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杉山 辰行 副院長の独自取材記事

名古屋三越歯科室

(名古屋市中区/栄駅)

最終更新日:2021/10/12

杉山辰行副院長 名古屋三越歯科室 main

名古屋三越栄店の8階にある「医療法人慶丹会丹羽歯科」は開業60年。長年、「三越名古屋栄店歯科室」という名称で親しまれている。現在、副院長として活躍しているのが杉山辰行先生。杉山先生は、自らも春日井市の「スギヤマ歯科」を開業して30年が過ぎる。栄の歯科室と春日井市のクリニックの2つの歯科医院で診察にあたる、パワフルな歯科医師だ。「患者さまと交わす、日常会話の積み重ねが信用を生む」と言う杉山先生は、勤務する若い歯科医師の育成にも力を注ぐ強く頼もしい存在。その一方で、痛みには臆病と笑う。だからこそ患者の恐怖心を和らげることができるようなための工夫も怠らない。長年の間の歯科治療の移り変わりや今後の課題について話を聞いた。

(取材日2017年6月25日)

伝統ある歯科医院の終焉を救うべく就任

先生が、三越名古屋栄店歯科室で副院長として関わることになった経緯を教えてください。

杉山辰行副院長 名古屋三越歯科室1

副院長就任は12年ほど前、当時すでにご高齢だった先代の院長先生が引退を考えられていると知人を経由して耳にしたことがきっかけでした。長年親しまれてきた歯科室でしたし、補綴治療に注力されていた院長先生が育ててきた歯科医師としての財産が途絶えてしまうことは、とても残念なことと感じました。その知人から「副院長として来てくれないか?」と相談を受けたのです。すでに春日井市で「スギヤマ歯科」を開業していた私にとって、それはすぐに承諾できるものではありませんでした。しかし伝統ある歯科室を受け継ぐことができ、多くの患者さんのご期待にお応えすることができるなら。そう考えた時、副院長就任を決意することができました。何より私自身、さらに成長できるのではないかとも思ったのです。そして先代のご子息である丹羽金一郎先生が院長として矯正治療を、私が副院長として一般歯科全般を担当する形で継承することになりました。

当時の歯科室の様子から、先生が大きく変えたことはありますか?

まず、入り口スペースを広げて、ゆったりとした雰囲気の待合室を作りました。また、診察室を増築して予防歯科専用の治療室を作りました。こうしたことで、治療に対する意識が大きく変わったと思います。口腔内を良い状況にしてから治療するべきだという考えを、歯科医師や患者さまに理解していただこうと思いました。治療にお金をかけても、口腔内の状態が悪ければ、すぐにまた治療が必要となります。そのために予防ケアの大切さを伝えていかなくてはなりません。掃除はいいから早く治療を、と言われる方もいらっしゃいましたから、口腔ケアに対する意識を変えていくべきだと考えました。

口腔ケアの必要性を伝えることが大切だったのですね。

杉山辰行副院長 名古屋三越歯科室2

治療だけを進めていくと歯は悪くなってしまう可能性もあります。歯はできる限り削らない、神経を抜かない、処置は最低限にとどめる。そのためには、患者さまに予防に対するモチベーションを高く保っていただく必要があると考えています。副院長就任当時は、先代の院長と交流があったから、といったきっかけから通い始める患者さまもいらっしゃいましたが、最近は患者さまご自身がインターネットで当院のことを知っていただいたり、すでに通院されている患者さまからのご紹介をきっかけに足を運んでみた、という方が増えている印象です。「患者さまからのご紹介」と言うのは、私たちにとってたいへんうれしいことです。治療を受けてくださっている患者さま自身が、他の方にもお勧めできると思ってくださった、ということですから。その思いにきちんと応えられるよう、気の引き締まる思いですね。

若い勤務医にとって高い知識と技術を吸収できる場所に

患者さまとの関わりの中で大切に考えているのは、どのようなことでしょうか。

杉山辰行副院長 名古屋三越歯科室3

すべては患者さまの話をよく聞くことから始まります。歯科医師が話をするのではなくて、患者さまの話を聞く、という姿勢が第一です。治療に対しての希望はもちろん、ライフスタイルや趣味の話など、たくさん会話をすることで、お互いをよく知ることができます。患者さまの情報をスタッフが共有することによって、全員がひとりの患者さまをサポートすることができます。たとえば、顔にかけるタオルを好まない、治療椅子を倒しすぎないなど、細かな情報を共有することも大切です。こうした配慮で、同じ質問を繰り返すことなく、気持ちよく治療を進めることができます。

勤務医の先生方の指導について、尽力されていらっしゃることはありますか?

私の勤務医時代にも感じたことなのですが、ただ勤務しているだけだと、知識や技術は急激にあがりません。症例や治療法については、相談やアドバイスも行いますが、先輩歯科医師の背中を見ているだけでは、成長しにくいわけです。そこで、勤務医の先生たちには、多くの講習会に参加して、知識や技術の習得に努めてもらっています。先生たちの技術の向上は、患者さまにプラスになるということのほかに、やがて次のステップアップをめざしている若い先生たちの教育にもなることだと考えています。開院以来、たくさんの歯科医師がここで勤務され、現在では各地で活躍されています。この歯科室が、若い歯科医師にとって知識と技術を吸収できる場所であるようにと考えています。

院内の設備面では、どのような配慮や工夫をしていらっしゃいますか?

杉山辰行副院長 名古屋三越歯科室4

リラックスしていただけるように、待合室に2台のマッサージチェアを用意しました。患者さまがリラックスしていると、治療も行いやすく、恐怖心も和らぐからです。マッサージチェアでくつろぐために、診察予約時間より早めに来院する患者さまもいるほどで、よく活用していただいています。設備面では、世界水準クラスBの高圧洗浄滅菌機を導入しているほか、歯を削るタービン部分の滅菌も行っていますので、安心していただければと思います。また、スタッフについては、歯科衛生士4名、ホワイトニングの専門知識を持つ3名が対応にあたっています。

歯を残すこと、一生ケアを続けることの大切さと難しさ

先生が歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

杉山辰行副院長 名古屋三越歯科室5

学生時代は文理問わずさまざまなことに興味があったので、なかなか将来の方向性を定めることができませんでした。そんな時、母に「あなたは手に職をつけたほうが良い」と言われたのです。その言葉が私の心に残り、歯学部進学を決意しました。歯科医師となった後、インプラント治療、審美歯科などの技術を深く追及し続けてこられたのも、周囲の人や環境に恵まれてきたことだけでなく、母の言葉があったからこそ続けてこられたのだと思います。長年、歯科医師としてやってきましたが、今でもうれしく感じることは、治療を終えた患者さまが喜ぶ姿を見ることです。自分の目の前に相手がいて、喜ぶ顔を見ることができる仕事というのは、とても貴重だと思います。もちろん、時には不満やお叱りを受けることもあります。しかしそんな時こそ、誠意のある対応をしなければいけません。どんなことにも誠意を持って向き合うからこそ、成長できるのですから。

先生は、ご自分が痛みに弱いからこそ、患者さまの痛みがわかるというお話しをされていますね。

怖がりなんですね。どんな治療をするのか理解している私ですら、治療時の痛みに対する不安はあります。私も治療を受ける場合は必ず信頼のおける歯科医師にお願いしています。歯科医師への信頼が、治療には不可欠であると誰よりも感じているからこそ、患者さまとの信頼関係をしっかりと築くことを重要に考えているわけです。自分の身に置き換えるとよくわかります。患者さまの苦痛を和らげることができるような心理面でのケア、そしてプロとして知っている技術的な配慮で、痛みを少しでも感じないような治療を心がけていますので、ぜひ安心して治療に臨んでください。

先生が考える、今後の歯科の課題について教えてください。

杉山辰行副院長 名古屋三越歯科室6

自分の歯で、しっかりよく噛んで食事ができることは、高齢者にとってうれしいことです。しかし、自分で口腔ケアをすることができなくなった時でも、口腔内の環境が悪くならないようにすること、それがこれからの高齢化社会において、考える必要があることだと思います。現在、老人ホームなどの施設に定期検診に出かけますが、やはり残っている歯の手入れをしっかりできないと、口腔内のリスクは高くなってしまいます。歯はできる限り残してあげたいけれど、ケアができなくなった時にどうのように対処して口腔内の健康を守っていくかということは、これからの課題になるのだろうと感じています。

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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