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加藤 尚一 院長の独自取材記事

かとうデンタルクリニック

(名古屋市中川区/戸田駅)

最終更新日:2024/12/02

加藤尚一院長 かとうデンタルクリニック main

「気の良い親父さん」、これが「かとうデンタルクリニック」を取り仕切る加藤尚一院長の第一印象だ。ベテラン歯科医師ながらも若々しさにあふれ、明るくはつらつとした性格で取材陣を温かく迎えてくれた。だが、取材を始めた途端、その心に秘められた熱情に驚かされる。経験や知識の豊富さはもちろん、患者のために考えつくされた対応、患者とともに虫歯や歯周病と戦うという揺るがない決意。ベテランでありながら駆け出しの歯科医師のように熱い心を持つ加藤先生に、予防歯科の大切さと意識の持ち方を聞いた。

(取材日2016年5月19日/情報更新日2024年2月16日)

トラウマの払拭を重視する、地域密着の歯科医院

先生で3代目とお聞きしました、歯科医師をめざしたのも歯科の家系だったからでしょうか?

加藤尚一院長 かとうデンタルクリニック1

昔は家業を継ぐものだという風潮が根強かったので、なるべくしてなったというのが正直なところです。小さな頃はほかの職業を夢見ていたけれど、いつからか歯科医師を志すようになりました。諦めではなく、これが自分の進むべき道だなと思えるようになりましたね。私の祖父が中川区尾頭橋で開業し、父がその歯科医院を継いだのが1963年ぐらい。その後に私が生まれ、1966年あたりに中川区江松に引っ越しました。私が愛知学院大学を卒業して、経験を積んだ後にクリニックを受け継いだのが2004年。祖父が歯科医師の免状を取得したのが1919年なので、開業が大正時代と仮定すると、100年以上の歴史があることになりますね。

歯科医院に来るのは何歳になっても緊張してしまいますが、診療の際に気をつけている点はありますか?

歯科医院に来る動機は、「痛い」や「腫れた」などマイナスな理由が多い。つまり「歯科医院=痛い」という意識になりがちで、それがトラウマになってしまっているんです。誰だって嫌な思いはしたくないから、自然と歯科医院から足が遠のいてしまいます。なので、まずは痛みやつらさを取り除いてあげることが肝心。患者さんの思いをくんで信頼関係を築き、トラウマを取り除く。そうすれば、治療が終わっても検診に来てくれたり、予防方法を聞きに来てくれたりするはずです。患者さんと歯科医師という距離感を一歩近づけて、信頼できる相談相手のような立場になるつもりで、診療に臨んでいます。

歯科医師の役割として重要な点は何だと思いますか?

加藤尚一院長 かとうデンタルクリニック2

患者さんが主役、歯科医師は脇役に徹して患者さんの意識を育てることだと思っています。やはり、自分で何とかしようと思わないと、進歩も発展もしませんからね。歯に穴が開いた、ぐらぐらしているといった症状は自然治癒しませんから、私が治療します。でも、そうならないようにするための予防は、患者さん自身が率先して取り組むべきではないでしょうか。経験を通して学んだことは忘れませんし、自信にもつながります。虫歯や歯周病と戦うのは、本当に大変なことですからね。自分の意思をしっかり持って、歯科医師がそれをサポートしていく。セルフケアの仕方や大切さを教え、学んでもらうのが重要ですね。

「経験こそ究極の予防になり得る」これこそが信念

こちらのクリニックで最も力を入れているのが予防歯科だとお聞きしました。

加藤尚一院長 かとうデンタルクリニック3

ええ、そうです。でも、一口に予防と言っても段階がありますので、簡単に説明しましょう。まず、皆さんが一番望まれるのが「健康」な状態。その反対は病気になってしまった「疾病」という状態です。健康な状態から突然、疾病になることはありません。まず、少し寝不足とか、ちょっと頭が痛いなど、わずかな違和感がある「発病の危機」という状態になります。そのまま放っておくと、熱っぽい、咳が出るなどの「初期症状」が現れる。発病の危機や初期症状は、薬を飲んだり安静にしたりすることで健康な状態をめざせることが多いです。ただ、初期症状を放置してしまうと、疾病状態になるわけです。疾病状態で無理をすると、いわゆる「こじらせた」状態の「継発症」となり、重点的な治療が必要になります。症状が落ち着けば、体力や身体機能を回復する「リハビリテーション」段階となります。これが、人間が病気になり、また健康に戻るサイクルです。

先生が最も重要視しているのは、どの部分なのでしょうか?

私は患者さんに痛い思いをしてほしくないし、虫歯や歯周病がトラウマになってはいけないと考えています。だからこそ、健康な状態から発病の危機を防ぐ、一次予防と呼ばれる部分に注力しています。虫歯や歯周病にならないための一次予防には、「健康増進」と「特異的予防」の2つがあります。健康増進は「健康に良さそうだからやっておこうかな」という考え方。虫歯予防のために、とりあえず歯を磨いておこうかなというぐらい、ライトな考え方。これが正しい予防につながることは、多くありません。特異的予防というのは、何かしらのきっかけがあり、それに対して反応することです。大きな虫歯を長い期間かけて治した。歯肉がよく腫れたのを治療した。そこから再発させないようにしっかり手入れをしたい。と思うことが疾病と戦う歯磨きに変わる。つまり、実体験をもとに、予防や治療につなげていく考え方です。

特異的予防に目を向けさせることが自分の使命と考えていらっしゃるのですね。

加藤尚一院長 かとうデンタルクリニック4

疾病になるのは、生きている上で避けられないこと。虫歯や歯周病になっても、歯科医師がしっかり治療します。何より重要なのは、疾病から健康に戻った体験。これなんです。経験がないうちに指導をしても、なかなか伝わりません。虫歯や歯周病を経験した人にどうしたら防げたのかなと聞けば、いろいろな反応が返ってきます。こうやって磨いたら良かったんじゃないかなとアドバイスすると、ああそうか! と気づくことにつながります。気づきから実践へ、歯磨きの変化が生まれます。虫歯や歯周病から回復した部位を再発させたくないと強く思うことから、歯磨きや口腔内のケアが、単なる健康増進ではなく、特異的予防に変わるわけです。体験が予防を昇華させることこそが、疾病と戦う第一歩になるはずです。私は、患者さんが疾病と戦うための、相棒であり、理解者であり、指導者でありたい。患者さんを手助けすることこそが、私の医療の原点です。

歯科医師として患者とともに笑い、歩くことが理想

疾病を経験しないと、予防はできないのでしょうか?

加藤尚一院長 かとうデンタルクリニック5

体験から予防を昇華させるには、必ずしも虫歯や歯周病にならないといけないわけではありません。クリニックに歯ブラシを持って来ていただければ、私がその人の歯を磨きます。正しく磨けば、歯ブラシだけで磨いても、本当にさっぱりするんです。そうした体験をすれば、疾病と戦おうという気持ちが生まれ、特異的予防として歯磨きをするようになりますよね。お母さんが正しい歯磨きを経験すれば、わが子を疾病から守っていけるわけです。私は、治療を行うだけでなく予防の意識を芽生えさせるというのも、歯科医師の重要な責務の1つだと捉えていますよ。

予防歯科でやりがいを感じる時を教えてください。

虫歯や歯周病といった、いわゆる疾病と戦うのは、とても根気が必要です。生まれてから寿命を迎えるまで、長い長い坂道を進むようなものなのですから。途中で投げ出したくもなるし、挫折してしまうかもしれません。私は、そうした道のりを、当クリニックを訪れてくれた患者さんと一緒に歩いていきたいと思っています。坂がつらいなら背中を押しますし、手を引っ張りますよ。暗いならライトを持ってきますし、疲れたら休憩を促します。治療を行い、入れ歯を作り、ケアの方法を教えるなどして、患者さん一人ひとりのペースに合った手助けをしていく。患者さんを主体としたケアこそ、歯科医師としてやりたいことだし、やりがいを感じられる部分でもあります。

先生が理想とする歯科医師像は?

加藤尚一院長 かとうデンタルクリニック6

歯科医師として、患者さんと一緒に笑っていられること。その時、私の手には道具はありません。持っていたとしても、歯ブラシぐらいでしょう。それは、患者さんがセルフケアの重要性を理解してくれていて、特異的予防ができている。私は患者さんのサポートに専念できている。ということです。もちろん、治療をしたり、入れ歯を作ってリハビリを手助けしたりするのも重要な仕事だと考えています。でも、一次予防で完結していて、治療の必要がない世界というのが、私の究極的な理想かな。私の考える健康というのは、自己実現できていること。たとえ総入れ歯であったとしても、食べ物をしっかり噛めて、しっかり話すことができる。疾病を経験していても、今、自分がやりたいことができる。これが健康なのだと思っています。

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