清水 延哲 院長の独自取材記事
シミズ歯科医院
(高松市/栗林公園駅)
最終更新日:2025/02/04

高松市松縄町の住宅街の一角で、地域に根差した歯科診療を30年以上行っている「シミズ歯科医院」。同院の清水延哲(しみず・のぶあき)院長は東京医科歯科大学(現・東京科学大学)歯学部を卒業後、長野県のリハビリテーション病院や地元高松市の総合病院でキャリアを積み、1993年に開業した。穏やかな笑顔と語り口で地域の人に親しまれる清水院長のもとには、長年通い続ける患者や親子で通う患者も多い。丁寧でわかりやすい治療を心がけ、歯科医師の娘2人と協力しながら一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科、予防歯科と幅広く取り組んでいる。目尻を下げて「診療を行うのが楽しい」と語る清水院長に、同院の診療方針や歯を大切にするための指導などについて話を聞いた。
(取材日2024年12月18日)
地域の歯の健康を30年以上守り続ける
歯科医師をめざしたきっかけと、開業までの経緯を教えてください。

子どもの頃は父が仕事で家にいないことが多く、「自分はもっと自由な仕事がしたい」と考えていました。医療ドラマを見て医師に興味を持ったのですが、周囲から「手先が器用だから、歯科のほうが向いているのではないか」と言われたことで、東京医科歯科大学の歯学部に入学。卒業後は長野県上田市のリハビリテーションセンター鹿教湯(かけゆ)病院に7年勤務し、その後は地元・高松市の社会保険栗林病院(現・独立行政法人地域医療機能推進機構りつりん病院)からお話をいただいて、これもご縁かなと故郷に戻りました。栗林病院では外来・入院患者さんのほか、病院職員の治療にも力を入れてほしいと言われ、虫歯や抜歯などの治療を5年ほど続けてから開業を決意しました。開業医には自ら考え、決断できる自由さがあり、自分に合った道を選択できたと思っています。
どういった流れで、長野県の病院に勤務することになったのですか?
大学の山岳部の先輩が、その病院の整形外科に勤務していたんです。「ここに来ればいつでも山に登れるぞ」と誘われて、それはいいなと(笑)。当時はまだリハビリテーション病院そのものが少なく、患者さんの半分は東京の方でした。歯科の主な仕事は、脳卒中を患ったことでまひが残り、嚥下障害を来した方たちの口腔ケアです。多くの方が総入れ歯だったので、毎日のように入れ歯を作っていましたね。歯があるほうがリハビリも取り組みやすいですし、歯科医師は歯だけでなく全身の健康に関わるのだと実感することができました。その他にも、口腔機能のリハビリや重度の歯周病患者さんの抜歯などを手がけ、歯科の医長として経営や人事についても学び、さらには他科の先生たちから全身の健康維持についても教えていただくという、貴重な経験の多い時期でした。
その当時の経験が、歯科医院の設備にも生かされているのですね。

そのとおりです。車いすの方でも座りやすいよう、座面が回転する診療チェアを設置したほか、座ったまま検査が受けられる歯科用CTも導入しました。患者さんからの助言で後から入り口に手すりを追加し、段差を少なくする工事も実施しています。院内には車いすや手押し車を用意して、誰もが通いやすいような工夫を凝らしていますので、中には100歳という年齢でもお一人で来られている患者さんもいますね。
地域の印象や、患者さんの主訴はいかがでしょう。
この地域は転勤族の方が多く、全体的にデンタルIQが高い印象です。患者さんはクリーニングやメンテナンスのために毎月来られる方が多く、昔に比べると、虫歯で来院する方は減っていると思います。事前にインターネットで情報を調べてくる人が多いのですが、その知識は玉石混交なので、治療前にしっかりと説明するようにしていますよ。
幼児期から口腔機能を整えていくことが大切
こちらで受けられる治療を教えてください。

虫歯や歯周病の治療のほか、入れ歯の調整やインプラント治療、矯正治療など、幅広く対応しています。リハビリ病院時代に知ったインプラントは、入れ歯に代わる新しい選択肢にできればと、開業後から取り組むようになりました。既に20年以上の経験がありますが、歯科医療は日進月歩ですから、今でも講習会などで勉強を重ねています。当院でインプラント手術を行う際は、麻酔を専門とする医師が同席し、安全性に配慮しながら進めていますよ。あとはボディーコンタクトが多いスポーツをする時に、歯の破折を防ぐ目的で使用するスポーツ用マウスピースや、睡眠時無呼吸症候群の治療のため、就寝時に装着する「スリープスプリント」というマウスピースの作製も可能です。スリープスプリントに関しては、耳鼻咽喉科や呼吸器内科などで事前に診断書をもらってから作製するようになります。
最近、特に力を入れていることはありますか?
お子さんが持つ、悪い癖の改善ですね。例えば口呼吸をしていると、舌の筋肉が弱くなって、やわらかいものをよく噛まずに飲み込む食事になりがちです。食べ物を噛んで舌でつぶして、喉に押し込む動作が難しくなっているんですね。奥歯が生え始める2歳頃から食事も変わっていきますから、当院ではその段階で歯の生え方を診て、舌の位置や動かし方、口にすべき食べ物まで親御さんに話すようにしています。マウスピース型の装置で歯の生え方を誘導する訓練も行っていますが、おうちの中なら、ガムを使った練習がお勧めです。ガムを噛んで丸めて上顎につけ、舌でつぶす。その状態でお口が開けられたら、舌は上手に動いています。正しい発育のためにも、年齢が低いうちから舌や顎の筋肉を使う訓練に取り組んで、口腔機能を整えることが大切です。そのためには親御さんの協力も必要ですから、皆さんに興味を持ってもらえるように、わかりやすい説明を心がけています。
診療において、大切にしていることを教えてください。

若い頃から一貫しているのは、丁寧にわかりやすく説明することと、患者さんご自身に現状を把握してもらう努力をすることです。昔は紙に絵を描いて説明していましたが、今はエックス線写真や歯科用CTの立体画像を見ることができるので、モニターで一緒に見てもらっています。例えば親知らずの抜歯をする際も、どちらに向かって生えているのか、どの方向に抜くと抜きやすいのかなどを画面越しに説明します。患者さんが実際に目で見ることで、今のお口の中の状態がよくわかり、治療方針の理解も深まって、納得した治療が受けられるのではないでしょうか。
知識や経験を若い世代に伝えていきたい
先生の中で、印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?

開業当時、このエリアには今以上に若い方が多く、放課後の時間ともなれば、子どもたちが大勢、治療に来ていました。その中の一人の女の子が、十数年の時を経て歯科衛生士学校の学生となって、当院に実習に来てくれたんです。無事に学校を卒業した彼女は今、当院の歯科衛生士として活躍しています。
学生時代は山岳部だったそうですが、今も登山がご趣味なのでしょうか。
高校時代から始めた登山は、今でも趣味の一つです。県外へ出る時は、北アルプスや上高地、槍ヶ岳などに行っています。あとはフルマラソンですね。最初は登山のためのトレーニングとして遊び感覚で始めたのですが、始めてみたらすっかりはまってしまいました。新型コロナウイルス感染症の影響で海外に行けなくなるまでは、ホノルルマラソンにも参加していましたよ。今はマラソンから距離を置いていますが、登山を続けるために、筋力トレーニングは続けています。そのおかげで、人よりも体力があるほうだと思っています(笑)。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

歯科医師として一緒に働いている2人の娘が、いずれは当院を継承することになります。私が持つ技術や知識を彼女たちに伝えていくとともに、大切な患者さんたちとの信頼関係を、より深いものにしていければと思います。あとは子どもたちの歯を守れるように、親御さんへの指導を続けていきたいですね。妊娠中のお母さんに対する指導を通じて、幼児期から虫歯になりにくい口腔環境をつくれれば理想です。最近の患者さんは予防意識が高く、歯科の知識も増えています。この地で長年歯科医療に携わってきた一人として、患者さんの意識をさらに高度なところまで引き上げていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(1歯)/50万円〜(※事前審査、静脈内鎮静法含む)、スポーツ用マウスガード/大人1万1000円〜、高校生まで5000円〜、子ども矯正/37万円〜、成人矯正/77万円〜
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。