山田 将登 院長の独自取材記事
山田歯科医院
(丸亀市/丸亀駅)
最終更新日:2024/07/22

香川県丸亀市で、1982年から診療を続ける「山田歯科医院」。2018年に、山田将登(やまだ・まさと)院長が継承するタイミングで建物を新築し、全面リニューアルを遂げた。コーヒーブラウンの外観と、大小の歯をかわいらしく描いた緑色のロゴマークは、県道18号からも目を引く。半個室の診療室からは雄大な讃岐富士を望み、ゆったりとした気持ちで治療やケアが受けられる設計だ。「家族全員で受診できる、親しみやすい歯科医院にしたかった」と話す山田院長が力を注いでいるのは、虫歯や歯周病などの予防を目的とした「予防歯科」。継承から6年がたつ今、定期メンテナンスに通う患者は着実に増えているという。今回の記事では、「子どものうちから虫歯を防いで、良好な口腔環境をキープしてほしい」と願う山田院長の熱い想いを取材した。
(取材日2024年6月14日)
環境を一新しつつ、訪問診療などで父の思いを受け継ぐ
歯科医師としての歩みをお聞かせください。

初代院長である父の姿を見て育ち、自然と後を継ぐことを意識するようになりました。都会への憧れもあって、大学は横浜市にある鶴見大学の歯学部に進学。鶴見大学は臨床実習が多いことが特徴で、学生のうちから多くの患者さんと接することができました。卒業後は家業の継承を見据えて、実家と同じように保険診療が中心の歯科医院で研鑽。最初の勤務先では、小児歯科治療から高齢者の入れ歯相談まで幅広く対応しながら、かかりつけ医として必要な知識や技術を身につけました。その後は歯科医院のマネジメントなども経験したいと考えて、横浜市と川崎市で2院を運営する医療法人に就職。そのうちの1院を束ねる分院長に就任しました。この頃は社会人経験の浅いスタッフの指導などでたいへんな苦労をしましたが、振り返れば、それもいい勉強になったと思います。
2018年の継承・リニューアルを機に、どのような点を変更されましたか?
建物・設備は一新しました。動線を考慮して、広めのスペースを確保した診療室は半個室にすることでプライバシーに配慮。家族で一緒に治療を受けられる、個室の診療室も用意しました。新たに導入した機器で重宝しているのは、口腔内カメラですね。治療の前後などにお口の中を撮影することで、患者さんにわかりやすいご説明ができるようにしています。例えば、大きな穴が開いていない虫歯はご自分では気づきにくいものですが、治療中の撮影写真を見れば、一目瞭然です。歯の汚れの量も、写真で目にすることが口腔ケアの意識改革につながると思っています。さらには、診療内容も大きく変化させました。以前は歯の治療が中心で、定期的なメンテナンスは行っていませんでしたが、現在は予防歯科に力を入れる方向へとシフトチェンジしています。患者層も変化し、若い方やお子さん連れの方が新しく来られるようになりました。
リニューアル前から、現在まで続けていることはありますか?

父の代から変わらず、訪問診療を続けています。丸亀市内にあるクリニックや、グループホームに出向く場合が多いですが、年齢的、身体的理由などで来院が難しい方に関してはご自宅にも伺っています。訪問診療は、48時間以内の対応がモットーです。お電話をいただければ、なるべく早く用意を整えて訪問します。また、夜の19時まで患者さんを受け入れるという体制も、父の代から変わりません。これは平日も土曜日も同様です。お仕事の都合で、夜の時間しか来られないという患者さんは多いですから、父の思いを受け継ぎつつ、必要なニーズに応えたいと考えています。
予防歯科に注力し、矯正治療にも対応
予防歯科に対する考えをお聞かせいただけますか?

虫歯が多い子どもは、大人になっても虫歯を作りやすく、将来的に歯を失うリスクが高いとされています。しかし、子どものうちから定期的に歯科医院に訪れて、虫歯や治療済みの歯がない状態、「カリエスフリー」の状態をキープできれば、大切な歯を失わずに済むかもしれません。虫歯の子どもは全国的に減少傾向にありますが、学校医として歯科健診に赴くと、まだまだ虫歯を放置しているケースが見受けられます。特に、虫歯が10本以上あって口腔崩壊を起こしているような子どもを見ると、予防の大切さをもっと積極的に伝えなければいけないと思うのです。子どもたちには、「歯が痛い」「歯が黒くなっている」といった症状が現れる前から、定期的に歯科医院へ通う習慣を身につけてほしいと思います。
日常生活の中で、子どもが虫歯になるのを防ぐ習慣はありますか?
僕がよくお話ししているのは、おやつなどの飲食は時間を決めて、なるべく砂糖を口に入れないようにすること。飲み物はジュースよりも、糖分を含まないお茶やお水を選ぶことなどです。飲食後はきちんと歯を磨く、幼いうちからデンタルフロスを使うといったセルフケアも重要です。歯磨きの後は、低濃度のフッ素溶液でうがいができると良いですね。フッ素洗口を試したい方は、スタッフがご案内しますので、お声がけください。そして、子どもも大人と同じように、3ヵ月に一度は歯科医院を受診しましょう。歯のクリーニングや、高濃度のフッ素塗布を含めたメンテナンスを受けることで、虫歯の予防や早期発見・早期治療につなげることができます。
現在の診療体制を教えてください。

虫歯や歯周病の治療から、入れ歯の製作、親知らずの抜歯まで基本的に僕が行っていますが、昔からの患者さんの要望があれば父が担当することもありますし、女性の歯科医師を希望される方には、非常勤医師の妻が対応します。ただし、妻は育児中ですので、予約時には一度ご相談いただきたいです。加えて毎月第2土曜日には、矯正治療を専門とする歯科医師の診療日を設けています。矯正治療は一般的なワイヤー矯正だけでなく、永久歯が生えそろう前の子どもを対象とした「床矯正」にも対応していることが特徴です。床矯正は、矯正装置によって顎の骨を拡張し、歯が生えるスペースを作ることで自然な歯並びをめざすものです。月に一度にはなりますが、相談を希望される方はお電話やネットでご予約ください。相談時には、治療の内容や費用も含めてご説明し、その上で治療を受けるかどうか検討していただくという流れになります。
患者に寄り添う診療と、受診しやすい環境づくり
診療の際は、どのようなことを心がけていますか?

誠実に患者さんと向き合うことです。まずはきちんとお話をして、治療に対する患者さんの理解と納得を得られるようにしています。「入れ歯を作り直したい」と言って来院される方がいても、すぐに作り直すのではなく、今使っている入れ歯のどこが良くないと感じたのかをじっくりと伺います。入れ歯の違和感は、簡単な修理によって解消されることも多いからです。治療を進める際は、痛みを軽減するための工夫も心がけています。注射で麻酔をする前には、表面麻酔を実施。麻酔液はカートリッジを事前に温めてから、電動麻酔器でゆっくりと注入することで、痛みが苦手な方にも安心感を届けています。
子どもが受診しやすい環境づくりにも取り組まれていますね。
僕は嫌がる子どもに対して、無理に治療を行おうとは思いません。スタッフ手作りの歯磨き粉メニューを見せて、好きな味を選んでもらった上で、楽しみながら歯磨きをするところから治療を始めたいと思っています。治療後には、カプセルトイのご褒美をプレゼント。家族で一緒に受診できる診療室も好評です。子どもを連れた患者さんたちが、できるだけ快適に過ごせるようにと、待合室にはキッズスペース、トイレにはおむつ替えシートも設置しています。
最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

これからの当院の目標は、定期メンテナンスを目的に受診する方をもっともっと増やしていくことです。今はまだ、僕が治療を行うことのほうが多いのですが、いずれは歯科衛生士が中心となって、メンテナンスのために動いている状態を作っていきたいです。虫歯や歯周病を未然に防ぐことができれば、ご自分の歯を長く維持できるだけでなく、関連する全身疾患のリスクも軽減できるようになります。この記事を読まれた方が、「久しぶりに歯科医院を受診しよう」、「メンテナンスを受けてみよう」、「もう少し歯を大切にしよう」と思っていただけたなら幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは【矯正治療】床矯正/35万円~、ワイヤー矯正/60万円~