紀田 朋宏 院長の独自取材記事
キダ歯科医院
(大阪市阿倍野区/西田辺駅)
最終更新日:2023/06/06

大阪メトロ御堂筋線西田辺駅から徒歩約4分、あびこ筋からすぐの静かな住宅街にあるのが「キダ歯科医院」。明るい雰囲気の院内では、高齢の患者でも安心して移動できるように段差のある箇所に手すりが設置されている。また歯科治療に訪れる患者は緊張していたり、恐怖心を持っていることも多いため、少しでも患者にリラックスしてほしいという思いから、待合室や診療室には見る人の心を和ませる美しい絵や花が飾られている。院長の紀田朋宏先生は、「診療方針は、とにかくすべてを丁寧に行うことです」と穏やかに語る。1997年に西田辺に開業してから、患者の立場に立ち、地域に密着した診療を続けてきた先生に、診療方針や力を入れている治療、セルフケアのポイントなどを聞いた。
(取材日2018年11月14日/情報更新日2023年5月18日)
患者に優しく向き合ってきた街の歯科医院
街並みに溶け込んだ歯科医院ですが、どのような患者さんが来られていますか。

年齢層は比較的ご年配の方が多いと思います。全体の7割くらいは、ご近所にお住まいのご高齢の方です。あとの2.5割が20代から50代の成人、0.5割が小さな子どもさんといったところでしょうか。以前から通院してくださっている方が主で、メンテナンスやケアのために受診されています。新しく来られる方は、やはり虫歯による痛みが多いです。ご高齢の患者さんが多いので、「入れ歯が割れた」といった不具合で来院されることもあります。歯周病の治療やケアで来院される方も年代が上がるにつれて増えていきます。「忙しいから、すぐ治してほしい」というような患者さんもいらっしゃいますが、割とのんびりじっくり治療に通ってくださる患者さんが多いですね。下町の人情にふれることもよくあるんですよ。
院内のインテリアや内装で大事にしていることはありますか。
内装に関しては、やはり歯科医院に来る患者さんは恐怖心を持っていることが多いので、絵や花を飾るなど、患者さんに少しでもリラックスしていただけるような雰囲気づくりを重視しました。診察室に飾っている書は、書家の患者さんに書いていただいたものです。そして設計の都合上、やむなく玄関から院内に入るのに2段だけ階段ができてしまったのですが、この段差については、手すりを設けるといった対応をとっています。ご高齢の患者さんも多く、このような配慮が欠かせません。その他、院内の衛生環境にも配慮しており、感染症予防として徹底した滅菌対策を行うようにスタッフとともに努めています。
診療の流れを教えてください。

当院では、お一人あたり基本的に30分の治療枠を設けています。また歯科医師は私1人ですので、それぞれの患者さんに丁寧に向き合うスタイルで診療をしています。このため、基本的には予約制です。初診の場合にも先にお電話をいただけると、お待たせする時間が短くて済むと思います。初回の診察では、患者さんから症状や治療のご希望についてじっくりとお聞きします。「なるべく歯を抜かずに治療してほしい」とか、「保険診療の範囲内で治療してほしい」といったご要望にもできるだけ対応していますので、詳しく教えてください。その後、お口の中を見せていただき、エックス線撮影を行います。また、口腔内用カメラで撮影したお口の中をモニターに映し出して、患者さんと一緒に見ながら説明をします。緊急の処置が必要であればその日に治療を始めますが、抜歯など心の準備が必要なこともあるので、実際の治療は2回目からになることも多いですね。
時間をかけた丁寧な治療で「抜かない」を重視
こちらの診療方針を教えてください。

例えば入れ歯にはさまざまな種類がありますし、かぶせ物一つでも、セラミックにするかメタルにするかで歯の削り方が変わってきます。複数の選択肢があれば、それぞれにメリット、デメリットがありますので、事前に患者さんにしっかりと説明し、納得のいく選択をした上で治療を受けていただくことが大切です。また当院では、かなり進行した虫歯でも歯の根(根管)の治療を丁寧に行って、なるべく抜かない治療を心がけています。やはり、ご自身の歯で咬んでもらうことが一番ですし、抜いてしまうと入れ歯やブリッジが必要になり、周囲の歯に負担をかけてしまいますからね。根管治療や咬み合わせの調整には力を入れています。このように説明や治療を行っていると、どうしてもお一人あたりの治療時間がかかることもあり、基本的に30分という時間を確保しています。
咬み合わせの治療にも注力されていると伺いました。
はい。咬み合わせというのは、1ミリ以下の狂いでも、患者さんにとっては大きな違和感につながります。食事の時に物を咬みにくいのはもちろんのこと、咬み合わせがうまくいっていないと、頭痛や倦怠感といった不定愁訴の原因になることもあります。患者さんそれぞれに応じたベストな咬み合わせがありますので、かぶせ物などの治療をする際はそのあたりをしっかりと踏まえ、丁寧に調整するようにしています。
顎関節症なども咬み合わせが原因の病気ですか?

顎関節症は、咬み合わせに関係ある場合も関係ない場合もあり、それが難しいところです。歯並びが悪い方では顎関節症が起こりやすいですね。歯並びが悪いと、歯の咬み合わせと顎の骨の適切な動線とが一致せず、歯の咬み合わせが優先されてしまうために、顎の骨に負担がかかり続けるからです。さらに咬み合わせだけの問題ではなく、ストレスなど、複雑な要素も関係してきます。ストレスで顎の筋肉が硬くなって、症状が悪化することも考えられます。痛みがなくても、コキコキという顎関節症特有の音が聞こえるようになったら、早めに受診してほしいですね。スプリントというマウスピース型の装置を使って治療を始めていきます。また緊張が続くなどして交感神経が優位になり過ぎてしまうと痛みが出ることもあるので、そういう方には、リラックスするためにマッサージをするのもお勧めです。
毎食後の歯磨きは、若い頃からの習慣づけが大事
歯科医師としての30年のキャリアの中で、苦労したご経験などはありますか?

壁にぶつかることは多々ありましたが、それが苦労だとかつらいというふうに感じたことは、あまりないかもしれません。強いて言うなら、大学を出たばかりの、歯科医師になりたての頃が一番苦労した気がします。患者さんからは一人前の歯科医師に見えたとしても、実際はまだ歯科医師としてのスキルやキャリアなどまったくない新人なわけですから、理想と現実とのギャップにもがいたこともあります。しかし技術や知識は、日々地道に研鑽を積めば、必ず向上するものだと私は思います。
では経験を積まれた今、診療で大事にしていることがあれば教えてください。
患者さんに対しては、優しく親切な対応をするように心がけています。また、治療そのものはもちろんのこと、治療前の説明を懇切丁寧に行う、ということも重視しています。モニター画像のほか、お口の模型なども使いながら目で見て理解してもらえるようにしていますし、患者さんの反応を確認しながら、できるだけわかりやすいように話を進めます。診察室内にはチェアが2台のみですし、各患者さんに基本的に30分を確保していますので、他の患者さんに気を使うこともありません。私もじっくりお話ができますし、患者さんにも落ち着いて聞いていただけると思います。大勢の患者さんを次々に診ていくのは、昔から性に合いませんでした。お一人お一人を丁寧に診て、患者さんに納得していただける、満足感の高い診療を提供したいですね。
最後に、読者に向けてメッセージやアドバイスをお願いします。

昔に比べれば皆さん歯を大事にされていて、歯の健康が長寿を支えているように感じています。ただ、働き盛りや子育て世代は忙しく、ご自分のことはついつい後回しになりがちです。虫歯や歯周病の原因となる歯垢をためないために、1日3回、毎食後の歯磨きを習慣づけてほしいと思います。特にそのうち1回は、5分以上時間をかけて磨いてほしいですね。私のお勧めは入浴時に歯を磨くことで、お風呂でリラックスしながらのんびり磨いてもらえば、5分もそれほど長く感じないのではないでしょうか。ある程度の年齢になってから生活習慣を変えることは難しいので、若いうちからしっかりと歯磨きの習慣をつけていただきたいですね。当院ではそれぞれの患者さんに丁寧に向き合い、ご要望に応じて満足していただけるような治療を心がけていますので、ぜひ気軽にご相談いただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックのかぶせ物/8万円~、ノンスクラプデンチャー/8万円~