軽症から手術まで対応
患者とともに歩む歯周病治療
ひしかわ歯科
(可児市/日本ライン今渡駅)
最終更新日:2024/12/11


- 保険診療
日本人が歯を失う二大原因といわれている歯周病と虫歯。「ひしかわ歯科」の菱川敏光院長は、「歯周病の初期段階だと腫れが目立たず、見逃してしまうことが多い」と気にかける。菱川院長は、2000年から愛知学院大学歯学部歯周病学講座に所属し、現在は「ひしかわ歯科」の院長を務めながら、同講座の非常勤講師として後進の指導にもあたっている。「人生100年時代、歯はすり減るし歯茎も弱ってきます。歯周病についても患者さんと一緒にどう乗り越えていくのか。寄り添う治療を心がけたい」と持論のペイシェントジャーニーを大切にする菱川院長に、歯周病の検査や治療法、メンテナンスの大切さについて聞いた。
(取材日2024年10月7日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q歯周病とはどんな病気なんでしょうか?
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A
プラーク(バイオフィルム)といわれる歯につく汚れや歯石が細菌のすみかになり、その増殖が原因で歯茎が腫れてくる病気ですが、虫刺されのように腫れることは少なく、ぼんやりと腫れるため気づきにくい病気です。歯がしみたり(知覚過敏)、歯磨き後に出血したりなどで気づければまだ初期の場合が多いですが、食べ物が詰まったり、歯がぐらついたりといった場合はかなり進行している状態です。そこまで進まないと気がつかない方も多いですね。とても困るのは、歯茎の変化に気がつかないうちに歯周病が進行して、歯が抜けてしまった時に初めて気がつく患者さんもいるということです。
- Q放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか?
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A
細菌による歯茎の腫れが続くと歯周ポケットといわれる歯と歯茎の間の隙間が徐々に深くなります。そのまま放置すると歯茎が腫れることがありますので、気づいていただける場合もありますが、要注意なのはあまり腫れない人です。歯茎を外側から見ただけでは、あまり変化がないと感じます。しかし、内側では歯周ポケットの奥深くに入り込んだ細菌が歯を支える骨に影響を与え、歯を支える骨が徐々に減ってしまいます。そうなると歯はぐらつきはじめ、最終的に抜けてしまう場合もあります。
- Q口の中だけでなく体全体に悪影響をもたらすこともあるのですか?
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A
歯周病の免疫反応をつかさどる因子は、例えば糖尿病の因子にも共通するものがあります。歯周病は歯ではなく、歯の周りの骨と肉の病気ですから、体の病気だと捉えてください。口の中にひどく腫れたところがあれば、そこで生成された物質が血流に乗って体を巡ることになるので他の臓器に影響することがわかり始めています。特に糖尿病は歯周病と相互に影響を与える病気であることがわかってきました。糖尿病の人は、細菌の侵入や感染で、歯茎の支えの骨が影響を受けやすい一方で、歯周病の治療によって糖尿病の症状の改善につながることもあり得ます。内科の医師との連携も今後進める必要がありますね。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1歯科医師によるカウンセリング
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出血や痛みの有無、歯茎の腫れなど、患者が気になっていることを歯科医師が細かくヒアリング。歯茎が下がっているという悩みが多いそうだが、その場合は実際に歯周病が進行していることが多いという。ヒアリングの後、プローブといわれる目盛りのついた棒を使って歯周ポケットの深さを測定。同時に歯石の有無も確認する。目安としてポケットの深さが4~5mmだと初期の歯周病、6mm以上で重度の歯周病といわれている。
- 2先進機器による検査
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歯周ポケットのチェックの後、20倍まで拡大できて撮影も可能なマイクロスコープや口腔内カメラを使って口腔内を撮影。同院では診断の「見える化」を重要視。画像を見ながら、口腔内の現状について説明を受ける。診療情報の客観化にこだわり、歯周病の検査データは時系列に経過がわかるよう、専門ソフトを使用。「患者さんにも見てもらってご納得いただける検査・診療体制を整えています」と菱川院長。
- 3目標を設定し、治療スタート
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同院では歯周ポケットの深さを3mm以下にすることを治療のゴールに設定。歯周病はその進行度によって治療法が異なり、歯周ポケットの深さが5mm以下であれば、歯磨き指導や歯石の除去を行い症状の緩和を図る。5mm以上の場合は、歯茎を切開して取り切れなかった歯石を取る外科的手術や、重度の場合は骨を再生させるための歯周組織再生治療などが治療方法の選択肢としてある。
- 4歯科衛生士によるブラッシングチェックと歯磨き指導
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「歯茎が腫れるのは、口の中の汚れや細菌に歯茎が負けているということなので、汚れを取ることが第一」と菱川院長が言うように、歯周病治療では、まず正しい歯磨きの仕方を身につけることが重要となる。同院では、歯科衛生士の前で実際に歯を磨き、どこに磨き残しがあるのかをチェック。ブラッシングの問題点を患者と一緒に考え、改善していく。次に歯の表面やポケットの内部の歯石を取り除くケアを行っていく。
- 5定期的な通院と、正しいホームケアを継続
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出血や歯茎の腫れがいったん落ち着いても、症状の再発を防ぐためには毎日の歯磨きを正しく行い、歯科医院で定期的な歯周病ケアを継続する必要がある。また、自宅での正しいケアのためには、使っている歯ブラシ選びも大切。同院ではその人の歯並びに合った磨きやすい歯ブラシ選びもアドバイスしているので参考にできる。菱川院長は歯周病再発を防ぐためにも3ヵ月に1回の定期検診を推奨。