関均院長の独自取材記事

関歯科医院

(知多郡阿久比町／阿久比駅)

最終更新日：2022/05/06

「関歯科医院」は、知多郡阿久比町で40年近く診療を続けている歯科医院だ。開業当初から予防歯科に注力し、2017年には予防専用の診療室を中心とする予防棟を増設。現在は患者の6〜7割が予防のために来院しているという。「患者さんに喜んでいただくのが一番」と語る関均院長の笑顔からは、気さくでおおらかな人柄が透けて見える。すでにベテランの域にありながら現在も向上心を持ち続け、診療のほかにも院内で講習会を開催したり、スタッフと講習会に出席したりと、精力的に研鑽を深め続けている。勉強熱心で患者に優しいというスタッフへの感謝と、自身が生まれ育った阿久比の町への愛着がにじみ出る、関院長の率直な言葉が聞けた取材となった。

（取材日2020年12月1日）

予防棟の増設で予防歯科と定期検診を効率化
患者の喜びが一番。笑顔と健康のため仕事に取り組む
地域への恩返しの気持ちを持って診療を

予防棟の増設で予防歯科と定期検診を効率化

開業時から予防に力を入れてこられた理由を教えてください。

勤務医時代、虫歯を削って詰め、また悪くなったら削って詰める、という治療を繰り返すうちに、そもそも削らなくするために虫歯を予防するほうが大事なのではないかと思うようになりました。中には小学校3～4年生で歯がボロボロになってしまい小児用義歯を入れなければいけない子もいて、予防の必要性を切実に感じたのです。そのため開業当時から予防歯科と定期検診に力を入れてきました。もともと予防のための診療室は2つ作ってありましたが、2017年に予防専用室が4つある予防棟を増設しました。歯科衛生士が落ち着いて仕事できる専用のスペースが欲しかったことと、患者さんにゆったり過ごしていただける空間を提供したいと思ったことが、予防棟を造った理由です。メンテナンス専用のユニットが増えたことで、今までよりも短い間隔で来てもらうようなこともできるようになりました。

やはり予防のために来られる患者さんが多いのですか？

開業当初は虫歯や歯周病などの訴えが多かったのですが、世間に予防の大切さが認識され始めた15年くらい前から、徐々に予防でいらっしゃる患者さんの割合が多くなってきました。ただしこれは当院だけではなく、全国的な傾向かもしれませんね。また、一時期子どもの虫歯が減ったために「歯科医院から子どもが消える」と言われたことがありましたが、当院では予防に力を入れるため歯科衛生士を増員したこともあり、お子さんが再び増えてきました。患者さんは阿久比町だけでなく半田市や東浦町などから来てくれる方もいらっしゃいます。きっかけとしては知り合いからの紹介で来られる方がほとんどですね。

クリニックの設計や設備などでこだわったところはありますか？

こだわりというわけではありませんが、診療で使うものは自分の家族に対しても安心して使用できることを基準に、全部自分で確かめて選ぶようにしています。予防棟のユニットも、すべて自分が座り心地を確かめて選びました。背中が曲がってしまっている年配の方からも座りやすいと喜んでもらえたのがうれしかったですね。また、開業時から滅菌消毒にも力を入れていて、治療器具はすべて個別にパッキングし、患者さんごとに交換していました。現在は感染症の予防対策として、窓を開けての換気と、口腔外バキュームの増設、アルコールによる手指の消毒などに加えて、1時間ごとに強酸性電解水でドアノブや棚、床などを拭くようにしています。

患者の喜びが一番。笑顔と健康のため仕事に取り組む

診療においてモットーにしていることはありますか？

誠意を持って患者さんに寄り添うことです。カウンセリングではお話をよく聞き、診断や検査の結果は時間をかけて説明します。そうした姿勢から、最初はあまり来てくれなかった患者さんが継続して来院してくださるようにもなりました。焦って無理強いしても駄目で、理解していただけるまで気長に待つしかないということですね。予防の大切さは、多くの人が年を重ねて初めて実感するもの。人生の楽しみとして最後に残るのは「食べること」だと思います。患者さんからよく噛んで食べる喜びを実感しているという話を聞くと「自分は結構良い仕事をしているな」と思います（笑）。患者さんに喜んでいただくのが一番と考え、当院では「スマイルプロジェクト」と呼んでいます。虫歯や歯周病の予防から健康に、そして笑顔で幸せになってほしいのです。いかにたくさんの人を笑顔にし、幸せになっていただけるか、そのためにできることを精一杯やるように心がけています。

関淳也先生との役割分担はどのようにされていますか？

関淳也先生は私の甥で、歯列矯正とインプラント治療を担当しています。人当たりの良い、さわやかな印象の先生です。もともと自分は予防だけでなく歯科の総合病院のようなクリニックをつくりたいという気持ちもあり、噛み合わせ、歯の根っこの治療、補綴やかぶせ物、微生物学と、それぞれ数年ずつ集中的に学んできました。その間は各分野のバイブル的な文献をひたすら読みあさって勉強しました。おかげで今では、できる範囲内ですが、どの分野でも対応できるようになりました。とは言え自分も年齢を重ねてきたこともあり、淳也先生の得意分野である矯正とインプラント治療はお任せするようにしています。

スタッフの方の仲の良さもご自慢だとお聞きしました。

はい、当院の自慢です。私の同級生や知人が「スタッフの人がみんな優しいね」と言ってくれるのがとてもうれしく、幸せな気持ちになります。スタッフの仲が良く院内の雰囲気が和やかなことも、患者さんが来てくださる理由の一つかなと思います。みんな勉強熱心で、こちらが何も言わなくても、先輩のやり方を見習ったり、自分たちで患者さんの目線になり、いろいろ考えてくれたりしています。私は休日にセミナーに参加することもありますが、「行きたい人は一緒に行こう」と誘うと、結局全員で行くことになったりします。それだけでなく講習の内容をみんなで発表し合って議論したり、歯科助手や受付のスタッフも含めそれぞれが調べたことをブログにしたり、「スマイル通信」というミニコミも毎月作っています。そういった診療外での頑張りにも感謝しています。

地域への恩返しの気持ちを持って診療を

そもそも先生が歯科医師になられた理由は何ですか？

高校の時の担任の先生が、歯学部の受験を勧めてくれたのがきっかけです。最初は断ったんですが、その後も2週間くらい「度胸試しでもいいから受けてみろ」と繰り返し私を説得するんです。それで根負けして受験したら合格、それで心を決めました。ほかに電子工学と機械科、建築の学部も受けたんですよ。私はもともと手先が器用で、エッチングや彫刻などは得意でした。大学でも人工歯を作る実習は面白かったですね。ただやはり歯科医師になる不安は大きく、ちゃんとやっていけるのか心配でしたが、開業して患者さんに「ありがとう」と言っていただけるようになってから、やりがいや楽しさを感じる余裕が出てきました。担任の先生はすでに亡くなりましたが、今は本当に感謝しています。

休日の趣味や健康のためにしている日課などはありますか？

趣味は釣りですが、ほかにも春はワラビ採りやタケノコ掘り、自然薯を採りに行ったりもしています。健康法などは特にありませんが、朝は8時前に来て診療時間まで読書をしています。特に読みたい本があるときは、朝3時に起きて来ることもあります。家にも書斎はありますが、ここのほうが落ち着くんですよ（笑）。

今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。

開業以来看板も出さず、治療のほとんどは保険適用です。それでも十分な暮らしができ、3人の子どもを一人前に育てることができました。本当に地域の方々に支えられてきたと、しみじみありがたく感じています。これからは地域に恩返しをしていくため、歯のことで何か困ったことがあったときに助けられるような診療をしていきたいですね。診療だけでなく、微々たるものですが毎年1回阿久比町の循環バスに寄付もしています。患者さんとしても、高齢になっても食の楽しみを味わえるように、ふだんから予防を心がけてほしいですね。定期検診は短い時間でできますので、ぜひ気軽にいらしていただきたいと思います。