山口 陽子 院長の独自取材記事
津島オリーブおとなこども歯科
(津島市/青塚駅)
最終更新日:2025/08/20

津島市莪原町、ファミリー向け飲食店などが立ち並ぶ大道り沿いに立つ「津島オリーブおとなこども歯科」。40年近く地域に根差した診療を提供し続けた井田歯科を、現院長の山口陽子先生が父である先代より継承し、2024年4月にリニューアル開院した。「私も子育て中なので、歯科医師として、そして同じ親として、お母さんにも寄り添った診療をしていきたいです」と優しい笑顔で話す山口院長。「予防という概念を津島で広めたい」と語る山口院長に、新しくなった歯科医院のコンセプトや今後の展望などについて語ってもらった。
(取材日2025年6月19日)
地域に根差し、大人も子どもも気軽に通いやすい環境を
2024年4月にリニューアル開院されたとのことですが、ご経緯をお聞かせください。

もともとは私の父が1987年にこの場所に井田歯科として開院し、40年近く地域に根差した診療を続けてきました。私にとっても思い出深いこの場所でこれからも長く地域の皆さんに親しんでもらえる歯科医院を続けていきたいなと思ったんです。父を見て育ちましたので、私も子どもの頃から将来の夢は歯科医師になることでした。ただ、父の後を継いで女性の私が院長になることはライフステージが進むにつれて両立が難しくなってくるだろうなと、実はずっと思っていたんです。しかし、女性院長で子育て中の私だからこそできる診療があるのではないかと思い至り、勇気を出して継承することに決めました。お世話になってきた皆さんに恩返しをしたい、そんな思いで「地域のお口の相談窓口」になれるよう心がけています。その一環として幅広いお悩みに対応できるように、当院では月2回、矯正を専門とする先生の相談と診療を行っています。
とてもすてきな内装ですね。院長がコーディネートされたのですか?
もちろん私もアイデアを出しましたが、別の歯科医院で働いている夫がすごく協力してくれました。壁紙なども資材メーカーまでこだわって選んでのリニューアルでした。院内全体で大切にしたことは、清潔感と安心感です。歯科医院と聞くと怖さを感じる方もいらっしゃるので、カラーコーディネーターの友人からアドバイスをもらいながら決めました。また、キッズルームの虹色の壁紙については、オーダーメイドでお願いしました。この虹色は外からも見えるようになっていて、近くを通ったお子さんやご家族の方に「楽しそうな歯医者さんがある」と思ってもらえるきっかけになればと考えています。
「津島オリーブおとなこども歯科」と新しくなった院名には、どのような思いが込められているのでしょうか?

長らく親しんでいただいていた「井田歯科」の名前を残すかどうか実は迷ったのですが、心機一転、院名も新たにしました。地名を入れたのは、私も父も津島生まれの津島育ちで地元愛が強いので、それを表現したいと思ったからです。そしてオリーブは平和や繁栄の象徴としての意味を持ちます。父の意思を受け継ぎ、オリーブの樹のようにしっかりと根を張り、より地域に根差した歯科医院にしていきたいという願いと、年代や性別を問わず誰もが来やすい歯科医院でありたいという思いを院名に込めました。
同じ母親として、寄り添った診療を提供したい
0歳から高齢者まで幅広い年齢の方が通われているそうですが、注力する診療にはどんなものがありますか?

やはり予防歯科です。むし歯にしない、させないことをめざして診療にあたっています。歯の病気は一度なってしまうと元には戻りません。天然の歯を長く残すために、むし歯や歯周病になる前から防いでいくことが大切だと思っています。そのため、患者さんが定期的なメインテナンスに通いやすいよう、歯科衛生士も増員しました。いつでも気軽に予防ケアを受けられる体制を整えています。お子さんについては、予防的矯正といって、3~5歳頃から始める矯正も勧めています。歯並びは舌の動きやお口の悪い癖が影響することもありますので、幼児期に歯並びの悪化を防ぐための矯正を行います。適切な舌の位置を習慣づけるためにマウスピース型装置を用いたり、お口の周りの筋肉を鍛えるための体操などを指導したりと実は子どものときから取り組めることはいろいろあるんですよ。
マタニティー歯科もされているのですね。
妊娠中はホルモンバランスの関係で歯肉炎にかかりやすいので、口腔内の健康にも注意を払うことが大切です。しかし、仰向けになるだけでつらくなることもあるので、治療時の患者さんの体勢にも配慮したマタニティー歯科に取り組んでいます。「妊娠中に歯が痛む時には治療をどこまで受けていいの?」「麻酔をしても赤ちゃんに影響はないの?」と、いろいろと心配に思われる方も多いのではないでしょうか。そういった方には妊娠と出産を経験した私だからこそお話しできることがあるのではないかと思っています。やはり妊娠中は不安が多いと思うんです。私も少しのことで不安になりましたし、わからないことばかりでした。その経験を生かして、これからお母さんになる方や、私と同じように子育て中の方々にも、同じ目線で寄り添えるような診療をしたいと思っています。
妊娠中の人も、産まれた赤ちゃんやお子さんも通いやすい歯科医院なのですね。

そうですね、過去に待合室でミルクをあげてるお母さんを見かけたことがあったので、リニューアルを機に授乳室を設けました。赤ちゃんに対しては、お口の状態や母乳がきちんと飲めているかといったことなど、口腔機能の発育のためにも、歯が生える前から受診していただくと理想的だと思っています。また、赤ちゃんの股関節と口腔内の成長には実は深い関連性があるといわれているので、しっかりとハイハイをすることもとても大切なんです。そんな気持ちも込めて、キッズスペースには小さな丘を作って遊べるようにもしました。キッズスペースと診療スペースがつながっているので、お子さんが楽しくスムーズに受診してくれたら良いなと思っています。最終的には歯科医院が怖い場所ではなく、楽しい場所になっていければうれしいです。
予防という概念を、この地域に広めていきたい
診療の際に心がけていることはありますか?

コミュニケーションと患者さんとの関係性です。特に初めて来院される方は「何をされるんだろう」と不安を感じていることも多いため、その緊張を少しでも和らげられるよう、会話を大切にしながら丁寧な説明を心がけています。また、当院には地元出身のスタッフが多く、患者さんとも他愛のない会話を交えながらコミュニケーションを取っています。「通うたびに一歩健康に近づく歯科医院」をコンセプトに、歯科医師は治療を、歯科衛生士は歯磨きや生活習慣に寄り添ったアドバイスを、受付や歯科助手は丁寧な対応で心のケアを。それぞれの立場から、患者さんに合った適切なサポートを行うよう努めています。私には話しづらいような悩みもスタッフがくみ取り、チーム全体で患者さんの健康と笑顔を支えられるようにしています。
今後のご展望をお聞かせください。
予防歯科の大切さをこの地域にもっと広めていきたいと考えています。特に子育て世代の方々に、お子さんの食育や口腔機能の発達についても関心を持っていただけるよう力を入れています。母乳をうまく飲めない赤ちゃんには舌の力が弱いケースもあり、それが成長に影響することもあるんです。そんな授乳の悩みも含めて、同じ母親として気軽に相談できる存在でありたいです。また、3世代同居のご家庭も多い地域性を踏まえ、介護世代への対応として訪問診療へさらに力を入れていきたいです。訪問診療では、寝たきりや嚥下機能が弱っている方が多いため、体勢や安全面への配慮が特に重要です。ご自宅のベッドや車いすなど、その方に合わせた姿勢で診療を行うことに努め、お口だけでなく全身の状態も見ながら、安心・安全な診療を心がけています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

むし歯は、かからないようにするための予防法がきちんとありますので、治療に至るのはとてももったいないと感じています。だからこそ、特に子育て世代の方々には、同じ母として寄り添いながら、気軽に相談できる存在でありたいと思っています。また、これまで歯科が怖くて通えなかった方が、少しずつ勇気を出して来院してくださるのもとてもうれしいです。地域の皆さんにとって身近な歯科医院をめざし、イベントなども行いながら、これからも地域医療に貢献していきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児のマウスピース型装置を用いた予防的矯正/17万1600円、小児矯正1期治療/39万6000円、小児矯正2期治療/35万2000円、成人矯正/74万8000円、オフィスホワイトニング/2万5000円、ホームホワイトニング/3万3000円、セラミックを用いた補綴治療/3万3000円〜、入れ歯治療/7万7000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。