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水野 和生 院長の独自取材記事

水野歯科口腔外科

(名古屋市中村区/太閤通駅)

最終更新日:2021/10/12

水野和生院長 水野歯科口腔外科 main

中村区役所駅近くの太閤通り(県道68号線)沿いにある「水野歯科口腔外科」。クリニックを訪ねると、院長の水野和生先生が出迎えてくれた。年間100人近くのインプラント手術を行う水野先生は、まだ日本ではインプラント治療が珍しい頃からこの治療法に携わってきた。怖いというイメージを持たれることもあるインプラント治療だが、説明を聞いてやってみようと思うのは意外に高齢者や女性が多いとのこと。中には80歳過ぎの方でもインプラントを入れたり、総入れ歯を全てインプラントにすることもあるという。「患者さんから『旅行に行って硬くておいしいものが出ても、今は全部食べられる』と喜ばれた時、大きな喜びを感じる」、そう語る水野先生に、当院の特徴や診療方針を詳しく聞いた。

(取材日2016年9月15日)

主に1回法で手術可能なHAインプラントを用いて治療

クリニックを開業されたのはいつですか。

水野和生院長 水野歯科口腔外科1

父が戦後の1949年にこの場所に開業し、私が跡を継いだのが約20年前です。当時私は45歳で、尾張一宮市にある総合大雄会病院の口腔外科部長を退職してこの診療所を引き継ぎました。患者さんは父の代からの方やそのご家族、その後クチコミで来ていただいた方が多いですね。愛知学院大学歯学部卒業後、父が元気なうちはずっと大学病院などで勤務医をしていました。その頃は口腔がんや顎顔面の重症外傷、先天的口腔奇形などの重症疾患の診療に明け暮れていました。今でも親知らずの抜歯など口腔内の小手術の方を比較的得意としています。開業の歯科医としては、少し変わり種かも知れませんね。

現在の治療はインプラントが中心だそうですが、特にそれに取り組まれたのはなぜですか。

昔はインプラントが今ほど多くはなかったのですが、勤務医をしていたので関連の文献を読む機会も多く、研究動向には興味がありました。治療設備にも恵まれていたので希望する患者さんに少数例は手がけていました。理論的・基礎的にはすでに治療法としての完成度が高まってきていたので、将来の普及はある程度確信していました。それで開業後はこれを診療の柱にできないかと考えていました。本格的に取り組むようになったのは開業後のこと。当初から特に義歯の嫌いな患者さんなどには積極的にインプラント治療をお勧めし、治療結果におおむね満足していただけたこともあり、自然とクチコミでインプラントを希望して訪れる患者さんが増え、今では全体の8割以上を占めるようになりました。インプラント治療が一般的な歯科治療手段として確立し、ちょうど普及する時期に重なった点が幸いしたのかな、と思っています。

インプラント治療の特徴について教えてください。

水野和生院長 水野歯科口腔外科2

今は専らチタンインプラントに比べて迅速で経済的な治療を行えるHAインプラントを用いています。手術は1回で終える事ができ、1度に複数のインプラントを入れることのできる1回法がメインです。患者さんへの通院負担が少なく、2回法のおよそ半分の期間で治療を行えるのも利点ですね。歯科用CTの普及で術前診断精度が向上し、近年可能となった粘膜を切開しないフラップレス手術といった手術法により、出血や術後の細菌感染リスクが軽減され、術後の痛みや腫れなどの不快症状も劇的に改善されるようになりました。HAインプラントの特徴は、内部構造が頑丈で長期的に見ても故障が少なく、手術後の経過も安定しています。そのため、治療が終わった後の経過管理も頻回の通院をしていただく必要がなく、通常の場合半年に1度のメンテナンスに来ていただくことで充分に良好な長期予後を得ることができます。

口腔外科分野の幅広い症例に対応

当院の特徴やアピールポイントはどんなところでしょうか。

水野和生院長 水野歯科口腔外科3

口腔内の幅広い外科的疾患に対応することができます。口腔癌などの高度な全身管理を必要とする疾患の場合は診断がつき次第、自分の後輩たちのいる大学や地域中核病院へ一刻も早く紹介転院してもらいますが、通院で経過管理できる疾患の患者さんは今も多く診ています。インプラントをはじめ手術は数多く行っていますが、いずれも術前診断、治療方針の説明には時間をかけて慎重に進めています。火曜の午後と木曜の午前を予約手術日にあてており、それ以外の時間帯は、術前術後管理やメンテナンス、長期予後管理などの通常診療を行っています。局所麻酔の小手術でも口腔外科としての清潔管理を徹底しており、一部ですが一般外科で使われる検査・モニタリング器材も取りいれています。

インプラント治療について、当院ならではの取組みがあれば教えてください。

インプラント治療に取組みはじめて間もなく、他院の先生方から手術の応援や代行を頼まれたり、インプラント手術を目的に患者さんを紹介していただけるようになりました。現在では新患のうち、6~7割程度の患者さんはインプラントを希望して当院を受診されますが、残る3割位の方は他院からの紹介の患者さんです。それに伴って、インプラント手術や周術期管理の部分だけを当院で行い、その後の歯科的治療や経過管理については通い慣れた先生に診ていただくという、「連携医療」体制の構築を進めてきました。この診療形態は、治療を受ける患者さんの側にとっても非常にメリットがあるので、今後も伸ばして行きたいと考えています。

診療技術向上のため、他に何か行っていることはありますか。

水野和生院長 水野歯科口腔外科4

10年ほど前にインプラントに興味を持つ近隣の歯科医師の先生方などに呼びかけて、「インプラント診々連携研究会」という小さなスタディグループを立ち上げました。具体的な活動内容は、大学などから講師を呼んでの講演会や、自験症例を持ち寄っての症例検討会を開催するなど、“共に学ぶ場の提供”ですね。さまざまな課題についての研究や交流を通じて向上を図ることができますし、臨床家同志の懇親を図るための空間としても意義のあることだと思っています。この会を通じて、また関連する学会や研究会などに参加することによって、今後も日進月歩のインプラント研究動向に遅れを取らないよう、自分自身の励みにしたいとも思っています。

インプラントは特別なものでない時代。安心して受診を

インプラント治療の今後の課題についてお聞かせください。

水野和生院長 水野歯科口腔外科5

インプラントを今以上に低コストで誰でも安心して受けられる治療法にしていくことですね。日本の医療保険制度では、インプラントはいまだに保険適用ではないために治療費負担が高額になりやすく、これがインプラント普及の最大の障害になっていると思います。当院でもやはり比較的経済的余裕のある患者さんが多くを占めているのが現状です。それでも当院ではインプラント1本当りの費用負担をおよそ15万円程度までなら無理なく低減できるようになっています。今後はさらに医院経営上の無駄を省き診療を効率化し、低コストのインプラント治療を実現したいと考えています。また、今後のインプラントの適応拡大のためには失われた歯槽骨の外科的再建技術が重要になります。症例を選んで、この面にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。

お忙しい毎日だと思いますが、お休みの日はどのようにお過ごしですか。

魚釣りへ出かけることが多いですね。知多半島へ行ったり、若狭湾でゴムボートを浮かべたり、同好の患者さんのボートに乗せてもらったりして主に船釣りを楽しんでいます。本業がこまかい手先仕事なので、どちらかというと旅行とかアウトドア系が良い気分転換になります。シーズン中は手前船頭でアジや小鯛、アオリイカ、時にはヒラメ・ハマチなんかを釣って来ます。釣ってきた魚を捌くのは、専ら家内が担当してくれてますね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

水野和生院長 水野歯科口腔外科6

私自身は、デンタル・インプラントは近年最も進歩を遂げており、すでに成功した『人工臓器』医療なのだと考えています。もちろん義歯などの伝統的な治療法にもさまざまな捨てがたい利点はあり、今後もしばらくの間は義歯とインプラントの併存する時代が続くのでしょう。インプラントにはなお適応に制約もあり、患者さんの局所・全身状態によってはお勧めできない場合もあります。それでも当院の治療に興味をお持ちの患者さんは、まず「一度セカンドオピニオンを求めてみよう」といったスタンスで気軽にご相談にお越しください。最近は、他院でインプラント治療を受けているが満足できないとか、他院で断られたなどの患者さんの相談も増えています。まずはセカンドオピニオンを提供し患者さん自身にとって何が『最善』なのかを考えていただく上では役立てると思います。

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