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富田 喜美雄 院長の独自取材記事

富田歯科医院

(稲沢市/森上駅)

最終更新日:2021/10/12

富田喜美雄院長 富田歯科医院 main

名鉄尾西線・山崎駅および森上駅より車で5分ほどの場所にある「富田歯科医院」。開院して70年以上もの間、地域住民の口腔内の健康を守り続けている。富田喜美雄先生は、同院の3代目院長。2000年に就任して以来、初代からの診療方針である「来院者は誰でも診る」という患者第一主義を守りながら歯科、小児歯科、予防歯科や歯周病治療、在宅訪問歯科診療など幅広い分野で、日々、患者に向き合っている。有病者や障害者の診療に取り組んでいる点も同院の大きな特徴だ。院長就任当初はプレッシャーも大きかったという富田先生だが、患者一人ひとりに真摯に向き合うことで、不安を前向きなエネルギーに変えてきた。歯科診療への思いや今後の展望などについて、じっくりと語ってもらった。

(取材日2017年4月15日)

「誰でも診る」。患者第一の姿勢を3代にわたり貫く

どのような患者が通院していますか?

富田喜美雄院長 富田歯科医院1

先々代や先代を知っている患者さんもおられますが、全体的には世代交代をしてきている印象です。老若男女、幅広い年齢の方が満遍なく通院されていますね。中には、ご家族全員で通ってくださっている患者さんもおられます。物心つく前の小さいお子さんも、結構来られます。生育や発達は人それぞれですから、お一人お一人に応じて診療を進めています。小児歯科では、激しく動いてどうしても危険がある場合は押さえることもゼロではありませんが、それはあくまで危険を防ぐためで、無理強いするようなことは絶対にしません。

そもそも歯科医師を志したきっかけについて教えてください。

富田歯科の院長は私で3代目。先々代・先代の時代から、乳児の私を母親がおんぶして診療室に出入りしていました。ですから、今の患者さんの中には、私の記憶がないほど小さい頃の私を知っている方がいらっしゃるくらいです。物心ついた頃には、将来は歯科医師になるものだと自然に思うようになっていました。とはいえ、少年時代には誰もが抱くような「プロ野球の選手になりたい」という夢を言うと、父親がすかさず「歯科医師免許を持っているプロ野球選手はいないから恰好いいぞ」と、とりあえず免許を取るように勧めていましたから、気づいたら父親が敷いた見えないレールにうまく乗せられただけかもしれませんね(笑)。しかし診療室では困っている患者さんを助ける祖父や父を見ていましたから、歯科医師は人の役に立つ仕事なのだという認識は幼いときからありました。

歴史の長い歯科医院ですが、先代から引き継いだことは?

富田喜美雄院長 富田歯科医院2

一番は「来院者は誰でも診ます」という診療姿勢ですね。次に、「治してあげる」という上からの立場ではなく、主体はあくまで患者さんであるということ。歯科の専門の立場から、患者さんをお手伝いするいう姿勢で診療に臨んでいます。先代から患者さんの人生や生活がより良くなるようにサポートするというアプローチでしたが、それが私の代でより強化されていると感じています。例えば、認知症の高齢の患者さんにとって、診療してくれる歯科医院を探すのは容易ではありません。やっと当院にたどり着き、ご家族もホッとされ、いざ診療となっても認知症の影響で、ご本人が当院をどうしても気に入らなかったということもありました。そのときは、患者さんに納得して治療を受けていただけるよう、別の歯科医院をご紹介します。当院に足を運んでくださった患者さんのことは責任を持って、最後まできっちりケアするよう心がけています。

有病者・障害者に対しても診療姿勢は変わらない

診療で大切にしていることは何ですか?

富田喜美雄院長 富田歯科医院3

対話を大切にしながら、患者さんが何を求めているのかを的確につかんでから治療するようにしています。歯科医師として理想だと思う治療法に患者さんを当てはめるのではなく、患者さんのニーズを優先しながら選択肢を提示します。例えば、虫歯が主訴の場合、実際にお口の中を見て、まずは歯茎の状態を良くしてから虫歯の治療に移ったほうがいい場合でも、虫歯だけ治療したときと歯茎を落ち着かせてから虫歯治療をしたときのことをどちらも説明はしますが、患者さんが虫歯だけ治療したいと望めばそのようにします。

有病者・障害者診療も行っていると伺いました。

生活習慣病の薬を服用中の方、車いすの方、発達障害の方などの診療もしています。代々続く「人を診る」という当院の方針に現れているとおり、私としては患者さんに接するときの心構えは誰に対しても同じです。例えば発達障害の場合、発達の具合に差があることが特徴ですが、その方にはどういう方法が合っているのか、ウィークポイントがあればそれを避けながら治療を進めたりコミュニケーションを取るようにしています。通院と訪問診療を組み合わせることもできます。制限が多めというのが障害者だったり高齢者だったりというだけで、当院の基本姿勢は変わりません。

やりがいを感じるのは、どのようなときですか?

富田喜美雄院長 富田歯科医院4

勤務医時代にお世話になった先生の言葉で感銘を受けたのが「うまい・下手という形成はない。丁寧か、そうでないかだ」というもの。確かに丁寧に仕上げることができたり、患者さんにとって掃除しやすい形成ができたりすると満足はしますが、それは歯科医師の自己満足の域を超えません。やはり「先生、調子がいいよ」という患者さんからの喜びの言葉が最もうれしいですね。クチコミで来てくださったと聞くと、それだけで心が満たされます。訪問診療していた患者さんのご家族から「おじいちゃんが喜んでいた」「最後まで診てくれてうれしがっていた」とご報告を受けたことがあって、それも心に残っています。歯科とは直接関係はないですが、半身まひだった患者さんが歩けるようになったと聞くとうれしいです。要は、私は人が好きなのだと思います。

要介護者など潜在的に歯科診療が必要な人のもとへ

お忙しいと思いますが、趣味やリフレッシュ方法はありますか?

富田喜美雄院長 富田歯科医院5

漫画や映画が好きです。主人公を自分に置き換えて楽しむのではなく、その架空の世界に入って歯科医師の自分が何ができるのかという目線で観賞しています。歯科医師としてキャラクターの口の中を診療することが役に立つなとか、私が知っている情報を伝えればその世界がもっと良い環境になるのになどと想像しています。

現在、特に力を入れている分野はありますか?

行政機関や介護に関わる人に歯科の重要性をわかってもらえるよう働きかけています。寝たきりや身体にまひがある方は、自身で歯を磨くのが難しいため、口腔内の状態が悪くなる傾向にあります。加えて、体の症状改善が優先され、口腔内のことは後回しにされているのが現状です。そこを私は、歯を治すと噛めるようになり、全身症状が良くなるので口腔内の健康を重視してほしい、と訴えています。それで往診の依頼が増えれば、おのずと地域の高齢者や障害者の生活の質が上がっていきます。そのようにして潜在的に歯科診療を欲する方々に手を差し伸べていきたいという強い思いがあります。

最後に、今後の展望について教えてください。

富田喜美雄院長 富田歯科医院6

人々の生活において、正直、歯科は優先順位が低く、主役級の分野ではありません。しかし人が生きる上で歯の健康は必要不可欠で、QOLを向上させる大切な要素。ですから、患者さんによりよい生活をしていただくために、尽力していきたいですね。歯科医師としては、やはり患者さんが喜ぶ顔を見ることが何よりもうれしいですから。地域の歯科医師という立場から関係各所に働きかけつつ、皆さんとWin-Winの関係を築いていければと思います。そして何より初代からずっと患者さんを中心に据えた「人を診る」ということを続けてきた結果が今につながっていますので、これからも医療人として強い意志をもってその姿勢を貫いていきたいです。あと約30年で富田歯科医院は100周年を迎えます。そこを目標に毎日、患者さんにしっかりと向き合っていきたいですね。

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