金子 修 院長、市川 亨 副院長の独自取材記事
金子整形外科
(川崎市高津区/久地駅)
最終更新日:2025/01/23

川崎市高津区、JR南武線久地駅から徒歩3分ほどの医療モール1階に「金子整形外科」はある。1998年の開院から地域に根差した診療を続け、近隣住民を中心に多くの患者に頼られ続けている整形外科医院だ。足の不自由な人や車いす利用者もスムーズに利用できるような広い待合室を抜け、診察室に向かうと、金子修院長と市川亨副院長が迎えてくれた。終始笑顔の2人は、大学時代にボート部でともに汗を流した同級生でもあるという。はつらつとした印象の金子院長に、人当たりもソフトな市川副院長のコンビネーションの良さは、長い付き合いによって培われたものだそうだ。開院から四半世紀を超え、医療チームもますます充実したクリニックについて、2人のドクターから話を聞いた。
(取材日2024年10月8日)
多様な専門性を持つ医師が、幅広い領域の診療に対応
開業から四半世紀を超え、変わられた点はありますか。

【金子院長】一番大きく変わったのは診療体制でしょうか。われわれ2人の他に6人のドクターが加わり、幅広い部位や疾患についてより専門的な診療を提供できるようになっています。整形外科の診療対象はすべての運動器に及び、骨、筋、靱帯、神経と多様な組織を扱います。専門分化も進み、それぞれの分野の専門家による診療を受けられるのは大きなメリットでしょう。
【市川副院長】院長の専門が脊椎、私の専門が手の外科であるのに加え、膝関節や股関節に専門性を持つ医師や、リウマチ診療の経験を豊富に持つ医師が、曜日や時間ごとに診療を担当しています。
幅広い領域に対応されているのですね。
【金子院長】「産婦人科以外は何でも」というのは冗談ですが、風邪の諸症状への薬や目薬など、一般的なものは短期間に限って処方しています。運動器の障害や痛みを抱えた方にとって、通院は大きな負担です。来院ついでにご相談があれば、できる限りの対応をしたいと考えています。もちろん、必要と判断される場合は専門のドクターに紹介します。
【市川副院長】整形外科領域では、いわゆる人間ドックや健康診断というものがありませんから、主訴の解決はもちろん、なんらかの不具合が見つかれば、都度お伝えしています。多様な専門性を持つ先生方が近隣地域にいらっしゃるので、専門外の症状も安心してお任せできる環境です。
【金子院長】「先生の紹介で行ったのに良くない対応を受けた」といったことにならないよう、紹介先は厳選しています。内科、神経内科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科など、近隣でお勧めできる紹介先のリストをつくっています。
高次医療機関にご紹介されるケースもありますよね。

【金子院長】手術適用の患者さんなどは、市川先生とも相談の上、川崎市立多摩病院や聖マリアンナ医科大学病院、帝京大学医学部附属溝口病院、総合高津中央病院などに紹介しています。基本的に当院は慶應大学医学部との連携が強いのですが、このエリアにはあまり拠点がないのです。あまり遠くの病院に紹介しても患者さんの負担となりますから、本人の希望を最優先して決定します。
【市川副院長】手の外科では駒沢病院や東京医療センターに紹介することも多いですね。同門の後輩が各所で活躍していて、そうしたネットワークを活用して信頼できる紹介先を確保しています。
充実の検査体制と丁寧な説明で治療への意識をサポート
検査体制も充実していますね。

【金子院長】デジタルエックス線画像診断システムに加え、MRIや超音波診断装置、骨密度測定装置、血圧脈波検査装置などを導入し、精密な診断に努めています。
【市川副院長】超音波検査装置は「内臓以外どこでも」といった感覚で広く活用しています。また、脊柱管狭窄症との鑑別が難しい閉塞性動脈硬化症も、血圧脈波検査でスクリーニングに対応しています。
お二人は大学の同級生と伺いました。
【市川副院長】大学ボート部の仲間で、もうすぐ半世紀の付き合いになりますね。
【金子院長】開院当初は私一人で診療していましたが、厚く信頼できる市川先生を迎えることができたのは、当院にとって本当に喜ばしいことでした。私は必要なことは結構厳しく指導するタイプなのに対し、市川先生はソフトで穏やか。医師の担当は基本的に患者さんの要望を優先していますので、相性の良い医師をお選びいただけるのはメリットなのではないでしょうか。
診療に際して、特に大切にしていらっしゃることは?

【金子院長】とにかくよく説明することが当院の方針です。医師は診察室でしか患部を診ることができませんが、患者さんは24時間365日症状と付き合います。症状改善につなげるには患者さんの「治そう」という意識と自己管理もとても大切なのです。そのためには症状や治療について、患者さんご自身がしっかりと理解していなければなりません。ですから、ご理解いただけるまで何度でも繰り返しお話しするようにしています。
【市川副院長】大きな病院では午後から手術が入っていたり、とにかく多くの患者さんを診る必要があったりと、それぞれの患者さんに時間をかけることが難しい現実があります。当院ではお一人お一人の患者さんに時間を取って、きちんと理解していただくまでご説明することを大切にしています。
「わかりやすい説明」のために、具体的にされていることはありますか?
【金子院長】お話をしても忘れてしまう方も多いので、当院では専用の用紙を用意して図説したり、ご理解いただけるまで繰り返し何度でもご説明したりといったことを常に意識して行っています。
【市川副院長】話を聞くだけでなく、目で見ることで理解しやすくなる患者さんは多いので、紙に書いて見せることは特に意識していますね。エックス線検査、MRI検査の画像をお見せしたり、血液検査などのデータもコピーしてお渡しするなど、患者さんが理解しやすいように共有することを念頭に置いています。
新しい風と伝統のバランスを保ち次世代につなぐ診療を
デジタル活用についても教えてください。

【金子院長】近年、感染予防対策も鑑み、自動精算機を導入しました。とはいえ、カルテは今も紙ですし、アナログな部分も多く残しています。おかげで、患者さんが診察室に入られた瞬間からじっくりと観察し、目を見てお話ししながら診察することができています。AIの時代とはいわれますが、アナログにはアナログの良さがあるものです。デジタルのメリットは取り入れながら、アナログならではの利便性は残していきたいと考えています。
【市川副院長】熱を持っていないか、腫れていないか、触ってわかる違和感がないかなど、患部に触れ、動かしてみてようやくわかることがあります。先進技術にも良さはありますが、昔ながらの手法でしかなし得ない治療もあると思うのです。例えば、靱帯損傷などへのギプス固定も、今は圧迫をかけない方法が主流。対して、当院では多くの場合、従来の方法で固定しています。
伝統的なものと新しいもののバランスが大切なのですね。
【市川副院長】医療の進歩は日進月歩で、現在医学部で使用する教科書は、われわれの時代の1.5倍もの厚さがあるとか。そうした膨大な知識を適切に活用していくには、デジタル活用による効率化は避けて通れないとも感じます。外国語話者はもちろん、耳の不自由な方にも、翻訳ツールや音声文字変換ツールなどの便利なツールはどんどん活用していきたいですね。
【金子院長】新しい風を入れつつ、古くからあるものも大切にしたいものです。息子の受験時に医師国家試験の問題を見てみましたが、たしかに難易度がぐんと上がっています。勉強会などに参加して新しい情報にふれるなど、われわれも積極的にキャッチアップする機会を持つことが必要だと感じます。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【金子院長】現在初期研修中の息子が、いずれは整形外科の医師として継承を視野に入れてくれているようです。それまでは多くの方々に支えられてきた当院の診療を、良い方法で続けていきたいと考えています。ほとんどの曜日で二診体制が取れていて、われわれの先輩にあたるベテランから、先進の医学にふれて育った若手まで、多様な医師が診療にあたっています。気軽に足を運んでいただきたいですね。
【市川副院長】当院を受診して「ようやく自分の病気について理解できた」と安心していただけるような診療が理想です。特にご高齢の方で理解に不安がある場合は、ご家族と一緒にご来院ください。疑問や不安もわかるまで丁寧にご説明させていただきます。