申し込みから実際の治療まで
ステップで知る訪問歯科診療
クレモト歯科診療所
(堺市西区/津久野駅)
最終更新日:2025/01/16


- 保険診療
病気や高齢で歯科医院に通うことが困難な人に対応する「訪問歯科診療」。その存在は知っていても、対象者や申し込み方法、実際にどのようなことを行えるのかなど、わからないことも多いという人も少なくないようだ。それに対し、まだ訪問歯科診療がほとんど知られていなかった時代から取り組んできた「クレモト歯科診療所」の呉本勝基院長は、「高齢者に多い誤嚥性肺炎や糖尿病悪化を防ぐため、積極的に訪問歯科診療を活用してほしい」と訴える。今回は問い合わせや申し込みの方法、実際の治療、メンテナンスまで、訪問歯科診療についての一連の流れを呉本院長に聞いた。
(取材日2023年11月1日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q訪問歯科診療とはどのようなものでしょうか。
-
A
さまざまな理由で歯科医院の外来への通院が困難な方のご自宅や入居施設を訪問し、歯科診療を行うのが訪問歯科診療です。口腔ケアにより高齢者に多い誤嚥性肺炎や感染性心内膜炎など命に関わる病気のリスクを下げるなど、お口の健康が全身の健康と密接に関わっていることが近年明らかとなっています。訪問歯科診療は、歯科医院に通えない方でも、ご自宅にいながら歯科医院と同等レベルの診療が受けられるのがメリット。いつまでも好きなものが食べられるようお口の状態を整えることはQOLの維持・向上にもつながりますし、病気のリスクを下げることは将来のご家族の介助・介護の負担軽減も期待できます。
- Qどのような方が対象となりますか?
-
A
例えば病気で伏せっている方、高齢で足腰が悪く外出が困難な方など、歯科医院への通院が難しい方が対象となります。体のケアに手いっぱいで、お口の健康にまで手が回らない、あるいは年齢を重ねれば歯の状態はこんなものだと諦めている方は少なくありません。また家族のサポートがあっても歯科医院への恐怖心から受診したくない、体調が優れず通院するのは面倒だと感じている方も多いのですが、訪問歯科診療であれば、歯科医師や歯科衛生士がご自宅まで伺いますので、通院は不要でリラックスして診療が受けられるのが利点です。またご家族への指導など、周囲の方を巻き込んだ口腔ケア環境の改善が図れるのも大きなメリットといえます。
- Qこちらでは長年、訪問歯科診療に取り組んできたそうですね。
-
A
訪問歯科診療が広く世間で知られているとは言い難かった2010年頃から本格的にスタートしました。当時はまだ訪問歯科診療を提供している歯科医院がとても少なく、患者さんのさまざまなニーズに応えしたいという思いがあったのと、お口の健康状態が悪いがゆえに人生を楽しめていない方のお役に少しでも立てればと考え、現在まで力を注いできました。当初はわからないことばかりで手探りで進めてきましたが、関係各所にご協力をいただいたり、私がケアマネジャーの資格を取得したりするなど試行錯誤しながら訪問診療体制を構築してきたんです。現在は歯科医師約6人、訪問歯科専任の歯科衛生士4人がチームを組んで活動しています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問い合わせ・申し込み
-
病気や足腰が悪いなど通院が困難な人でも、自宅にいながら歯科クリニックと同レベルの歯科治療が受けられる訪問歯科診療。希望する患者本人やその家族は、電話またはファクスで問い合わせ・申し込みを行う。このほか担当ケアマネジャーが連絡し依頼するケースも。訪問対応範囲はクリニックから半径16km以内で、治療には保険が適用される。自宅住所を伝え、健康保険証のコピーを提出したら、初回訪問日を調整する。
- 2初回訪問
-
申し込み時に決めた日時に、歯科医師・歯科衛生士らの訪問歯科診療チームが訪問。口腔内チェックでは歯周ポケットの検査ほか、必要に応じてポータブルエックス線検査機器で撮影を行い、口腔内の状態を確認していく。入れ歯で噛めない、どのようにケアをしたらいいかわからないなど口周りの悩みがあれば、迷わず相談してみよう。同院では、患者本人はもちろん、家族からの質問にも丁寧に答えるよう心がけているという。
- 3治療計画の説明
-
検査の結果、処置が必要だと診断された場合は、次回訪問日を決める。同院ではケアのみを希望する場合、最低でも月1回の訪問・ケアを推奨しているが、月4回を上限に患者や家族の意向を聞いて柔軟に対応してくれる。呉本院長のモットーは「自分の両親だと思って話を聞くこと」。初回検査・ケアを受けた後、継続の意思がなければ1回のみで訪問は終了。
- 4訪問歯科診療開始
-
歯を削るための切削器材などが含まれるポータブルユニットで、虫歯や歯周病の各治療など歯科医院で受けるのとほぼ同じ治療が行われる。治療場所はリビングやベッドサイドなど、患者が治療を受けやすい場所でOK。同院には歯科技工士が常駐するため、入れ歯の調整がその場でできないときも、持ち帰ってスピーディーに対応してくれる。心身に大きな負担がかからないよう、治療時間は1回につき20~40分程度だという。
- 5メンテナンス
-
治療が終わったら、口腔内を良い状態で維持していくためのケアに移行。訪問頻度などは相談に応じて設定されるという。磨き残しなどがあれば患者本人はもちろん、家族への口腔ケア指導が行われることも。同院の歯科医師・歯科衛生士は患者とのコミュニケーションを大切にし、家族に対しては、どんな治療やケアを行ったのかを丁寧に説明するよう心がけているそう。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。