畑中 啓吾 副院長の独自取材記事
はたなか歯科こども歯科
(松阪市/東松阪駅)
最終更新日:2023/10/11

「はたなか歯科こども歯科」は、畑中嗣生(はたなか・つぐお)院長が、1980年に「畑中歯科医院」として開院した。2019年、息子の畑中啓吾先生が副院長として加わり、院名も新たに院内を改装、診療の幅もさらに広がることとなった。新規の子どもの患者も徐々に増えているそうで、「ご家族で来て、笑顔で帰っていただける歯科医院にしたい」と啓吾副院長は抱負を語る。言葉を選びながらゆっくり丁寧に話してくれる、何でも相談できそうな雰囲気のある先生だ。プライベートでは生後5ヵ月の子どものおむつ替えや寝かしつけもする優しいパパ。愛犬は、昔から好きという紀州犬なのだそう。「子どもの頃からの食生活も大事です」と語る啓吾副院長に、その具体的なアドバイスや普段の診療姿勢、展望などを聞いた。
(取材日2020年1月8日)
新たに小児歯科もスタートし、気軽に通えるように改装
2019年に院内を改装されたそうですね。どのように変わりましたか?

大きな点は、まず院内をバリアフリーとしたことです。玄関の段差をなくしてフラットにし、車いすでもベビーカーでもそのまま土足で入っていただけるようにしました。風除室も設けています。また、待合室の椅子は茶色だったものを、ポップなブルーと黄色に変えて明るい雰囲気に。お子さんも遊べるように絵本を置いてキッズスペースを設けました。洗面台は使いやすくきれいにリフォームし、トイレも広く、おむつ交換台を備えています。今年の夏には、診療室も改装する予定で、壁紙をきれいにして、水回りも、より衛生管理しやすいようにするつもりです。
先生が歯科医師をめざされた理由やご経歴を教えてください。
実家がすぐ隣にありますので、この地域で育ちました。子どもの頃は、こちらに来たことはあまりなくて、忙しそうな父の姿を何となく覚えている程度。車のレーサーに憧れていた子どもでしたね(笑)。歯科医師を将来の仕事として考えたのは高校2年生の頃。父から「後を継いでほしい」ということは一切言われませんでしたが、人の役に立ち、いろいろな方とふれあえるという点でも歯科医師は魅力的な仕事だと考えました。愛知学院大学卒業後、愛知県武豊町の歯科医院に2年半ほど、そこで知り合った先輩の先生に紹介されて尾張旭市の歯科医院に5年ほど勤めました。愛知県に残ろうかと考えたこともあったのですが、生まれ育った地域に貢献したいという思いのほうが強かったため、2019年に戻ってきて、当院の副院長に就任しました。
どのような患者が来られていますか?

1980年の開院以来、40年近く通ってきてくださる方が多く、子どもだった方が大人になって、そのお子さんを連れてきてくださることもよくあります。新たに院名に「こども歯科」と入れたので、看板を見て、新規の子どもの患者さんは徐々に増えているように感じます。尾張旭市の歯科医院にいた頃は名古屋市からの患者さんも多く、お子さんの歯に対する意識が高い方も少なくなかったのですが、この地域でも若い方を中心に意識が高まっているのを感じています。「子どもの頃から歯を守る」ことの重要性を少しずつお伝えしていけたらと思っています。
矯正治療の前に食生活の改善をアドバイス
先生が得意とされている治療はどんなことですか?

尾張旭市の歯科医院で、子どもの歯、特に歯並びについて多くのことを勉強させてもらったので、できるだけ永久歯を抜かずに歯をきれいにそろえる、ということを一生懸命めざしています。「きれいにそろえる」というと、すぐ矯正治療とイメージされがちですが、私が教わったのは、毎日の食事の重要性です。現代の子どもには、口周りの筋肉や顎の骨の発達が十分でない子も多くいます。セミナーや勉強会にも参加し、まず矯正の前に、歯の土台となる筋肉や骨の部分の発達を良い方向に促すことが優先だということを学びました。毎日の食事を通して土台をきちんと発達させていければ、歯も自然に整っていくようになる可能性が期待されています。
食事は何歳頃から、どのようなことに気をつければいいのしょうか?
離乳食が終わって親と同じ物を食べるようになる2歳頃から気をつけるといいですね。食事の内容は、特に硬いものでなくとも、できるだけ噛む回数が多いものが望ましいです。親御さんにお勧めするのは、カレーでもトンカツでも、材料をあまり細かく切らず、煮る場合はあまり煮込みすぎないということ。食べ物を前歯で噛み切って奥歯でつぶして飲み込むというお口の働きをしっかりできるようにするためです。前歯をあまり使わないと機能が衰え、永久歯の生えるスペースが足りなくなってしまうかもしれません。食べるときの姿勢も大事で、脚が床につかず、ぶらんぶらんしている状態だと背中が曲がってしまい、内臓が圧迫されて消化も良くないといわれています。食べることは体全体の働きに影響してきますので、足をしっかり床につけて姿勢も良くしてほしいと思います。
自然に歯並びが治らない場合、矯正治療に進むのですか?

そうですね。矯正装置を使った治療は、食生活と生活習慣の改善後の手段といいますか、補足と捉えていますので、当院で行っている床矯正治療はあまり敷居を高くしないように料金設定に配慮しています。矯正治療の期間は、永久歯が生え始めた6歳頃から、早ければ半年間、できるだけ9歳くらいに終えることが理想です。その頃には犬歯が生えてきて歯を動かしづらくなることと、自我が出てくる年頃のため、本人に本当に治す気がないと治療が難しくなってくるからです。歯や、歯並びが悪くなるのには何か原因がありますので、それは何だろうと、お子さんと親御さんとで一緒に考えて、まず毎日の生活を振り返っていただけたらと思います。習慣を改善しないと、矯正治療をしても望む結果にならないかもしれませんから。
子どもも含め家族みんなが笑顔で通える歯科医院に
院長であるお父さまと一緒に仕事をされるようになっていかがですか?

父の患者さんとの接し方を見ていて、距離が近く、患者さんにも信頼されているんだなと感じます。患者さんのお名前を聞いただけですぐお口の状態が思い浮かぶようなので、私もいずれは父のように患者さんと良い関係を築いて、その方に最適と思われる治療をスムーズに提供できるように見習っていきたいです。以前は母が受付で関わっていて、現在は姉がそれを引き継いでいます。スタッフも昔からのベテランさんで頼りになり、アットホームな良い雰囲気で院内がまとまっていると思います。
普段、心がけていらっしゃることはどんなことですか?
治療をするにあたって、こちらからの押しつけにならないように、患者さんが納得してから治療に入ることを心がけています。また、虫歯でも何でもそうですが、何が原因でこうなったかということに気づいて意識してもらえるように丁寧にお話をしています。原因を理解していただくと、それが次の予防にもつながりますので、ただ悪いところを治療するだけではなく、患者さんと一緒にお口の健康を長く守っていけるような診療をしていきたいと思います。お子さんに対しても、「一緒に頑張ろうね」という姿勢を大事にしたいですね。勤務していた時、治療を終えて本人も親御さんも喜ばれているのを見て、私もとてもうれしかったです。
これからの展望など、お考えのことをお聞かせください。

父もですが、以前勤務していた武豊町の先生も尾張旭市の先生も優しい先生で、「患者さんから指名されるような歯科医師になりなさい」と言われました。指名されるためには、治療の上手、下手だけではなく、人として信頼を得ることや親近感も大事だと思います。常に患者さんの立場に立ち、できれば、最初は泣いているお子さんでも帰りには笑顔になるような、おじいちゃんやおばあちゃんまで3世代、ご家族で来ていただけるような歯科医院でありたいですね。歯は、あるうちはその貴重さに気づきにくいのですが、失ってから後悔される方をこれまで多く診てきました。歯科医院で定期的にチェックすることが歯を長く残せることになるというデータもありますので、どうぞお気軽に来ていただければと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児の床矯正治療/3~12万円
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。