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内海 俊明 院長の独自取材記事

うつみ歯科

(松山市/久米駅)

最終更新日:2025/01/09

内海俊明院長 うつみ歯科 main

南久米の閑静な住宅街にたたずむ「うつみ歯科」。広島県出身の内海俊明先生は、広島大学歯学部を卒業後、広島大学病院歯科での研修医を経て愛媛県へ。愛媛大学医学部附属病院歯科口腔外科や新居浜市の愛媛労災病院、愛媛県口腔保健センターのセンター長を経て1996年に開業した。むし歯や歯周病治療を中心とした外来診療をはじめ、訪問歯科診療にも精力的に取り組んでいる。「自分の守備範囲である地域患者さんに責任を持つことを信条としています」と語る内海俊明院長に、開業してから今までのクリニックの歩み、そして地域における歯科医療への思いについてじっくり話してもらった。

(取材日2020年4月1日)

地域の人々の口腔内に責任を持つ歯科診療を

開業されるまでの経緯を教えてください。

内海俊明院長 うつみ歯科1

私は広島県の尾道出身なのですが、地元広島大学歯学部を卒業後、広島大学病院歯科での研修期間は主に歯周病治療を学びました。それから愛媛大学の口腔外科に移り、口腔外科全般を経験する間、新居浜の愛媛労災病院でも1年半ほど勤務。2人目の子どもが生まれるタイミングでそろそろ松山市内に落ち着きたいと思っていたところ、愛媛県口腔保健センターのセンター長にというお話をいただき、4年間勤めました。そこでは障がい者歯科医療や在宅医療を中心にしており、さまざまな主訴を持つ患者さんを診ることでゼネラリストとしての経験を積むことができたと感じています。開業したのは35歳のとき。そもそも開業はあまり考えていなかったのですが、後押ししてくれる方もいて、それなら30代のうちに独立しようと決めました。

先生が診療において大切にしていることとは?

まずは地域密着で、自分の守備範囲の患者さんには責任を持つということです。心臓が悪くなった、寝込んでしまって通えないという方に対して、じゃあ診られませんではいけませんよね。子どもから高齢者まで、最期まで診られるように。もちろん重大な疾患の場合は大きな病院と連携し、すぐに紹介しますが、最初から「できません」ではなく、持病のある方でもまずは当院ではしっかり診ていくことを大切にしています。

口腔内の疾患が持病にも影響するということでしょうか?

内海俊明院長 うつみ歯科2

そうですね。特に歯周病菌の影響はクローズアップされています。糖尿病との関係性ですよね。糖尿病で免疫が落ちれば歯周病が悪化しますが、歯周病が悪化すると糖尿病が悪化する可能性も高くなります。歯周病は炎症なので、かなり重度な人になると、面積にして手のひらぐらいの歯茎の周りが炎症を起こしていることになります。例えば腕や足がそんな炎症を起こして腫れていたらすぐに病院へ行きますよね。しかし口の中は見えませんし、痛みがないことも多いですから気づかないために病院へ行く機会を逃してしまう。重症化した歯周病の場合、歯周病菌が血液を介して他の臓器に影響を与えることもあります。糖尿病のほかに多いのは心疾患。比較的若い人が急に心筋梗塞を起こした場合、その原因の一つに歯周病菌が詰まっていたというケースが実際にあるのです。

継続的な歯周病管理で健康寿命の維持をめざす

それで先生は歯周病治療に注力されているのですね。

内海俊明院長 うつみ歯科3

研修医時代に歯周病を専攻していたこともあり、開業の際には歯周病管理に取り組んでいこうと決めていました。まずは歯石を取って口の中をきれいにした上で、歯周病の管理をしていくスタイルを開業以来続けています。歯周病治療で大切なのは、継続的な管理。いくら手術をして歯周病を治しても、その後のメンテナンスやセルフケアができていなければ、またすぐに悪くなってしまいます。近年は、厚生労働省も歯周病管理に着目していますが、それはきちんと管理をしている人を調べると、その方が医療費が結果的に低くなるというデータが出ているからなのです。歯周病治療は地味なものではありますが、口の機能を守るためにはとても大切なこと。ですから当院では、メンテナンス重視の診療を行っております。

実際に患者さんは継続して来られていますか?

最初は続けて来てくださるか不安でしたが、実際にメンテナンスをしてきれいになってスッキリすると実感できるのか、意外と働き盛りの中年男性の患者さんも継続して来てくださっています。早くから来てくださっている患者さんを10年〜15年続けて診ていると、重度の状態で来られた場合でも、しっかり治療してから定期的にメンテナンスを続けていくことで、口腔内の環境を保ち続けている方もいらっしゃいます。やはり大切なのは、継続。それには患者さんの協力あってこそですから、歯科衛生士に求められるのは手技だけでなく、患者さんをその気にさせる能力です。気持ち良さを実感し、治療の意味を理解していただく。そして家でのケアの仕方もしっかりとお伝えして続けていただくように一丸となって取り組んでいます。

どのような患者さんや症状が多いですか?

内海俊明院長 うつみ歯科4

自分の子どもたちが小学校に通っている頃は子どもも多かったですが、やはりだんだん高齢化していますね。現在は40代以降の歯周病メンテナンスの患者さんが中心になっています。高齢者の方も多いので、義歯の症例はかなり多いほうだと思います。

最近気になる患者さんの症状は?

実は最近、秋口にむし歯になっている中高生や施設の高齢者の方が目立ちます。これは、夏場の熱中症対策によるスポーツドリンクの影響でしょう。500mlペットボトルのスポーツドリンクには、角砂糖7個分の砂糖が入っているといわれています。熱中症対策は少量頻回なので、それを頻繁に飲んでいるとむし歯リスクはぐっと高まります。対策としては、ミネラルの多い麦茶を代わりにすること。スポーツドリンクは3時間に1回くらいにして、ちょこちょこ飲みは麦茶にしていただくことをお勧めします。

人生の最期まで、噛める喜びを感じてほしい

訪問診療も精力的に行っていらっしゃると聞きました。

内海俊明院長 うつみ歯科5

私は松山市歯科医師会で、訪問診療・介護連携を担当していますので、特に訪問歯科診療には力を入れてきました。訪問診療では義歯の治療や口腔ケアを主に行っています。歯を失い、管理ができなくなると一気に弱ってしまう患者さんをたくさん見てきましたから、歯を失った方も入れ歯でしっかりと補い、噛み合わせの安定をめざしています。噛み合わせが安定しないとうまく飲み込めなくなるため、誤嚥のリスクが高まりますし、姿勢も安定しないので転倒しやすくなってしまいます。口だけの問題ではなく、全身の健康寿命を維持するためにも、口腔管理はとても大切なのです。

患者さんとの印象的なエピソードはありますか?

訪問診療で施設を伺ったときのことなのですが、入れ歯が合わず、満足に食事ができない認知症のおばあちゃんの治療をすることになりました。最初は何をされるか恐怖もあって暴れていたのですが、調整した入れ歯を入れたら、パッと目が見開いて、静かになったのです。そして「こんな遠いところまで来てくれてありがとうね」と言ってくださいました。噛み合わせの重要性を改めて感じた瞬間でしたね。

障がい者歯科にも取り組まれてるんですよね

内海俊明院長 うつみ歯科6

口腔保健センターで勤務していたので、障がい児や障がい者の方を診る機会が多く、専門的に勉強し経験を積みました。誰にとっても基本的に歯科というところは、何かしらの恐怖心を持つところです。初めての方は、まず場所に慣れるところから始めます。焦らずできることを一つずつ増やしながら診療を進めていきます。何より大切なことはつらい治療が必要にならないよう、幼児期からの定期検診と、継続的な管理です。痛くなって初めて来院されても治療ができるわけではないのです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

今後も継続した口腔管理を行い、患者さんのライフステージすべてにわたり、お口の健康と機能維持のお手伝いをさせていただけたらと思います。そして当院の核となる歯周病治療においては、早めに定期的な管理をスタートしていただくことをお勧めします。初期ではまず自覚症状がなく、気づいたときには症状が進んでいるのが歯周病の恐ろしいところ。松山市では、40歳から10歳ごとの節目検診がありますから、それをきっかけにして、まず自分の口の中がどんな状態になっているのか確認していただくことから歯科への意識を持っていただけたら。歯科医院では治療やメンテナンスだけでなく、歯磨きやフロスなどセルフケアのアドバイスも行っています。ご自身の生活や社会環境に応じて、無理のない範囲で口腔管理を始めていただけたらうれしいです。

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