玉木 頌子 院長の独自取材記事
玉木歯科医院
(名古屋市熱田区/熱田神宮西駅)
最終更新日:2025/05/15

熱田神宮のほど近く、情緒あふれる閑静な住宅街にたたずむ「玉木歯科医院」。明治22年の開院以来、130年以上にわたり地域の健康を見守り続けてきた老舗クリニックである。総合的な歯科検診を導入するなど、常に一歩先を行く先進性で、地域医療の未来を切り拓いてきた。現在、5代目院長を務める玉木頌子先生は、「世代を超えて愛される医院」を信条に、長い歴史と伝統を守りながらも、再現性を重視する現代の歯科医療に応じた技術の継承にも力を注ぐ。また、「美と健康」をテーマに女性ならではの視点を生かした治療や、そのこまやかな配慮は、老若男女を問わず多くの患者から絶大な信頼を寄せられている。そんな頌子院長に、同院の特徴や診療時の心がけなどについて話を聞いた。
(取材日2025年4月11日)
伝統を継承しつつ、一歩先を行く歯科医療を提供したい
5代目院長として、クリニックを継承した経緯を教えてください。

実は、父は「他にやりたいことがあるなら閉院してもいいよ」と言ってくれていました。ですが幼い頃から、一人っ子というのもあり「自分が継ぐんだろうな」というのも、ずっと心のどこかにありました。何より4代続いているのはすごいと感じていましたので気づいたら自然と歯科医師の道へ。当院に勤務して10年以上がたち、昨年12月に院長に就任しました。現在は、父も顔を出してはいますが、診療のほとんどは私が担当しています。大学時代は、父の仕事について深く理解していませんでしたが、一緒に働く中で、父が歯科医療の発展に尽力してきたこと、そして当院が長年続いてきたことには確かな理由があることに気づきました。今後は、父の築いてきた良い部分を大切にしながら、新しい取り組みにも挑戦していきたいです。
お父さまはさまざまな歯科医療を日本に持ち込んでいたそうですね。
今でこそ「予防歯科」は一般的になりましたが、父が総合的な歯科検診を始めた約40年前、日本の歯科医療はまだ「治療中心」でした。当時、スウェーデンをはじめとする欧米では、検診とクリーニングが健康管理の一環として定着しており、歯周病が心疾患や脳疾患、糖尿病などのリスク因子とされる概念も浸透していたと聞いています。父は師匠とともにスウェーデンに渡り、学びを深めました。その中で「これからは予防の時代になる」と確信を持ったといいます。また、インプラントも日本になかった時代に、仲間とチームを組んで欧米で学んだそうです。予防の重要性を広めるため、仲間とともに活動をし、常に時代の一歩先を見据えて行動していたのだと、改めて感じています。
貴院のコンセプトを教えてください。

「世代を超えて愛される歯科医院であること」。祖父の代から通ってくださる患者さんも多くいらっしゃいますし、「今日はお父さんいないの?」と聞かれることもあります。そんな温かみのある信頼関係が、当院の礎となっています。また、再現性が求められる現代の歯科医療において、その技術を誰が行っても成果を出せるように理論化することが大切なのですが、父はそのための取り組みに精力的に携わってきました。また、総義歯や補綴治療の分野で、欧米から導入された技術を日本で広める活動も行っていました。その考え方に触れたとき、私は学校で学んだ内容とは、まったく異なる発想に衝撃を受けました。現在も父とともに学んだ歯科技工士さんにお願いしており、精度の高い補綴物が提供できるのも当院の強みだと思います。
女性院長ならではの視点を取り入れた特徴的な治療
院長としての診療への想いは?

まず患者さんの主訴を的確に取り除くことが第一。ただし、悪い部分を治すだけではなく、「しっかり噛める」機能的な口腔環境を整えることが大切だと考えています。特に重視しているのは、天然の歯や本来の口腔環境を最大限に生かし、「できるだけ削らない・抜かない」治療を行うこと。これは、予防の考え方につながっています。自由診療のインプラントなど、ご希望があればご相談に乗りますが、それはあくまで次のステップ。インプラント治療は、リスクもあるため第一選択とはしていません。義歯やブリッジに抵抗がある方に、最終手段としてご紹介することはあります。また、私は当院で5代目にして初の女性院長です。だからこそ、女性ならではの視点を生かした治療や配慮を、少しずつ形にしていきたいと考えています。
女性ならではといえる治療には、どんなものがありますか?
「審美歯科Beauteeth」と「ホワイトニング」の2つを柱に据えています。Beauteethは「より健康に、より美しく」をコンセプトに、1フロアの特別なスペースで行う審美歯科。癒やしの空間で、ストレスから解放されてケアを受けていただけます。当院のホワイトニングでは、歯を美しく保つことをめざしています。ホワイトニングは、歯の表面を薬剤で傷つけて白く見せようとするものもあり、痛みや歯肉のトラブルを引き起こすこともあります。一方、当院で行っているホワイトニングでは、まずホワイトニングの薬剤で歯の表面を処理した後に、しみないような工夫をしています。そうすることで痛みの軽減につながるので、小学生からでも実施可能なホワイトニングだと思っています。当院のホワイトニングに興味を持って来てくださる患者さんも多いですね。
貴院の特徴的な治療を教えてください。

「1ランク上」のオーラルケアです。オーラルケアでは、虫歯・歯周病・口臭といった予防プログラムを個別にカスタマイズ。ご自宅のケアでは行き届かない部分の汚れを丁寧に除去し、健やかな口腔環境をサポートします。担当する歯科衛生士は、オーラルケアについて深く学んできた経歴を持っています。また、食いしばりや歯ぎしりに悩む人の相談にも乗っているので、何か少しでも悩んでいる方は気軽に来ていただけたらうれしいです。
会話で築いた信頼関係が適切な治療の提供につながる
診療の際に心がけていることは?

まずは患者さんのお悩みを解決すること。ただし、不調の原因が口腔内だけにあるとは限りません。例えば、噛み合わせの不具合が全身の不調につながっているケースも考えられます。そのようなときは、全身のバランスを含めて対応しています。また、診療では、患者さんとの対話を重視しています。本音が最後の一言に隠れていたり、何気ない会話の中に問題のヒントが潜んでいたりすることも多いと思っているからです。会話の中から本音を読み取るのも、かかりつけ歯科医師としての役割。会話を通じて信頼関係を築き、生活背景まで理解できれば、その方に本当に合った治療法を提案することができるのではないでしょうか。
子どもから高齢の方までいろいろな患者さんが来院されるそうですね。
はい。ありがたいことに、父の代からずっと通ってくださっている方が多いですね。ホワイトニングなどもしているため、若い方も来てくださっており、本当に幅広い患者さんがきてくださっています。最近では、いろいろご縁もあって、お子さんのスポーツ用マウスガードのご相談を受けることも増えています。他にも、テコンドーなどのスポーツをしているアスリートの方からのご相談もありますね。歯科医師としての関わり方が広がっているのを実感しています。これからもみなさんのいろいろな悩みに寄り添えるような歯科医師でありたいと思っています。
今後の展望について教えてください。

「美と健康」を両立させる歯科医療を提供していきたいです。特に、審美歯科と予防歯科の組み合わせに注力し、見た目だけでなく、機能面や健康面までサポートできることをめざします。審美歯科は、男性歯科医師には話しづらいことでも、女性の私になら相談しやすいのではないかと思います。父から受け継いだものを大切に受け継ぎながら、今後は女性ならではの視点も取り入れ、患者さんに還元していけたらと思っています。また、「どんな小さなことでも気軽に聞ける」雰囲気を大切にしています。補綴物をセット後の食事についてなど、こんなことを聞くのは恥ずかしいなどと思わないで、まずは気軽に聞いていただけたらと思います。どんな些細なことでも気になることがあれば、遠慮なく聞いていただけたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/8万8000円~、ホワイトニング/6万6000円~(5回セット:6本)