。また、毎月行われている防災検討会には、医師会・歯科医師会・薬剤師会の三師会のほか、柔道整復師会と横浜市アマチュア無線非常通信協力会青葉区支部も参加されており、当院で行っている年1回の防災訓練にもご協力いただいています。実は医師会のメンバーはアマチュア無線の資格を取得しているんですよ。当院にはアンテナも設置されており、訓練では接続状況をチェックしていざというときの通信手段を確保しています。

志の高いスタッフが団結して地域医療に貢献

先生が医師をめざした理由を教えていただけますか。

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私の両親が医師で、実家で祖父が開いた結核病院をやっていたんです。父は私が小学5年のときに亡くなりましたが、母が診療する姿を見ているうちに、自然と医師をめざすようになりました。学校の遠足など親が参加する行事に来たことはありませんでしたが、それを不満に思ったことはなかったですね。私は兄と弟の3人兄弟ですが、全員医師になりました。医師としてのやりがいは、自分が治療した患者さんが元気でいてくれることです。30年ほど前に早期胃がんでレーザー治療をした患者さんから「100歳を超えてもまだ元気でやっています」という手紙をいただいたときはうれしかったですね。

診療のときに大切にしていることは何ですか。

患者さんの話をよく聞くことと、しっかり診察することです。今の若い先生たちは検査第一主義になっていて、お腹も触らない先生が増えていることに危機感を抱いています。目や口の中を診る、くびを触って甲状腺を診る、リンパ節を触る、心臓の音を聞くといった基本的な診察からわかることも多いですし、何よりも患者さんの安心感につながります。病棟の回診で私がお腹を触って診察をすると、ときどき患者さんから「昔ながらの診察をしていただいて、ありがとうございます。安心しました」といわれることもありました。話を聞くこと、診察することは、患者さんとの一番の接点であり、患者さんとの信頼関係にも大きく影響すると思います。

最後に、今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

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開設から41年が過ぎて建物の老朽化が進んでいますから、そろそろ建て替えの準備を進めていかなければと思っています。また2016年11月をめどに、乳がんの診断・治療部門を新たに立ち上げる予定です。今までよりも機能性を高め、エコーやレントゲン、マンモグラフィなど必要な検査をワンフロアですべて受診でき、しかも当日に検査結果が出る、ユニットの中ですべて完結できる施設をめざしています。また、病棟も婦人科と合わせた「レディースフロア」を設置して、なるべく快適な入院生活を過ごしていただける環境を整えたいと考えています。当院の一番の長所は、藤が丘病院が好きで「ここで働きたい」という思いを持った職員が集まっていることだと思っています。私も一度は当院を離れましたが、やはりここが好きで戻ってきました。これからも皆で一致団結して、地域住民の命と健康、生活を支える病院として尽力していきたいと思います。

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