市川 俊典 院長の独自取材記事
市川歯科
(四日市市/山城駅)
最終更新日:2025/05/01

山城駅から徒歩1分ほどの場所にある「市川歯科」。1978年に開業し、約20年前に四日市市から現在の場所に移転した。2024年からは2代目にあたる市川俊典(いちかわ・しゅんすけ)先生が院長を務めている。前院長である父の姿を見て、自然とこの道を志したという市川院長。大学卒業後は、東京や埼玉の歯科医院に勤務し、幅広い経験を積んだ。同院では、虫歯や歯周病の治療、インプラント治療、メンテナンスなど幅広い診療を提供。口腔外バキュームを導入し、患者が入れ替わるたびに診療台の拭き上げを行うなど、衛生面での配慮も欠かさない。プライベートでは二男一女の父でもある市川院長は、クリニックを訪れる親子へのまなざしも温かい。そんな市川院長に、これまでの歩みや地元、山城への想い、日々の診療について話を聞いた。
(取材日2024年3月14日)
東京や埼玉で幅広く研鑽を積み、父から院長職を継承
2024年1月に院長職を継承されたと伺いました。最初に、先生のご経歴から教えてください。

昭和大学歯学部を卒業後は父の卒業した明海大学歯学部付属明海大学病院へ進み研修医をしました。最初から当院を継承することは決めていましたが、それまでは多くの経験を積みたかったので、東京や埼玉の歯科医院に勤務し研鑽を積みました。その中で多くの患者さんが来院される歯科医院で勤務した際は、本当にいろいろな経験をさせていただきました。日々、数多くの患者さんへ治療を行う中、何か一つの治療に特化していくというよりは、さまざまな患者さんへ幅広く治療できるような歯科医師をめざしたいと思うようになり、歯周病や虫歯、インプラント治療に至るまで多くの経験を積ませていただき、たくさんの技術を身につけることができました。
その後、こちらのクリニックへ戻られたのですね。
2018年に山城へ戻り、父と一緒に診療を行うようになりました。当院には、昔からずっと家族で通ってくださっている患者さんが多く、当院から車で5~10分くらいのところに新興住宅地ができたので、ここ20年くらいで若い方も増えました。今年になって、院長職を継承しましたが、父に診てもらいたいとおっしゃる昔から来ていただいている患者さんの声に応え、今でも父は当院での診療を続けていますし、訪問診療も行っています。
こちらでは訪問診療も行っているのですね。

父が院長だった20年程前から行っています。昔から住んでいる方が多い地域ですので、ご高齢になり施設に入った患者さんのところを中心に回っています。訪問診療を始めたきっかけは、高齢者施設から「入所している方の口腔内を一度全部診てほしい」と依頼されたことでした。その後もやはり、訪問診療の需要があり、それからずっと口腔内のメンテナンスや義歯の調整などを継続して行っています。「入院してしまったけれど、歯が痛いから診察してほしい」と依頼されて、総合病院に許可を取って行ったこともあるそうです。
納得して治療に臨めるよう、治療前後の対話を重視
注力されている治療について教えてください。

歯周病治療やメンテナンスに力を入れています。これまでは「痛みがないと歯科医院に行かない」という方も多く、ご高齢になった時には、すでに義歯を入れているというケースが目立ちましたが、今は歯が残っている方も多くなりましたので、口腔内環境の改善や残存歯を守っていくことが大切になってきています。診察ではお口の中を見せてもらって虫歯や歯周病の有無、進行度合いを確認します。必要に応じてエックス線撮影や染め出し液などを用いてしっかり確認をして、患者さんに口腔内の現状を知ってもらうことを重視しています。自分自身の目で見てわかると正しい理解につながると思うので、絵を描いて説明することも。磨き残しが多い方には状況と合わせてどういうケアが必要なのかをお伝えしていきます。一度ではなく何度もお伝えすることで、少しずつ患者さんの意識は変わっていくと思います。
診療する上で心がけていることはありますか?
しっかり患者さんの話を聞いて、現状どのようなことに悩まれているのかを確認します。悩みの表面だけを聞いて、こうだろうと決めつけるようなことはしません。治療プランについても、なるべく患者さんの意向に沿うようにしています。もちろんどうしても意向に沿えない場合もありますが、そのときは希望の治療方法を選んだ場合のデメリットを説明します。治療の選択肢が複数ある場合には、可能な治療法はすべてお伝えすることも心がけています。治療はすべて患者さんが納得してから、行うようにしていますね。また、治療前だけでなく、治療後にも今回の治療内容や今後行う治療内容についてお伝えすることを大切にしています。今後の見通しをお伝えすることで、患者さんの不安を軽減し、スムーズな治療につながるよう配慮しています。
小児歯科も標榜されていますが、お子さんへの対応はどうされていますか?

基本的には親子一緒に診療室に入っていただいています。一つ一つの診療スペースを広めに取っているので、きょうだいで一緒に来院された場合も同じスペースでお待ちいただけます。その際に、待ち時間も飽きずに楽しく過ごしてもらえたらと思って、診療室内に折り紙やぬり絵をご用意しています。治療を行う上で大切にしているのは、お子さんの年齢に関係なく、一人の患者さんとして接するということ。歯科治療が嫌で泣いている子であっても、本当はやらなくてはいけないことだと頭では理解していると思います。ですので、きちんと説明して治療を行えば、泣きながらでも頑張ってくれます。そこを抑えつけて無理やり治療をすると、甘えが出てきて抵抗するようになってしまうので、そこは気をつけています。
地域の人々をこれからもずっと診ていきたい
これまでを振り返って印象的な出会いはありましたか?

まず、卒業後の進路に迷っていた時に出会った大学の教授ですね。とても優しい方で、ホワイトニングの知識が豊富なことで知られている先生です。周りの人たちは技術を学びたくてその先生のところへ行っていましたが、私はその先生の、何があっても怒らない、穏やかで聞き上手な人柄に惹かれていました。いつも私の話をしっかり受け止めて、最後に的確なアドバイスをくれるので、すごく信頼していました。そしてもう一人、歯科医師になってから出会った女の子も印象深いです。2、3歳の頃、初診で来てくれて、最初は治療を嫌がっていたのですが、時間をかけてできるようになっていったんです。楽しく通院してくれていたのですが、引っ越すことになり、引っ越し先でも通院を頑張れるようにと、一緒に写真を撮ったことが良い思い出です。
すてきなエピソードですね。
患者さんと接する時に、全部話を聞いて悩みや疑問を解消するようにしているのは、その先生の影響が大きいです。当院のスタッフにも「患者さんには優しく接してね」と伝えています。人と人との付き合いなので、時にはこちらがぐっとこらえないといけない場面もあります。でも、患者さんは痛みを抱えていたり、体調が優れない中でこの場所へ来られているので、その状況を理解して寄り添ってほしいなと。スタッフはみんなよく理解して接してくれていると思います。そして、患者さんとのエピソードについては、その女の子以外にも僕の似顔絵や手紙を書いて持ってきてくれる子も何人かいましたが、すごくうれしくて。仕事に対するモチベーションがぐっと上がりますね。また、患者さんから「ありがとう」と言われることもこの仕事の魅力だと思います。世の中にはたくさんの仕事がありますが、誰かから「ありがとう」と直接言われる仕事は意外と少ないですからね。
最後に、今後の抱負を教えてください。

今後もメンテナンスに注力していきたいです。歯を残すだけでなく、歯周病や虫歯を予防し、自分の歯で噛めることが一番大切です。歯がなくなったときはインプラント治療や義歯もありますが、口腔内の状態が良くないとできない治療もありますので、土台づくりはしっかりしていく必要があります。開業当初から通ってくださる患者さんの中には、僕が小さかった頃のことをご存じの方もいらっしゃるんですよ。僕の体力が続く限り、山城の方たちをずっと診ていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/45万1000円(税込)