松澤真二院長の独自取材記事

まつざわ歯科診療所

(大阪市中央区／堺筋本町駅)

最終更新日：2025/10/23

堺筋本町駅直結の船場センタービル4階にある「まつざわ歯科診療所」。50年の歴史がある義父の歯科医院を松澤真二院長が継承、2023年に改称しリニューアルオープンした。「行きつけのお店に行くような感覚で来てもらいたい」と、アットホームでなんでも相談できる雰囲気づくりを心がける同院。説明から治療、その後のケアまで、患者一人ひとりと丁寧に向き合い、納得して受けてもらえる治療をめざしている。インタビューでは、松澤院長が「ぜひ保護者や指導者にも知っておいてほしい」と話すスポーツ用マウスガードの重要性について、また近年要望が増えているホワイトニングや、高齢者のオーラルフレイル予防についてもじっくりと話を聞いた。

（取材日2025年9月8日）

保険・自由診療で限定せず、その人に適した治療を提案
スポーツ分野における歯科診療の普及をめざす
患者の声を大切に、互いに納得できる治療を

保険・自由診療で限定せず、その人に適した治療を提案

どのような患者さんが来られますか？

周辺にお勤めの方や、お住まいのご家族が中心ですね。会社を退職後も引き続き通院してくださる方や、前院長の頃から来てくださっている患者さんも多く、本当にありがたいなと感じています。中央区の1歳6ヵ月児健診を担当しているのですが、乳幼児の数は3倍ほどに増えており、今後さらに増えるそうなので、クリニックの設備も整えて対応していきたいと思っています。私自身、勤務医時代に障害者歯科治療や小児歯科診療も行ってきたので、小さな子の対応にも自信があります。また、当院では矯正やインプラント治療は行っていませんが、私の出身はこの中央区です。独自のネットワークから信頼できる歯科医師をご紹介できますので、どのようなお悩みもまず相談していただければと思います。

患者さんのお悩みで最近増えているものはありますか？

ホワイトニングの相談ですね。以前は若い女性が中心でしたが、最近は男性も増えており、40～50代の方も多いです。ご自身の歯の色で潜在的に悩んでおられた人や、SNSなどの普及により審美面を意識される人のニーズが高まっていると同時に、ホワイトニングの選択肢も広がってきています。自宅で行うホワイトニングの場合、ゴールまで1～2週間ほどかかるのに対し、クリニックで行うオフィスホワイトニングは短期集中のケアなので、早さを求める方に選ばれていますね。また、自宅ホワイトニングではマウスピースを用いるのですが、装着が苦手な方や自己管理が難しい方にも、オフィスホワイトニングは一つの選択肢になります。

保険診療の補綴治療では、銀歯ではなく白い素材も採用されているそうですね。

はい。制限はあるものの、ほとんどの歯でハイブリッドレジンを使った白い詰め物やかぶせ物の治療が可能で、要望も多いです。ホワイトニング同様、補綴物にも審美性を求める方が老若男女問わず増えており、歯に関心が向いているということですから、良いことだと思っています。ですが、ハイブリッドレジンは割れやすいというデメリットもあり、噛む力が強い人には銀歯やセラミックのほうが適しているケースもあります。自由診療か保険診療かという線引きではなく、その人のその歯に合った治療かどうかを考慮して提案しています。

スポーツ分野における歯科診療の普及をめざす

スポーツ歯科医学についても自己研鑽を積まれているそうですね。

そうですね。たくさんの人が安全にスポーツを楽しめるよう、歯科医師の立場からもサポートしていきたいと考えています。その一つがスポーツ用マウスガードの普及です。スポーツ用マウスガードはケガの予防だけでなく、噛み合わせを安定させることは姿勢や体幹にもプラスに働き、本来の力が発揮できるよう手助けする働きも期待されています。ケガをしてしまうと、恐怖心からパフォーマンスが落ち、場合によっては継続自体が難しくなることもあります。スポーツをする学生や子どもたち、ひいてはその子たちを守る立場の保護者や指導者の方にも、スポーツ用マウスガードについてもっと知っていただけたらと思います。

スポーツ用マウスガードについて詳しくお聞かせください。

ラグビーやラクロスなど競技者間の接触が多いスポーツでの使用が一般的でしたが、近年はバスケットボールや野球などでも広まっており、中には装着が推奨、もしくは義務化されるスポーツも出てきました。マウスガードといっても、例えばボクシングのように外傷の恐れがあるものとそうでないものでは造りが異なりますし、市販のものと歯科医院で作るものでも大きく異なります。市販のマウスガードの場合、装着感が悪くしゃべりにくい、滑舌が悪くなるなど、チーム間のコミュニケーションに支障を来すことがあります。一方、歯科医院で作るマウスガードは一人ひとりの口腔の状態に合わせて作るので装着感が良く、また競技ごとの特性に応じた形態で作製することができます。思い切ったプレーをするには、安全性を高めるための道具も必要という考えがもっと広まっていくといいですね。

ほかに力を入れておられる治療はありますか？

ご高齢の方が口腔機能低下症に陥らないよう、オーラルフレイルの予防、早期介入を進めています。加齢とともに唾液量の減少や食べにくい、飲み込みにくいなどの不具合が出てきますが、ご自身ではなかなか気づきにくいんです。ですので、その傾向が見られたらまずご説明をさせていただき、必要に応じて検査も行います。現在、検査・診断の対象となっているのは50歳以上の方で、当院では、舌圧の測定と、咀嚼力の測定の検査機器をご用意しています。口腔機能が数値で表されるので、進行具合やケアによる改善度合いも目で見て感じていただけます。体全体の健康のためにも食べることは非常に重要なので、しっかりと啓発し、患者さんの歯と体の健康を守っていけたらと思っています。

患者の声を大切に、互いに納得できる治療を

患者さんと接する上で大切にしていることは？

患者さんのお話を丁寧に聞くことです。その上で「なぜ虫歯や歯周病になったか」をアニメーションや模型を使ってお話しし、理解を深めてもらいます。治療も歯科医師主導ではなく、患者さんの希望を優先し、納得して受けていただけるよう努めています。特に初診は、皆さん緊張で思うように話せないもの。口調や笑顔など、リラックスできる雰囲気づくりにも気を配っています。帰りがけにもお声をかけるのですが、そのまま談笑することもよくありますね。また、例えば「忙しくてなかなか通院できない」といった要望にも、できるだけ応えるようにしています。ですが、何もかも患者さんの希望どおりが良い治療だとも思っていません。患者さんの中には、どのような治療も自由診療でと希望される方がおられます。もちろん自由診療はいい治療ですが、場合によっては保険診療でも十分にカバーできます。そういったこともきちんとお話しした上で、治療にあたっています。

治療で重視されていることは何ですか？

極力抜かない、削らないことにこだわり、できるだけ歯を残すよう心がけています。歯を長く残していくにはお口全体で診療していくことが大切ですから、噛み合わせについても同時に診るようにしています。30年以上歯科医師をしていると、お口の中を診て体の不調を感じ取ることもあります。体のバランスの悪さが、噛み合わせにも表れてくるんですね。当院では噛み合わせの調整として、義歯であれば詰め物での高さ調整や、ナイトガードを作製して噛みしめの緩和を図るなどの対応が可能です。加えて予防やメンテナンスも重視しており、必ず歯科医師と歯科衛生士の2人で丁寧にチェックし、再発防止や予防につなげています。基本的には3ヵ月に1度のペースですが、一人ひとりの状態を診ながら、場合によっては1ヵ月や2ヵ月ごとに通っていただき、しっかりとケアしていきます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は長年一緒に診療してきた歯科衛生士と私のアットホームなクリニックです。数をたくさん診るよりも、一人ひとりにじっくりと時間をかけた診療を大切にしています。「ちょっと困ったな」「誰かに相談したいな」ということがあれば、行きつけのお店に行くような感覚で気軽に来てもらえたらと思います。実際に、「ほかのクリニックで治療できないと言われたけど、先生はどう思いますか？」といった相談に来る方もおられます。単に技術や治療で終わるのではなく、患者さんが納得し、安心できるようにすることも歯科医師の役目だと思っていますので、他院の先生の診断内容や当院で治療をする・しないに関わらず、素直な自分の見解をお話しします。親しみやすい雰囲気だと思いますので、いつでも気軽に相談にお越しください。