西岡 信治 院長の独自取材記事
西岡歯科医院
(松山市/松山市駅)
最終更新日:2021/10/12

1992年に松山市千舟町で「西岡歯科医院」を開業し、四半世紀にわたり患者の口腔環境の改善に取り組んできた西岡信治院長。西岡院長は、インプラント治療や歯周外科治療など口腔外科のスペシャリストで、現在は、治療後の定期的なメンテナンスで通う患者が半数以上を占めているのだそう。愛媛県歯科医師会の専務理事としても、口腔ケアの重要性を周知するため尽力する西岡院長に、今後求められる歯科医療のあり方や、患者に対する思い、歯科医師としてのやりがいなどについて話を聞いた。
(取材日2019年8月28日)
松山の中心に医院を構え、口腔外科の分野で活躍
先生が歯科医師をめざし、開業に至った経緯を教えてください。

当院のある場所はもともと実家で、かつては父が表具商を営んでいました。私は子どもの頃から、襖や障子を作る父のそばで手伝いながら木くずを使っておもちゃなどを作って遊んでいましたので、手先を使った物作りが好きだったんですね。やがて将来を考えたとき、その手先が器用な特技を生かしてできる仕事として、歯科医師が浮かんできたんです。血を見るのは苦手でしたので、外科の仕事はできないとも思いましたしね。いずれは自分も、父のようにこの地域で何か仕事をしていきたいと思っていましたので、歯科医師になって歯科医院を開業するイメージはぴったりでした。それで広島大学の歯学部に進んだのですが、歯学部でも解剖や手術はするので、血を見るのは一緒でした(笑)。当院では歯周外科治療やインプラント治療などの外科的治療を行うので、血を見る機会は外科の先生より日常的に多いかもしれませんね。ですから、今になってはすっかり慣れましたよ。
口腔外科を学ぼうと思われたのはなぜでしょうか?
私が広島大学で歯科の勉強をしていた当時は、まだインプラント治療も始まったばかりで歯周外科治療もこれからというところでした。そして、歯科医療の中で将来、需要が高まっていく気配を感じたため、口腔外科について勉強しようと考えたんです。口腔外科の診療範囲では、身近なところでは親知らずの抜歯もありますからね。開業を見据えたとき、学んでおく必要を感じたんです。そこで、広島大学を卒業後、まずは愛媛に帰ってきたかったのもあり、愛媛大学の歯科口腔外科学教室へ入局することにしました。口腔外科の勉強は専門性の高い分野なので、勤務医で勉強するのはなかなか難しく、大学病院など基幹病院が適していると思いました。
街になじむスタイリッシュな外観が印象的ですが、医院づくりのこだわりとは?

まさに、街並みに溶け込むようにと意識しました。「西岡歯科医院」と外から見て存在を主張しすぎるような看板はつけたくなかったんです。目立つほうが患者さんも気づいて来てくれるかもしれませんが、通りすがりの方よりも、一度来てくれた患者さんが、知り合いの方を紹介してくださるような歯科医院をめざしています。本当に信頼してきてくださる方と、お付き合いを重ねながら関係を築いていけたらと。ですから、将来的には看板を外したいとも思っているんですよ。また、建物の2階が受付や診察室になっているのですが、診察室は光が入るように窓はガラスブロックにしました。冬は、ポカポカ心地よい太陽光が入ってくるので、奥の診察台に座った患者さんがウトウトしていることもありますね。
噛む、話す、笑う。暮らしが豊かになるサポートを
インプラント治療や歯周外科治療など、専門的な歯科医療を展開されているのですね。

インプラント治療については開業してしばらくしてから始めましたので、もう20年以上になります。インプラント治療においては、もし術後に支障が生じたとき、歯周外科治療で対応する必要がありますので、その技術も備えておく必要があります。外科治療にはリスクも伴いますから、開業医で一般歯科診療を行いながらそこまでのことをするのはなかなか難しい。だから医科と同じように、歯科でも専門性の高い機関に紹介する傾向があります。当院も、かかりつけの歯科医院からの紹介でインプラントの治療に来られる方が増えています。一方で、歯周外科治療に関しては、最近は歯周組織の再生治療分野が進んでいて、一般歯科で保険診療で受けられるものもあります。歯周病で歯を支える骨がなくなったところに専用の薬剤を入れることで骨を作っていくという方法ですが、条件が合えば保険内でできます。
診療の際にはどんなことを心がけていますか?
私はインプラント治療に長年携わってきましたが、基本的には患者さん自身の歯を大切にして、インプラントをしなくても済むようにするのが一番。ですから、患者さんと接する上で大事にしているのは、まずはしっかり話をお聞きすること。そして、患者さんがこちらの説明を理解した上で診療を行う、インフォームドコンセントが大切だと思っています。患者さんのお悩みやどうしたいかを丁寧に汲み取り、どんな治療の可能性があるのか、私たち医師にはすべての可能性をご説明する必要があります。「インプラントをしましょう」などと説明不足で無理に治療を進めることは禁物。特に保険外の治療をするときは、患者さんご自身に決断いただくまでは、こちらから勧めることはしません。やはり、納得して治療に臨んでいただくのが、お互いのためにも一番ですから。
印象的な患者さんとのエピソードについてお聞かせください。

ある50代女性の患者さんが来院されたのですが、不調の原因の一つに、ちゃんと噛めなかったり、見た目に悩みを持っていたりということがありました。そこで、歯をきれいに整えることや、口腔内の環境を改善していくことに取り組んだことがあります。その治療を終えてから12年ほどたちますが、今でも月に1度のメンテナンスに、きれいにお化粧をして来てくださっています。その様子を見るたび、本当に良かったなと、歯科医師としてこの上ないやりがいを感じますね。「口臭があると思うと積極的に話せない」「歯の黄ばみが気になってうまく笑えない」など、歯は社会性にも関係するので、抱え込む前に、相談していただきたいと思います。
さまざまな観点から、歯科医療の未来に貢献
開業時から、何か変化を感じることはありますか?

治療のために歯科医院に通う時代は終わりつつあるのではないでしょうか。それは、昔の削って詰めてという治療から、メンテナンスに変わってきているということ。近年、医科と歯科の連携が進み、体の疾患と歯周病の関係性が認められてきたことで、歯周病治療に取り組みやすくなってきています。歯周病の治療を終えた患者さんで、基準を満たしている方については、保険診療で歯科衛生士が口内のメンテナンスを行えるようにもなりました。以前から、歯医者は痛いから、怖いからと敬遠される人が多いですが、口の中をきれいにして、痛いことがなく、気持ち良く帰ることができたら、次からは行くのが楽しみな場所に変わると思います。今後は、歯科医院に通うことにプラスのイメージを持っていただけるよう、尽力していきたいと考えています。
これからの歯科医療に関して、力を入れていきたい分野とは?
愛媛県歯科医師会として取り組みを始めているところなのですが、今後は障害者歯科に力を入れていきたいと考えています。障害がある方が専門的に診てもらえるような歯科が、この地域では不足していたんです。場合によっては全身麻酔をかけて治療を行っていくのですが、全身麻酔となると一般歯科では対応ができません。現在は愛媛県口腔保健センターで月に2~3回全身麻酔による日帰り歯科治療の診療時間を設けています。反応は予想以上で、ご家族が今までとても困っていらしたことに気づけたので、そのニーズを少しでも満たせるよう、より一層力を入れて取り組んでいきたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

30代で8割以上の人が歯周病とも言われている時代ですから、痛くないからといって何も問題がない人はほとんどいません。だからこそ、まずは気軽に来ていただいて、自分のお口の中の状態を知ることが大切です。歯科医師になって四半世紀以上になりますが、今までお口の中をきれいに保つことや、口元が審美的に整うことで、自信が持てるようになったり、前向きな気持ちになれたりする患者さんを見てきました。目に見える部分だからこそ、口の中にはぜひ気を使っていただいて、美容室のような感覚で、かかりつけの歯科医院にメンテナンスに通っていただけたらうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/25万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。