田中 明 院長、田中 秀明 先生の独自取材記事
かなや歯科医院
(四日市市/近鉄四日市駅)
最終更新日:2025/08/20

近鉄四日市駅から徒歩7分の商店街の中に「かなや歯科医院」はある。1980年の開業し、予防歯科に力を入れながら、地域住民の口腔内の健康を守り続けてきたのが院長の田中明先生だ。2020年には息子の田中秀明先生も診療に加わり、マイクロスコープなどの新しい機器を取り入れながら、「できるだけ歯を抜かない・削らない」治療を実践している。地域に根差しながらも、新たな視点を取り入れる同院の治療理念や今後の展望などについて、明院長と秀明先生に詳しく聞いた。
(取材日2025年7月16日)
地域に根差し、子どもから高齢者まで幅広く対応
開業から今までの経緯を教えてください。

【明院長】ここはもともと私の実家があった場所です。かつてこの辺りは東海道沿いの商店街としてにぎわっており、私の両親もここで店を営んでいました。そのお店を改装し、1980年に歯科医院として開業したのが始まりです。生まれ育った地元ですから、昔からの知り合いも多く、皆さまの顔が見えるこの場所で地域に貢献したいという思いから開業を決意しました。開業から40年以上がたちますが、その思いは今も変わらず、日々の診療にあたっています。
【秀明先生】私が当院の診療に携わるようになったのは、歯科医師になった5年ほど前からです。当院以外の複数の歯科医院でも診療を行い、マイクロスコープを使った精密な治療や小児歯科などの分野で研鑽を積んでいます。歯科医師になってあらためて感じているのは、40年以上にわたり地域の歯科医療に貢献し続けている院長への尊敬の念です。なかなかできることではないと実感しています。
どのような患者さんが多いですか?
【秀明先生】お子さんからご高齢の方まで、本当にさまざまな年代の患者さんにお越しいただいています。開業した当初から通ってくださっている患者さんも多いため、中高年層からご高齢の方が比較的多いです。一方で、長年通ってくださる患者さんが、ご自身のお子さんやお孫さんを連れて来院されることも増えてきました。そのため治療のニーズは多岐にわたり、虫歯や歯の根っこの治療、歯周病治療、矯正治療、義歯の製作など幅広く対応しています。
子どもの歯並びについても相談できるのですか?

【明院長】はい、対応しています。近年ではゲームやスマートフォンなどの長時間利用により、画面を見ている際に無意識に歯を食いしばってしまうというお子さんが増えています。このような習慣が、顎のずれや歯並びの乱れにつながっているケースが見受けられます。その場合でも、低年齢であればマウスピース型の咬合誘導装置を用いた口腔筋のトレーニングなどで改善が見込めます。ただし、トレーニングにはお子さん本人や親御さんの協力は欠かせず、定期的な通院も必要です。ご本人や家族の意志をしっかりと確認した上で導入することが重要だと考えています。
マイクロスコープを導入して予防歯科に注力
こちらでは長年予防歯科に力を入れていると伺いました。

【明院長】当院は30年以上前から予防を重視しています。1980年に開業した当初は今ほど予防という考え方は一般的ではない時代でしたので、治療をメインとしていました。歯科医師として研鑽を積むためにさまざまな講習会に参加する中で、歯科衛生士と連携した長期的なメンテナンス、つまり予防歯科に本格的に取り組んでいる歯科医院の存在を知ったのです。その話を聞き、「治療を繰り返すのではなく、そもそも悪くならないようにする」ことの大切さを痛感し、これこそが患者さんのためになる医療だと確信しました。そこから予防歯科を本格的に学び、当院に導入しました。
【秀明先生】父が長年予防歯科に力を入れてきたからこそ、当院の患者さんは予防の意識が高く、メンテナンスのために長年通ってくださる方が多くいらっしゃいます。このたすきは、しっかりとつないでいきたいですね。
得意な治療について教えてください。
【明院長】痛いところを治療して終わりにするのではなく、患者さん一人ひとりのお口の中全体を診て、将来どのようなリスクがあるかを長期的な視点で予測しながら、今何をすべきかを考えて治療計画を立てることを得意としています。長年の経験から、お口の中を見ればその方の生活習慣や将来起こり得る変化がある程度わかります。その予測に基づき、先回りして予防的なアプローチを行うことで、患者さんが生涯ご自身の歯で健康に過ごせるようサポートしています。
【秀明先生】私はマイクロスコープを使った精密な治療を得意とし、歯の神経をできる限り残す治療に力を入れています。肉眼では見えないレベルでの精密な治療を行うことで、歯への負担を最小限に抑え、歯の寿命を延ばすことをめざしています。
マイクロスコープで治療するメリットを具体的にお聞かせください。

【秀明先生】大きなメリットの一つは、歯の神経を温存できる可能性が高まることです。歯の神経は、一度取ってしまうと歯の寿命が短くなる原因になります。虫歯が進行し、神経を取るか残すかギリギリの状態にある歯でも、マイクロスコープで患部を拡大して見ることで、細菌に感染した部分だけを綿密に取り除くため、健康な神経を残せる可能性が高まるのです。もう一つのメリットは、虫歯の再発リスクの大幅軽減が期待できることです。一度治療した歯が再び虫歯になると、また歯を削ることになり、歯はどんどん弱くなっていきます。この負の連鎖を断ち切ることが、歯を長く守るためには不可欠です。マイクロスコープを使うことで、虫歯の取り残しを限りなくゼロに近づけ、削る範囲も必要最小限に抑えるよう努めています。再発させない治療をめざす上で、マイクロスコープはとても重要な役割を果たしています。
患者に寄り添い、チームで支える歯科医療
診療で大切にしていることは何でしょうか?

【明院長】開業時から一貫して大切にしているのは、患者さんのお話をじっくりと聞くことです。特に初診の患者さんには時間をかけ、不安な気持ちをしっかりと受け止めるようにしています。例えば「歯の治療が怖い」とおっしゃる方の多くは、過去の治療で痛い思いをしたり、麻酔が効きにくかったりという経験をされています。そうした背景を理解した上で、一人ひとりに合わせて個別に治療方針を立てています。
【秀明先生】私が心がけているのは、ダメージを最小限に抑える治療を通して、患者さんの歯をできるだけ長く守ること。もう一つは、治療の「見える化」です。患者さんにとって、お口の中で何をされているのかわからない状況は不安だと思います。そこで、マイクロスコープで撮影した動画や写真を患者さんに見せながら、行った治療について具体的に説明しています。ご自身の目で見て理解していただくことで、納得感や安心感につながると考えています。
歯科衛生士さんとの連携も大切にしているとか。
【秀明先生】歯科医師と歯科衛生士は、車の両輪のような存在です。歯科医師が虫歯や歯周病の外科的な治療を担当し、歯科衛生士が専門的なクリーニングと日々のセルフケアの指導を担います。どちらが欠けても、患者さんの歯を長期的に守ることはできません。特に治療後の健康な状態を維持するためには、歯科衛生士による定期的なメンテナンスが不可欠です。また、ご自宅での歯磨きなどセルフケアの質を高めることも重要ですね。患者さんのモチベーションを高め、適切なケアの方法を伝え続ける上で、歯科衛生士の存在はとても大切なのです。当院には現在4人の歯科衛生士が在籍しており、チーム一丸となって患者さんのお口の健康をサポートしています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【明院長】これまでと変わらず地域に根差し、一人ひとりの患者さんに合った治療を提供していきます。さらに、秀明先生が入ったことで、新しい機器や治療の導入も進んでいます。新しい風を取り入れながら、長く地域に貢献していきたいと思っています。
【秀明先生】歯科医院に対して、「痛い・怖い」というネガティブなイメージを持ち、治療を諦めている方もいるかもしれません。しかし、近年の歯科医療は大きく進歩しています。「抜くしかない」と思い込んでいる歯でも、マイクロスコープを用いた精密な治療によって、歯や神経を残せる可能性は十分にあります。歯は一度失うと二度と元には戻りません。だからこそ、私たちは「できるだけ歯を抜かない・削らない」治療をめざしています。どんな些細なことでも構いませんので、お口の中に少しでも不安や悩みがあれば、諦めてしまう前にぜひお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児の咬合誘導/5万円~、ダイレクトボンディング/4万円~、精密覆髄/5万円~