岩井 信策 副院長の独自取材記事
岩井皮フ科
(横浜市青葉区/青葉台駅)
最終更新日:2025/11/10
「皮膚のトラブルは見た目が気になってしまうからこそ、一日一日を心地良く、笑顔で過ごしていただけるようサポートしたい」と、2019年から「岩井皮フ科」の副院長を務める岩井信策先生は語る。岩井副院長は、昭和医科大学病院や地域の中核病院で経験を積み、皮膚腫瘍に対する全摘術や皮膚移植など手術をはじめ、幅広い皮膚疾患を抱えた患者を診てきた。豊富な経験を生かし、地域の患者に寄り添った診療を続ける岩井副院長。クリニックの診療方針や、皮膚疾患の治療で意識していることについて話を聞いた。
(取材日2025年8月28日)
変わらない信念と進化する診療で、患者に寄り添う
皮膚科を専門とした理由を教えてください。

高校3年生で進路を決める際、医師という仕事にやりがいを感じて医学部を志しました。大学卒業後は、皮膚科がない病院で循環器内科や形成外科などで経験を重ねました。その時、入院中に皮膚トラブルが起きてしまう患者さんが非常に多く、皮膚科の医師がいないことの大変さを間近で見て、皮膚科の重要さを強く感じました。また、皮膚疾患は原因不明なことも多く、常に探求心が必要です。学問としても奥深く、学び続ける価値があると感じて皮膚科を選びました。現在は形成外科で培った手術の技術が診療に生きています。
副院長就任のきっかけを教えてください。
勤務医の頃から、いずれはここを引き継ぐことを考えていました。院長である父が続けて来た岩井皮フ科を、父が元気に診療しているうちにさらに進化させたい想いがあり、大学の医局長を務めて後進の育成などに尽力し、医局に貢献できたという手応えもあったので、大学での経験を生かし地域に貢献できる開業医になろうと決めました。2人体制になってからは、患者さんをなるべく待たせない対応が可能になったほか、診療の幅も広がったと感じています。ここ10年ほどで皮膚科の治療は大きく進歩し、アトピー性皮膚炎や乾癬など、以前は限られた治療法しかなかった疾患にも、さまざまな選択肢が増えました。例えばアトピー性皮膚炎の治療でも、今ではステロイド剤以外の薬を第一選択にできるケースも多くあります。大学病院で経験してきた薬や治療法を導入できたことで、患者さん一人ひとりに合わせた柔軟な診療が可能になりました。
診療方針を教えてください。

医師は専門知識を生かし、患者さんをサポートする役割があると考えています。だからこそ、まず治療に関する正しい情報をわかりやすく伝え、きちんと理解してもらうことを大切にしています。特に皮膚科では、患者さん自身が治療に積極的に関わることが重要です。例えば塗り薬は、医師が処方するだけでなく継続して、日々自らで塗り続けてもらうことが重要です。そのため、専門用語はかみ砕いて説明し、納得して取り組めるよう心がけています。「患者さんに笑顔で帰ってもらいたい」という父の代からの想いを受け継ぎ、病気で不安を抱えて来院された方が、少しでも安心して「ここに来て良かった」と思っていただけるよう、スタッフ一同、丁寧な診療を続けていきたいと思っています。
幅広い症状に対応する診療を丁寧に提供
皮膚科ならではの症状に特徴はありますか?

皮膚科の疾患は、原因がはっきりしない疾患が多いのが特徴です。じんましんやアトピー性皮膚炎、湿疹など、日常的によく見られる疾患でも、検査をしても明確な原因がわからないケースが多くあります。症状を見極めながら経過を観察し、適切な治療を組み立てています。それから、自己判断による市販薬の使用などによって、症状が変化してしまいもとの疾患がわかりにくくなったり、もとの疾患とは別の新たな疾患が加わって、一つの部位に2つの疾患が重なって存在してしまうことで治療期間が長くなるケースも多いですね。皮膚科の診療では、症状が出始めた段階で来院していただくことが、適切な診断と早期の改善につながります。放置すると慢性化することも多いので、少しでも不安があれば早めに相談していただきたいです。
患者層やよくある症状を教えてください。
小さいお子さんや学生の患者さんが多いですね。小さいお子さんの場合は、肌のかさつきに関するご相談もよくあります。医療機関を受診せずに、ご家族がこのカサカサは乾燥だと思って一生懸命保湿だけを続けているケースや、他のクリニックで診てもらっている子でも、乾燥によるかさつきなのか、湿疹によって皮膚が肥厚しているカサカサなのかが診療の際に見極められていないため、治療の必要な湿疹があるのに、予防のための保湿しかされていないケースも少なくありません。適切な治療をせずに炎症が長引くと、アトピー性皮膚炎に移行してしまう可能性もあります。軽度な湿疹でも、肌のバリア機能が損なわれた状態を放置すると、ハウスダストや食物アレルギーなど、さまざまなアレルギーを発症しやすくなるんです。症状に合わないケアを続けているとなかなか改善しないこともあります。早い段階で皮膚科を受診し、医師による診断と治療を受けることが大切です。
学生さんはどのような相談が多いのでしょうか。

学生さんからはニキビの相談が多く、スポーツをしている学生さんは、競技特有の皮膚トラブルも目立ちます。レスリングや柔道など、接触の多い競技では、皮膚の表面や頭皮に水虫が感染してしまうケースがよくあります。練習中に相手と何度も接触することで感染が広がりやすくなるため、早期治療が重要です。私自身も高校時代にサッカーをしていて、今もシニアチームに参加していますので、スポーツに励む学生さんを応援したい気持ちが強いです。皮膚の悩みでパフォーマンスを落とさないよう、全力でサポートしています。
皮膚のことなら何でも相談できるクリニックに
患者さんとの接し方で意識していることを教えてください。

皮膚疾患には、残念ながら悪化を防ぎながら維持するのが精いっぱい、という疾患もあります。治療が長期に及ぶケースも多いですが、諦めずにうまく付き合いながら症状を抑えていくことが大切です。だからこそ「患者さんのやる気をいかに引き出すか」を常に意識しています。例えば、指示どおりに薬を塗ってもらえていたら、必ず褒めるようにしています。薬を塗るのを忘れがちな方の場合は、生活リズムを見直し、無理なく続けられそうなタイミングを一緒に考えます。また、患者さんが安心して治療をスタートできるよう、治療の経過で起こり得るトラブルや症状の変化について、あらかじめ伝えるようにしています。当院に来てくださったからには、少しでも結果を実感してほしいですからね。患者さんのやる気を引き出すことが、私自身のやりがいにもなっています。
今後の展望を教えてください。
現在も、ほくろや粉瘤の除去など、クリニック内で対応できる手術は行っていますが、今後は大学病院で培った経験をさらに生かしていきたいと考えています。皮膚科の疾患には良性腫瘍だけでなく、まれに悪性腫瘍、いわゆる皮膚がんもあります。皮膚がんは進行が緩やかで痛みやかゆみが少ないため、気づかないうちに症状が進んでしまうことが多いんです。場合によっては他の部位に転移し、命を落とす危険もあります。これまで悪性腫瘍について学んできた経験を生かし、早期発見・早期治療につなげたいと考えています。以前からあるできものが悪性かどうか心配しながら毎日を過ごすより、小さな悪性腫瘍であれば局所麻酔の手術で取りきって完治も望めますし、悪性か良性か診断が難しい時には一部を取って検査することで診断がわかりますので、少しでも気になっているできものがあるならば、すぐに受診していただきたいと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

少しでも皮膚のトラブルがあったときは、その方に合った治療法を一緒に考えていくことが大切だと考えています。市販薬や他の診療科で対応される方も多いですが、皮膚の専門家として、多くの症例を見てきたのは私たち皮膚科です。ですから、皮膚のことで困ったことがあれば、迷わず相談してほしいですね。患者さんに安心して治療を受けていただけるよう、正しい情報をわかりやすく伝えることを心がけています。わからないことや不安なことがあれば、何でも遠慮なく聞いてください。ヒトはみんな必ず死にます。だからこそ「毎日をどれだけ心地良く、笑顔で過ごせるか」が大切だと思っています。患者さんが皮膚トラブルに悩まず、より快適に日々を過ごせるよう、尽力します。地域の皆さんに「皮膚のことなら、まずここで相談しよう」と思っていただけるよう、これからも誠実な診療を続けていきたいと思います。

