予防が大切な小児歯科
女性歯科医師ならではの目線
とうめい歯科
(東海市/太田川駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
子どもを歯科医院に連れて行くタイミングを迷っている母親は多いのではないだろうか。「とうめい歯科」の山崎知美先生は「歯が生え始めたら、一度歯科医院へ連れてきてほしい」と話す。兄が院長である歯科医院で小児歯科や小児矯正を主に担当している山崎先生は、自分も小学生の子どもの母親だ。保護者と話す時はいつも母親の目線に立って、話を聞いているという。近年、食生活の変化により、子どもたちが硬い物を噛む機会が減り、口腔内に弊害が起きていると言われる。食育についても積極的に勉強をしている山崎先生は、子どもの歯の成長と食の関連についても保護者に伝えたいと話す。そんな山崎先生に、子どもに必要な歯のケアや、女性歯科医師としての思いなどを聞いた。
(取材日2018年3月16日)
目次
虫歯になる前に定期的に歯科検診を受診することで、家族で子どもの歯について考える機会をもってほしい
- Q子どもを歯科医院に連れて行くタイミングを教えてください。
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A
▲待合室にキッズスペースがあるので子どもを連れていきやすい
基本的には歯が生え始めたらまず一度連れてきてほしいですね。生後6ヵ月くらいで歯が生えてくるので、その頃から通ってもらい、歯の成長の様子をみていきたいです。時期が来たら離乳食などについてもお話しできたらと思っています。赤ちゃんの場合はお母さんのお膝に抱っこして診察することもできるので、安心して連れてきてください。小さいうちから歯科医院に行くことで子どもも慣れ、ここが怖い場所ではないとわかります。そうすることで、今後治療するときもスムーズに行うことができます。お母さんにとっても、子どもの歯に興味を持っていただく機会になれば良いと考えています。
- Q乳歯は生え替わるのでつい油断しがちですが……。
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A
▲小児歯科を主に担当する山崎知美先生
「乳歯はいずれ生え替わるから大丈夫」ということではないんですね。乳歯が虫歯になってしまうと、それを治療することで歯が小さくなってしまい顎のスペースが狭くなってしまいます。それに虫歯になることで上手に噛めなくなり噛み合わせがおかしくなることも。噛み合わせがおかしくなればますます噛みにくくなり顎の発達に影響が出る、というように悪循環になりがちです。永久歯に生え替わることで歯はリセットされるのですが、顎などの見えない部分はそのまま残ってしまいます。それに、口の中の環境も虫歯菌がいる状態になってしまうので、やはり乳歯の頃から歯のケアをしっかりすることはても大切です。
- Q家庭でもできる、子どもの歯のケアはありますか?
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A
▲家庭でできるケア指導もしっかり行う
お子さんが自分で歯磨きをしっかりするのはもちろんですが、子どもだけではなかなかうまくできないのが現状です。お子さんが磨いたあと、親の目で仕上げ磨きをしてほしいですね。歯ブラシだけでなく、歯と歯の間の汚れを子ども用の糸式ようじを使ってきれいにすると良いですよ。それから、おやつは時間を決めてあげるようにしてほしいですね。おやつをまったく食べない、というわけにはいかないと思いますが、常に口の中に物が入っているような状態だと、口内が酸性になってしまい虫歯ができやすくなってしまいます。それは母乳にも言えることなので、できるだけ時間を決めて与えるようにしてほしいと思います。
- Q歯並びが悪いと将来どのような影響があるのでしょうか?
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A
▲噛み合わせの問題は早期発見・早期治療が重要
見た目が良くないだけでなく、虫歯ができやすくなります。また、噛むことによって脳に刺激がいくことを考えると、そういう面にも悪影響が出ると思います。大人になって肩が凝りやすかったり、歯周病にもなりやすくなる可能性も。最近の子どもたちの歯をみていると、矯正が必要だと思われる子どもがとても多いです。噛み合わせはなかなか自分や親では気づきにくいので、歯科医院での定期検診を受けてもらうことは早期発見の意味でも大切ですね。できれば、虫歯の治療も矯正もやらなくて済むならやらないほうがいいですよね。なるべく早めに来てもらい、痛い治療をしなくてよい段階で、お子さんとの信頼関係を築いていきたいと思っています。
- Q診察において女性医師だからこその目線を教えてください。
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A
▲山崎先生が母親として感じることも考えながら診療している
私も2人の子どもの母なので、お母さんの気持ちや立場がよくわかります。歯科医師としてはこうしてほしいと思っても、実際に自分はできているかと考えたとき、お母さんに無理のないようにお話をすることが大切だと思います。どのお母さんもお子さんのことに一生懸命だと思いますが、いろいろな事情からなかなか思うようにいかないこともありますよね。子どもの歯にとってお母さんの力は確かに大きいですが、「お母さんが」と言われるとプレッシャーに感じてしまう人もいると思います。ですから、治療の選択肢をいろいろ示しながら、お母さんと一緒に考えていくようにしています。時には同じ母として、歯以外の話もできればと思います。

