柳澤 正人 院長の独自取材記事
ユリノキ歯科
(横浜市青葉区/たまプラーザ駅)
最終更新日:2024/09/30
たまプラーザ駅から徒歩3分の場所にある「ユリノキ歯科」。1979年開業以来変わることのない方針「地域で一番患者さんに尽くす歯科医院」に加えて、2代目院長の柳澤正人先生が自身の診療の柱としているのが「予約不要の診療体制」「歯科恐怖症の人のための対策」「定期検診と予防歯科の啓発」「子どもの健康を育む予防歯科」「審美性の追求」の5つ。「ネット予約全盛ですが、今痛みでつらい思いをしている人も予約制にしてしまうと、患者本位の歯科医療からは遠ざかってしまいます」と話す柳澤院長にとって、患者本位のホスピタリティーとは何か。同院の診療の特徴、こだわり、歯科医療にかける思いをたっぷりと語ってもらった。
(取材日2024年5月7日)
困っている時こそ頼ってほしい。歯科医院の存在意義
こちらは、歯科では珍しく予約制を取っていないと聞きました。
はい。私は常々、歯科医師の仕事は患者さんが困っているその時に、痛みや不安を和らげることだと思っているんです。そうやって患者さんのお役に立つことが、僕にとって大きな喜びなので、予約不要で診療を行っています。痛くなるときは、誰にもわからないのですから、困ったらいつでも予約なしで大歓迎です。また、地域で40年以上にわたり診療しているだけに、長年お付き合いしている患者さんの存在は大きな励みです。やはり開業医にとって一番うれしいことは、患者さんが長く通ってくださること。宣伝に力を入れ、新規の患者さんがどんどん増えれば、経営的には潤うかもしれませんが、それで古くからの患者さんが通いづらくなってしまうのは、私が求める歯科医院の姿ではありません。そういうわけで、困ったときにいつでも診療できる体制を整えていますが、患者さんは、急患の方だけではなく、定期メンテナンス目的の方も多いんですよ。
予防歯科にも力を入れているのですね。
治療ももちろん大切ですが、当院では、歯の健康を長い目で育むことを目的に、その人に合った予防歯科の提案や定期検診にも力を注いでいます。ただ、定期検診と歯のクリーニング、あとホワイトニングについては、急を要するものではなく、計画的に実施すべきものなので、予約制にしています。定期検診やクリーニングの目的は、「悪くなる前にその原因を取り除く」「悪因が出ないように清潔に保つ」この2つ。当院では「歯医者いらずの予防検診」と言って皆さんにご提案しています。当院が予防に比重を置くのは「もし患者さんが家族なら」という考えで診療を行っているからかもしれません。大切な家族には健康な歯であってほしいですからね。その熱意が患者さんにも伝わっているのか、ご本人からご友人やご家族へと予防の輪が広がりつつあり、とてもうれしく思っています。
セカンドオピニオン的に受診される方もいらっしゃると聞きました。
例えば、他院で「かぶせ物をセラミックにしましょう」と言われ、高額だし本当に必要なのか疑問に思って当院を受診されるケースがあります。こうした疑問は、患者さんと歯科医院間のコンセンサスがしっかり取れていないことで生じるので、診療ではとにかく説明を重視しています。こちらの都合で治療法を押しつけることはせず、選択肢を複数提示し、デメリットとメリットをわかりやすく説明。こちらを選択したほうが良いという場合も、なぜそう思うのかを具体的にお話しし、しっかり理解していただいた上で患者さんに選んでもらいます。あと、セカンドオピニオンではありませんが「まだ痛みがあるのに、予約制で治療は1ヵ月先と言われたから」といったケースもあります。当院の治療は予約不要なので、痛みがあれば連日でも受診可能です。
歯科恐怖症の人も安心して治療が受けられる環境を
歯科恐怖症の患者さんの治療にも力を入れているとか。
高い所が怖いという人がいるように、歯科医院が怖いという人もいます。何も特別なことではありません。問題は、その前提を踏まえず患者さんの恐怖心を和げることに注力しない歯科医院があるということ。歯を削る音を聞くだけで、診療台に座るだけで、震えるくらいの恐怖を感じる方がいます。その怖さ、耐え難さはとてもよくわかります。ですので「歯科医院が苦手、治療が怖い」と遠慮なくお申し出いただければ、いきなり治療に入るのではなく、対話しながら信頼をつくり、心のコンディションに合わせて進めていきます。急かすことなく、少しずつ慣れるのを待ちます。当院ではリラックスしやすくなるよう笑気麻酔も導入しています。
その他、歯科が苦手な人のために工夫していることは?
歯科恐怖症の人に限らず、歯科医院や歯科治療は、誰にとっても少なからず怖いものだと思うんです。なので、まずは少しでもリラックスした気持ちになっていただけるよう、アットホームな雰囲気づくりを心がけています。家にいるようにくつろいだ気持ちになってもらえたら、患者さんも自分の心のうちを話してくれるかもしれませんし、「こうしてほしい」とリクエストもしやすいですからね。もし治療時のギュイーンという音がつらいなら、ヘッドホンで音楽を聴きながら治療を受けることも可能です。
子どもの口腔環境について気になっていることがあるそうですね。
最近気がかりなのは、噛み合わせが悪いお子さんが増えていることです。うまく噛み合わない歯は、虫歯になりやすく、いつもポカンとお口が開いて口呼吸になるなど、いろんな支障を来します。噛み合わせの不具合には、ゲーム端末やスマホの見すぎによる姿勢の悪さや、やわらかい食べ物ばかりで食べていることによる顎の発達不全など、いろんな因果関係が考えられます。そのため当院では、姿勢や食育の指導を実施。小児矯正にも取り組んでいて、女性の矯正専門の先生が担当しています。この他、虫歯予防のためのブラッシング指導、フッ素塗布、定期検診に力を入れ、お子さんが歯科医院嫌いにならないよう、優しい雰囲気で対話を大切にする「親しみやすい歯医者さん」を心がけています。
歯科医院の雰囲気からもスタッフ間のチームワークの良さがうかがえます。
長年勤めてくれている仲間も多く、チームワークは良いですね。歯科医師は僕の他に、木曜・金曜の午前中に女性の歯科医師が来ています。歯科衛生士は現在3人で、歯科助手は4人という構成です。僕がスタッフに望むのは、自分で考えて行動するということ。歯科医師もスタッフも対等な立場で、一人ひとりが患者さんのために何をすべきか考え行動に移せるように、自主性を大切にしてほしいと思っています。
地域住民の歯の健康を守り続ける歯科医院
ホワイトニングにもこだわりを持って取り組んでいるとお聞きしました。
ホワイトニングを希望される方は多いですが、皆が皆、芸能人のような「純白な歯」を求めているわけではありません。「ナチュラルな白さ」を希望される人も多いです。美の基準に正しさはありません。人それぞれ審美の価値観があるので、僕はそこをしっかり尊重したいのです。なので、当院のホワイトニングは、患者さんの要望に耳を傾けることからスタートします。これはホワイトニングに限らず、すべての歯科技術に通じることですが、ホワイトニングにもその人が望む白さのイメージがあるように、虫歯の治療にもどこまでのレベルを望むのかは人それぞれ異なります。歯科医師の理想を押しつけるのは、単なるエゴ。患者さんが望むゴールを把握し一緒にゴールをめざすのが僕のやり方です。
ところで、先生が歯科医師を志したきっかけは何だったのでしょう。
父が歯科医師だったので、ごく自然に歯科医師の道を選びました。父の背中を見て、患者さんに喜んでいただける仕事の意義深さを感じていました。兄弟3人とも歯科医師ですから、母にうまく乗せられたのかもしれません(笑)。当院を開業した父は、患者さんの話をじっくり聞いてあらゆる可能性を探り、噛み合わせを診て義歯を作るなど、包括的な診療を行っていました。教科書にはない独自の診断基準を持っていたので、そこは僕自身も身につけられたかなと思います。引き継いだ知識と技術を、スタッフにも伝えていきたいですね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
父から受け継いだ歯科医院をこれからも長く続けていきたいです。当院の強みは、自分たちのスタイルにこだわるのではなく、皆さんの思いを受け入れていく柔軟さにあると考えています。ぜひ気づいたこと、希望されること、率直にお話しください。性別や年齢に関係なく、あらゆるお口の悩みを解決できる治療をめざし、これからも地域の方たちに密着した歯科医院でありたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/I期35万円~、成人矯正/85万円~(症例によって費用が異なります。詳細はクリニックにお問い合わせください)、ホワイトニング/1万6500円