三木 雄斗 院長の独自取材記事
坂寄歯科医院
(取手市/藤代駅)
最終更新日:2024/06/14

「坂寄歯科医院」は、藤代駅北口から徒歩10分の住宅街の一角にある。看板もなく、ドアに院名がそっと書いてあるだけだが、不思議と無機質な感じはせず、ノスタルジックな温かさが感じられる。「決してハードルを高くしているわけではないんです」と、笑う三木雄斗院長は、歯科の中でも「保存科」の出身で、できるだけ歯を残した治療をめざす保存分野全般を得意とする。それでも三木院長自身に気負いはまったく感じられず、「近隣の方も遠方にお住まいの方も、気兼ねなく相談に来てください」とほほ笑む。郷愁を誘う雰囲気を醸しつつも先進の機器がずらりと並ぶ院内で、三木院長に話を聞いた。
(取材日2024年5月9日)
「できるだけ削らない治療を」と保存分野を学ぶ
三木院長が歯科医師を志した理由を教えてください。

小さい頃から漠然と「医療系の仕事がしたい」とは考えていました。歯科医師を選んだのは通っていた高校の指定校推薦の枠に、日本歯科大学新潟歯学部(現・新潟生命歯学部)があったからです。スキーが趣味だったこともあり「ここだ!」と思って進学先を決めました。ちょっと軽めの進路選択かもしれませんね(笑)。ただ、実際に入学してみると面白いなと感じることが多く、昔から手先が器用で物づくりが好きだったこともあって、特に実技全般についてはとても興味深く学びました。さらに5年生で実習に行って、指導担当の先生が生き生きと楽しそうに仕事をしているのを見て「こんなふうに仕事がしたい」と思うようになりました。
「保存科」に進まれたと聞きました。
はい。あまり知られていないかもしれませんが、歯科には小児歯科や矯正歯科、口腔外科などの他に保存科や補綴科などがあります。補綴科が、かぶせ物や義歯を作るといった比較的大きな虫歯を対処するのに対し、保存科は、それよりも初期の虫歯を対象に、文字どおり歯をできるだけ保存した状態をめざして治療する分野です。私は自分が勉強する内容を選択する時、「家族のために役立つ知識か」を基準に考えることが多いのですが、やはり、自分の子どもや家族にはできるだけ削らない治療をしたいと思ったのが「保存科」を選んだ理由です。
患者さんには歯科治療について、どのようなことを伝えていますか?

歯を治療できる回数は有限だと私は捉えています。だから患者さんには、歯科治療は「回数券制」と説明しているんです。1本の歯につき、治療の回数券が20枚あったとすると、小さい虫歯治療は1、2枚、部分的な金属の詰め物をする治療だと3、5枚、大きなかぶせ物は5~10枚の回数券を使うといったイメージです。たくさんの回数券を使う治療を行えば長持ちするかと問われると、実はそうとは限りません。つまり、大がかりな治療をしたからといって長い期間安心できるわけではなく、むしろ早い時期に大きく削ってしまうと、その後の治療に対応できる部分が減っていってしまうので、少ない回数券で済む時点で治療を始めるのが歯を長持ちさせられるといえるでしょう。症状が出る前に、定期的に歯科医院を受診していただくと、回数券をあまり減らさないことにつながり、それがご自身の歯を長持ちさせることへ導けると思います。
丁寧な説明と精密な治療がモットー
院長に就任された経緯を教えてください。

当院の先代院長は、妻の母でした。私自身は徳島県出身で、先ほどお伝えしたように新潟県にある大学に進学したので、茨城県とは縁もゆかりもなかったのですが、妻が茨城県出身だったこともありこちらに移り住み、茨城県内で勤務していました。そんな中、義母が倒れたのをきっかけに、当院の院長を継承することになったんです。義母の復帰までのお手伝いのつもりだったのですが、気がついたら7年目に入りましたね。取手市は、農家さんが多いという印象で、先代から引き継いだ時にはご高齢の患者さんが多かったのですが、現在はお子さんや若いビジネスパーソンなど、幅広い年代の患者さんに足を運んでいただいています。
診療ではどのようなことを大切にされていますか?
国内だけでなく、海外からの患者さんもいらっしゃいます。遠方からも患者さんが来てくださるのは非常にうれしいですね。ただ歯科医院は、長く通えて何かあった時すぐ相談できることが大事だと思うので、地域の方にも気兼ねなく利用していただけたらと思います。当院は「丁寧な説明と精密な治療」がモットーです。患者さんには現在の歯がどんな状態で、どんな治療計画が考えられ、将来的にどんな変化が起こり得るか、治療に伴う痛みはどうかなど、きちんと説明してから治療に入りますのでご安心ください。もちろん「治療はせず、歯磨きなどのケア指導や食事のアドバイスだけで様子を見ても良いのでは」といった状態でしたら、そのようにお伝えします。詳細さに驚いていただけるような丁寧な説明を目標に、現場に立っています。
歯科医師を対象に、体験型のセミナーやウェブセミナーなどもされているそうですね。

はい。卒後5年目くらいまでの若手の歯科医師などを対象に、教育にも力を入れています。知識やテクニックももちろんお伝えしますが、私がセミナーを行う一番の目的は「セミナーを受けることで、いつもの処置がもっと楽しく感じられるようになること」です。セミナーで、これまで知らなかったことを知り、できなかったことができるようになると、これまでと同じ治療でもワンランク上のことをめざせるのではないでしょうか。そうなると、どんどん仕事が楽しくなってくるんですよね。仕事は人生の大きな部分を占めますから、仕事を楽しめると人生も楽しく過ごせると思うのです。治療する側の幸福度が高くなり、治療もワンランク上になると、患者さんにも大きく還元されていく。そんな好循環を若手にも継承していきたいですね。
歯科医院を選ぶのは、人生を選ぶのと同じ
お休みの日はどのように過ごしていますか?

オンオフをはっきりさせるタイプなので、休みの日は仕事のことは考えず、家族と思いっきり遊びます。子どもが3人いるのですが、公園などで体を大きく使って遊んでいます。上の子はこれまで自転車に乗る機会があまりなかったので少し前に自転車を教えたのですが、どんどん習得して、先日はマウンテンバイクも乗りこなしていました。昨シーズンからは私の趣味でもあるスキーにも、家族みんなで挑戦しています。白馬などに行って、子どもたちはスキースクール、大人は大人で滑ることを今シーズンはよくやっていました。往復の運転もあるので少し疲れますが、仕事自体がとても楽しいので、週明けに疲れが残っていたとしてもまったく苦ではありませんね。
診療の際、大切にしていることをお聞かせください。
治療前に丁寧に説明することはもちろんのこと、治療においては精密さを大切にしています。もう長いこと、拡大鏡を最大の倍率にして使っています。初めて使った時は「今まで肉眼で見ていたものは何だったんだろう」と驚き、今では拡大鏡は診療のなくてはならない相棒ですね。人間の目は、小さいものを大きくする機能はないので、どれだけ視力の良い人でも0.1mmの段差を肉眼で診査することはほぼ不可能です。歯の色味にもこだわり、色を撮りわけることに特化した一眼レフカメラを購入して口腔内を撮影して対応しています。詰め物やかぶせ物も、適合と形にこだわりのある歯科技工士さんにお願いしているのですが、こちらがびっくりするほど土台と細かく合わせたものを作ってくれるんですよ。そうやって、あらゆる方面から精密に治療することを大事にしていますね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯科医療は、治療に入るタイミングと治療の精度によって人生が大きく変わってくるものです。そのため、患者さんには、慎重に歯科医院を選んでいただきたいのです。選ぶポイントとしては、その歯科医師の得意な治療や重視している治療をチェックすると良いと思います。私のように保存科出身の歯科医師は、予防や超初期の治療を重視していますし、既に義歯がおありの人でしたら、義歯科出身の先生だと安心かもしれません。他にも長く通い続けられることが大事です。私は予防や保存をメインにしつつ、30年後を見据えて治療方針の提案をしていますので、かかりつけとして長く付き合っていただきたいと思います。私自身も、地域の幅広い年齢層に対応できるよう、この先もますます知識、技術をアップデートしていくつもりです。
自由診療費用の目安
自由診療とはダイレクトボンディング/5万円、オールセラミッククラウン/14万円~18万円、根管治療(前歯1本)8万円、根管治療(臼歯1本)14万円、インプラント治療(ガイドあり、上部構造含む)44万円~、ホームホワイトニング/2万2000円~、床矯正(I期治療~II期治療)/33万円、マウスピース型装置を用いた矯正(II期矯正)/110万円、ワイヤー矯正/78万6500円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。