川村 敏之 院長の独自取材記事
川村歯科クリニック
(津市/高茶屋駅)
最終更新日:2021/10/12
雲出川と伊勢湾に面した香良洲町にある「川村歯科クリニック」は、1993年に院長の川村敏之先生が、以前父親が歯科医院を営んでいた場所で開業。高齢化が進む自身が生まれ育った地域に密着し、歯周病の予防や訪問診療に注力している。院内には、予防専用の部屋や個室も用意。待合室はオレンジやグリーンなど明るい色合いで、柑橘系のアロマの香りに患者の緊張感をほぐしたいという気配りを感じる。窓も広く明るい雰囲気の同院で、どんな質問にも真摯に回答する川村院長に、注力している治療や診療方針など幅広く聞いた。
(取材日2021年9月13日)
父の遺志を継ぐ、町のかかりつけ歯科クリニック
歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。
歯科医師だった父親の影響が大きいです。父はもともとここにあった歯科医院で診療していました。住居と同じ建物だったこともあって、私も小さい頃は歯科医院にもよく遊びに来ては、父が働いている姿をよく見ていました。とはいっても、その父の姿に憧れたということはないんですけどね(笑)。何かを作ることが好きなので、そういった仕事も少しは考えましたが、高校生になって進路を決める時に、歯科医師をめざすと決めました。父は私が学生の時に亡くなってしまったので、この歯科医院もしばらくやっていなかったのですが、1993年に同じ場所にクリニックを建て直して開業しました。
とてもきれいな院内ですが、リフォームをされたのでしょうか。
開業してから30年近くたっていますので、何度もリフォームしています。この待合室の壁紙もつい最近変えたばかりなんです。やはり、30年もたつとその当時と今では、治療内容も変わってきていますので、使いづらかったものを使いやすくするためのリフォームをしています。開業当時は虫歯治療が中心でしたが、今は予防中心なので、待合室の横に予防専用の部屋も作りました。患者さんは、年齢層が高く歯周病予防のために通ってくれている方が多いので、歯科衛生士を中心にクリーニングをしっかり行っています。
患者さんや地域の特性についてお聞かせください。
この香良洲町は、自営業をしている方が昔は多かったんですが、今は患者さんも年齢を重ねられて、お仕事をリタイアされた方が多くなっています。当クリニックの患者さんも70歳以上の方がほとんど。患者さんの中には、通院が難しくなった方もいますので、訪問診療も行っています。平日の昼休みは時間の都合上1件しか回れませんので、あとは土曜に回っています。遠いところだと今は白塚の方まで訪問しています。必要とされる治療内容も地域の高年齢化に伴い、開業当初とでは変わってきており、以前はインプラント治療も行っていたのですが、高齢化によりインプラント等を避けたほうがよい方が増えてきましたので、近年では入れ歯治療に注力することが多くなってきています。
高齢化地域のニーズに合わせて、入れ歯と予防に注力
入れ歯に注力されているとのことですが、こだわりポイントはありますか?
入れ歯は入れ心地が良く、異物感がないことが大切だと思っています。今当クリニックでお勧めしているノンクラスプデンチャーは、見た目に配慮した部分入れ歯です。入れ歯だとわかりにくく、入れ心地が良くほかの歯に負担がかかりにくい点が良いところだと思っています。入れ歯は、完成した後にお口にフィットさせるための仕上げの微調整が重要なんですが、長年治療してきているので、そこには自信を持っています。
ほかにも力を入れている治療があれば教えてください。
「床矯正(しょうきょうせい)」という子どもの歯列を整えるための矯正も行っています。今の子どもたちは顎が小さく、特に日本人はきれいに永久歯が生えそろうのは難しいといわれています。床矯正は、寝ている間も含め1日12時間程度装置をつけてもらって、永久歯が本来生えるべき場所に生えるよう誘導していきます。装置以外にも、生活習慣や頬づえなどの癖で歯並びが悪くなることもありますので、そういったお話をお母さんにさせてもらうこともあります。生活習慣の改善だけでは、なかなか追いつかないときは装置を用いた矯正を考えていきます。
このクリニックの診療方針をお聞かせください。
予防を重視する方針ですが、当クリニックは地域密着なので、基本的には患者さんのニーズに合わせて治療していく方針です。父親が歯科医院をしてきた時から通ってくれている方や、10年、20年にわたって毎月通い続けてくれている方もいますから、そういった方々に行うべき治療を行います。今は歯周病予防が必要な方が多いんですよ。高齢になると、口内環境を整えることが難しくなり、唾液にいる雑菌も増えていきます。嚥下がうまくできなくなっている方の場合、自分の唾液が原因で肺炎になってしまうこともあるんです。訪問診療も含め、そういったリスクがある方の口腔ケアに特に注力しています。
CO2レーザーで痛みの少ない歯周病治療を提供
とても幅広く対応されていらっしゃいますよね。
今は予防が中心ですが、歯周病のレーザー治療やスポーツ用マウスガードの作製も対応しています。歯周病に対するレーザーには、いろいろな種類がありますが、当クリニックで使っているのはCO2レーザーで、毎日のように活躍しています。器具が届かない所の菌を熱でやっつけるために使用するものです。外科処置は、歯茎を切って行うため、どうしても痛みを伴いますが、CO2レーザーならほかの器具で行うのと比べれば痛みが少なく済みます。一方、スポーツ用マウスガードは、まだまだ一般的には普及が進んでいませんが、スポーツ時に歯や口腔内のケガを避けるために有用な保護具です。当クリニックでは、闘技などで使われているメーカーのものを取り扱っています。
スタッフさんについて教えてください。
長く勤めているスタッフが多く、勤続10年のベテランもいます。歯科衛生士の常勤は5人います。予防歯科に注力していますので、少し多めですかね。スタッフ同士も仲が良く、患者さんから見たら話しやすい雰囲気ではないかと思っています。教育方針は特にありませんが、みんなそれぞれ自分で判断し行動してくれています。スタッフには、本当に助けてもらっているので感謝しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当クリニックでは、引き続き予防歯科に注力していきたいと考えています。歯科診療において、予防はとても大切です。予防に関して皆さんに最も伝えたいのは、「定期的に歯科医院に来てもらいたい」ということ。症状が進行すると、どうしても痛くて大変な治療になってしまいますが、定期検診に来ていただければ早期発見が可能になります。自覚症状がなくても、お口の中の状態を見ると、3ヵ月ほどでクリーニングしないと細菌が増えてきてしまうということが研究でわかっています。お口の状態によりますが、毎月もしくは3ヵ月に1回のペースで定期検診に来ていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは見た目に配慮した部分入れ歯/16万5000円~、ノンクラスプデンチャー/8万8000円~、床矯正/9万5000円~、スポーツ用マウスガード/8800円~