浅井 章夫 院長の独自取材記事
浅井歯科医院
(安城市/碧海古井駅)
最終更新日:2023/11/09

名鉄西尾線・碧海古井駅より徒歩4分の「浅井歯科医院」は、地域に根差して患者に寄り添う診療を、1983年の開院以来続けてきた。片流れ屋根が印象的な建物は、40年という時の流れを感じさせないモダンな印象。院内は大きな窓からの採光と、吹き抜けの空間が開放的だ。院長の浅井章夫(のりお)先生は、患者の多様な要望に応えるため、さまざまな講習会に足を運ぶなどして研鑽を積み、包括的な治療を提供してきた。口腔の健康がすべての源という考えから、患者の健康寿命を延ばす一助になりたいと、近年は歯周病治療と予防歯科に力を注いでいる。日々の診療への思いや、子どもの頃から続けているボーイスカウトの活動など、どんなことにも継続的に全力で取り組む浅井先生に話を聞いた。
(取材日2019年12月21日/情報更新日2023年11月1日)
地域に根差し40年。患者の健康寿命を延ばす一助に
この地で開業した経緯について教えてください。

もともと隣町の安城町で生まれ育ち、この辺りは地元なんです。父が農業をやっていまして、自分の家の田んぼだった土地でクリニックを開業しました。この辺りは駅に向かってほとんどが田んぼで、夏には蛍が飛んでいたものです。この建物は開業時に新築して、隣の神社の緑が見えるような設計にしました。昔からの街並みが残るエリアと、新しい住宅地とが混在している場所です。開業した頃は、近所の子どもたちが大勢来ていました。その子たちはみんな大人になってしまいましたね。この地域に根差して診療を続けてきて、患者さんと一緒に私も年を重ねてきました。
どのような診療を心がけていますか?
やはり患者さんがどのようなことを望んでいるか、要望をしっかりと聞いて歯科医師として応えることが大切だと考えています。私が開業した頃は、ちょうどインプラントが普及し始めた頃で、随分と勉強を重ねて治療も行いました。またある先生との出会いから、噛み合わせの重要性に傾倒した時期があって、さまざまな講習会に参加して勉強しました。矯正治療も好きな診療で、子どもの矯正治療も多く行ってきましたよ。結果的にオールラウンドな診療を提供できるようになったのも、患者さんの要望に応えたいという思いがあったから。特に噛み合わせの勉強を続けたことは、あらゆる診療に生きていて、私の診療のベースになっている知識と技術です。噛み合わせがしっかり整っていなければ、義歯も矯正もインプラントも長持ちしないと考えています。
特に力を入れている診療は何ですか?

患者さんにはできるだけ長く自分の歯で噛んで、健康で長生きしてもらいたい。健康寿命を延ばす一助になりたいというのが私の願い。そのために、これまで歯周病治療には特に力を入れてきました。歯周病にならないことが大切ですが、自覚のない人でも、大なり小なり症状がある人がほとんど。当院では、うがいや洗浄の際に次亜塩素酸水を使用し、痛みが少ないといわれるレーザーを使って歯周ポケットの治療を行います。また、2016年から保険適用となった薬剤を使用した歯周組織再生療法も行っています。歯周組織は一度失ってしまうと再生は難しいとされてきましたが、歯茎の周りの歯肉をめくり、フラップ手術と呼ばれる小手術を行って、失われた部分に薬剤を入れることで、歯周組織の再生を促していきます。
治療後にこそ力を入れ、患者の歯を守る
先生が歯科医師をめざすようになったきっかけは?

農業を営んでいた父親から、何か違うものをめざさなければならないと言われていて、医療の道を選ぶことにしました。以来40年、地道に診療を続けてきました。私の息子たちも医療の道に進んでいます。長男は外科、次男は内科でそれぞれ医師になりました。私の背中を見てと言いたいところですが、2人とも歯科医師にはなりませんでしたからね。このクリニックは私一代で終わりになってしまいますが、患者さんがいる限り、できるだけ続けていきたいと思っています。
ご自身のこれまでの歯科医師としての仕事を振り返ってみて、いかがですか。
現在通院している患者さんの3分の2は、歯周病治療後のメンテナンスで定期的に通っている方です。ここは地方の町ですから、もともと歯科治療に対する意識が高いという土地柄ではありませんが、これまで歯周病治療と予防歯科に力を入れてきて、高齢になっても患者さんの歯が残っていることが多いです。自分が取り組んできたことが実っているという実感がありますね。ほとんどの患者さんは、セルフケアの大切さとプロフェッショナルケアとの組み合わせが重要だということを理解していて、歯科衛生士による定期的なクリーニングと検診を受けに来られ、次の予約も取っていかれます。治療して終わりではなく、その後のケアこそが大切だということが浸透していると思います。立派なモットーなんて私にはありませんが、こうして患者さん自身の歯が残っていて、私の仕事はケアを続けること。それは歯科医師として患者さんのために貢献できた証だと思っています。
安城市の歯科医師会の活動にも携わっておられたそうですね。

はい。主な仕事として、安城市でこれから訪問歯科に力を入れていくための枠組みづくりに取り組みました。医科との連携も必要ですので、地域包括ケアシステムの中で、歯科医師としてできることを構築してきました。私の患者さんもそうですが、歯科医院に通うことがだんだんと難しくなる方が増えています。診療室でただ待っているだけではなく、こちらから出向いて行って、最後まで責任を持って患者さんを診ようということ。同じ思いを持った歯科医師たちとグループをつくって派遣を行っています。
ボーイスカウトを続けて54年。子どもの成長が喜び
休日はどのように過ごされていますか?

私が小学生の頃に始めたボーイスカウトの活動を今でも続けています。もう54年くらいになりますね。現在は安城第1団の団委員長を務めています。街頭に立って募金活動を行ったりしています。多忙な生活の中でも活動を続けてきたボーイスカウトの魅力は、キャンプや合宿などを通して子どもたちと一緒に遊びながら、成長する姿を見られるところです。ボーイスカウトは、成長に合わせて集団の中で自立を学べる機会です。ただ、最近はあまり子どもが集まらなくなってしまいました。子どもの数が減ったことも一因ですが、習い事や他にもさまざまなアウトドアの活動ができるスクールもありますし、活動への保護者の協力も難しくなってきていて。残念なことです。
ご自身の健康のために取り組んでいることは?
月並みですが、週に2回はスポーツジムへ通って、ランニングや筋力トレーニングを行って健康維持に努めています。大したことはやっていないのですが、続けることが大切だと思ってやっています。これまでずっと日々の診療に加えて講習会などの勉強の時間、休日にはボーイスカウトの活動もあり、とにかく忙しく過ごしてきて、家庭のことは妻に任せてきました。妻は私の父親の介護もしてくれて、心から感謝しています。今は歯科医師会の仕事も落ち着いて、今までできなかった分のお返しになればと、2人で海外旅行を楽しんでいます。これからも旅行ができるように、夫婦で健康であることが第一ですね。
これからの展望を聞かせてください。

患者さんが少しでも長くご自身の歯で健康で長生きできるように、お口の管理のお手伝いをしていきたいと思っています。通院が困難な患者さんには訪問診療も行い、主治医として最後まで責任を果たすつもりです。地域に密着して、患者さんの健康を願いながら長くこの地で診療を続けてきました。私も患者さんとともに年を重ねてきましたが、あと10年は頑張りたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/40万円~、インプラント治療(1本)/土台15万円~、かぶせ部分7万5000円~