赤野 弘明 院長の独自取材記事
赤野歯科クリニック
(堺市南区/泉ヶ丘駅)
最終更新日:2024/11/01

堺市南区深阪南にある「赤野歯科クリニック」。院長の赤野弘明先生は大学卒業後、最新の歯科診療を直接学びたいと、ペンシルバニア大学へ留学。その後も折々に海外に渡り、インプラント治療や歯周病の勉強をしてきたのだそう。現在は「歯を残すための総合歯科診療」をモットーに、複数の治療選択肢を示しながら患者と治療計画を立て、診療を進めていくスタイルを取っているとのこと。歯周病の外科的処置など、専門性が求められるような治療について、「高校の数学教師になりたかった」という赤野院長がわかりやすく説明してくれるので、難しく思える治療にも納得してから治療に臨めそうだ。「歯を残すためには土台である骨が大事」と語る赤野院長に、診療内容や歯周病治療の意義を聞いた。
(取材日2019年5月9日)
海外で得た「主体的に学び判断する姿勢」
最初に、歯科医師を志した経緯からお聞かせください。

高校生の頃は数学が非常に好きでしたので、漠然と「数学の教師になりたい」と思っていました。自分が学んだことを、誰かに伝えていける仕事が好ましいと感じていたのですね。ただ、父が製薬会社で勤務していた影響もあって医歯薬関係を志すようになり、最終的には歯学部へと進みました。歯科医師になってから、多くの先生方と講演会や研修会を実施してきたのは、やはり「自分の知識や経験を、次の世代に直接伝えていきたい」という思いからのことです。教師に憧れた当時の気持ちと、似ている部分があるかもしれません。
大学ご卒業後は留学され、その後も海外で研鑽を積まれてきました。
卒業当時、海外から来日された歯科医師の講演を聞く機会があり、当時の日本では見たことがなかった治療法を知って、大きな衝撃を受けました。しかし当時は今と違い、海外の情報はなかなか入ってきません。また、「本物を身につけるためには、現地へ行って直接学びたい」という強い思いもあり、留学を決意しました。留学先のペンシルバニア大学大学院では、日本との教育システムの違いにも驚きました。日本の歯科の大学院では研究や基礎実験が主ですが、向こうでは授業が半分。学生はあらかじめ読んできた論文について、内容の正誤や、結果をどのように評価するかをディスカッションし、そのディスカッションの内容を先生方が評価しアドバイスします。情報をどのように評価すればよいのか、その手法を学べましたし、受け身ではなく主体的に学び判断するスタイルは、その後の私自身の取り組みに大きく影響しています。
クリニックの歩みをご紹介ください。

帰国してから心斎橋にある「PIO畠山歯科」で経験を積み、1997年に開業しました。堺市で開業したのは、自宅がさほど遠くなく、また父の出身地が堺市であったというご縁もあります。開業時からインプラント治療や歯周病の外科的治療に取り組んできたので、当初から手術室を作りました。お一人お一人の患者さんに時間をかけて、必要な治療の手順を組んでいますので、開業当初から完全予約制にしています。もちろん、急な受診でも時間の折り合いがつけば診察させてもらいますよ。現在は私と同世代、50~60代の患者さんが多いですね。
歯周病の外科的な処置で、根本的な治癒をめざす
患者さんが受診されるきっかけや、診療の流れをご紹介ください。

患者さんは、最初はやはり虫歯や歯茎の腫れなど、悩みがあって受診されます。ですから、まずはその症状を取り除くための治療をします。ただ、同じ「歯が抜けそう」という状況でも、希望される治療はそれぞれ異なりますね。何としても歯を残したい人、すぐにインプラントにしたい方、できるだけリーズナブルに治療したい方など。ですからお口の中を確認した上で希望をお聞きし、医学的に見て理想と考えるプラン、セカンドチョイス、それから完全に患者さんの要望に合わせたプランの3つをご提示して、どのように治療を進めていくかを相談させてもらいます。日本では歯を残したいというご要望が強いですから、歯を保存するために歯周病治療を前提として、必要に応じてインプラント治療や補綴、義歯など、幅広い選択肢の中から患者さんに合った治療を提案させてもらいます。
こちらで受けられる歯周病の治療について、教えてください。
歯科医院で行う一般的な歯周病のケアでは、歯の表面についた汚れを取り除いています。しかし歯周病では、歯茎と歯の間についた歯石やプラーク(歯垢)に細菌が繁殖して、歯茎の中にある骨がダメージを受けています。ですから、進行してしまった歯周病に対して根本的な治療をしようと思えば、歯茎を切開して、歯と歯茎の間の汚れを取り除いたりするような治療を行う必要があるのです。歯茎の表面のお掃除だけでは、本質的な治療にはならないのですね。歯周病の進行の程度は、エックス線写真や、歯周ポケットの深さの測定で確認していきますが、歯のぐらつきや痛みなどの自覚症状が生じるのは、歯周病がかなり進行してからです。このため、自覚症状が出る前から定期的に受診して、状況を確認しておくことがとても大切になります。
歯周治療、インプラント治療においては、再生療法も行っていると聞きました。

基本的な歯周治療は前提となりますが、歯周病によって骨を失った場合、適応症に応じて歯の周りの骨の再生を促す再生療法を行います。これによって歯の寿命を延ばすことが期待できます。また、インプラント治療に絶対必要な骨もGBR法という方法で造成を促し、インプラントができないと諦めておられるような厳しい状態でもインプラント埋入を可能な状態にすることが期待できます。当院では、重度糖尿病などの疾患以外でインプラント治療をお断りしたことはありません。ぜひ歯周病やインプラント治療で悩まれている方はご相談ください。
外科的な処置になると、とても大変な治療のように感じてしまいます。
今、多くの歯科医院では、進行した歯周病ではインプラント治療が積極的に勧められています。これはアメリカの傾向と同じですが、アメリカには十分な保険制度がなく、歯周病の治療を何度も受けると費用が膨大になるので、「それなら最初からインプラントにしたほうが経済的だ」と考えるのも理由の1つのようです。しかしわが国には保険制度がありますので、まずは外科的な処置を含めた歯周病の治療をして、どうしても必要になってからインプラントへ進んだとしても、経済的な負担はアメリカほど大きくありません。また家づくりと同じで、地盤である歯を支える骨を外科的な処置でしっかりと整えることで、生まれ持った歯を長く使うことができます。ですから当クリニックでは、適応があれば歯周病の治療を優先して取り組み、インプラントは最終的な選択肢として考えるような治療計画を提案させてもらっています。
患者が安心して治療を受けられるような雰囲気を大事に
先生が患者さんと向き合う際に、心がけていることはありますか。

私自身が患者として受診するときには、「この先生に安心して任せられるのか」がとても気になるんです。だから歯科医師として、患者さんに安心していただけるように、そして、不安や困っていることを相談しやすいような雰囲気となるように心がけています。もちろん、正確な情報をお伝えすることも重視しています。また、遠方から時間をかけてメンテナンスに通い続けてくださる方もいて、ありがたいですね。
今後は、どのような仕事に取り組みたいとお考えですか。
大学時代の同級生である義歯のエキスパートと、インプラントや外科的治療を専門とする私が共同して、専門性の高い治療のできる新しい環境を整えたいと思っています。義歯にはさまざまな限界がありますが、義歯とインプラントを併用することで、しっかり噛んだり、外れにくいような義歯を、それぞれの患者さんの症状に合わせて提供できると思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯の治療は、早く、痛みなく、安価で終わってほしいものかもしれません。ですが建築と同じで、丈夫で良い家を建てたいと思えば、設計や整地をしっかりして、基礎や使う材料集めにもきちんと取り組む必要があります。時には、時間がかかることもあるでしょう。われわれ医師も、効率よく痛みが少ない治療を意識してはいますが、質の高い治療結果を求めれば、時間をかけなければならない場合もあることをご理解いただきたいと思います。歯周病の外科的な治療は、その一例ですね。そして、治療は終わったところがスタート。治療で得た良い状態をいつまでも維持できるように、必要なケアを続けてほしいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント/25万円~、歯周組織再生療法/7万円~、GBR法/7万円~、マイクロスコープを使った治療/3万円~
※ケースによって金額が異なりますので、詳しくはクリニックにお問い合わせください。