神保 芳之 院長、神保 千絵 副院長の独自取材記事
神保矯正歯科
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2021/10/12

東急線とJRの乗り入れ駅である溝の口。駅前には大型店舗が立ち並び、人通りが絶えないにぎやかな雰囲気のこの駅より3分ほど歩いたところに『神保矯正歯科』がある。初めて院内に足を踏み入れた人は、すぐに「きっと素敵な病院だ」と感じることだろう。さりげなく置かれた木のオモチャやセンスの良いインテリア‥‥。しかし、その直感は何も院内のデザインだけによるものではない。神保先生を取材してみて分かったこと、患者さんに対する温かい思いやりや歯科医としての真っ直ぐな姿勢などが、院内の至るところににじみ出ているのだ。
(取材日2008年7月7日)
医学のなかでも専門的な知識を身につけたかった
歯科医師を志したきっかけを教えてください

医師になろうという気持ちは、小さい頃からありました。父親が産婦人科医、兄が内科医と医師の家系であったこともあり、医者という職業を身近なものに感じていました。でも、医者と言ってもいろいろな診療科目がありますよね。その中でも、歯科だけは「歯学部」と独立の学部として存在しています。他の科目と違って、専門性の高い学部ではないかと思い、そこに魅力を感じました。
矯正歯科を選択された理由は?
体の中でも特に歯は、専門性の高い治療を必要とする分野ですが、さらに専門的な知識を高めたくて、矯正歯科の道を選びました。大学の講義の中で、実際に先生が治療した患者さんの写真を見せてくれたことがありました。まずは、治療前の写真を見た時に、「果たしてこれがどうなるの?」と思ってしまうぐらい、歯列の悪い、噛み合わせがずれている方の症例だったのです。そして、次に見せられたのが治療後の写真。並べて見比べてみて唖然!信じられないほどの変化があり、驚きを通り越して衝撃的でした。自分の中では、歯は動くものだと分かってはいましたが、「一体どうやったらこんな風になるのだろう?」と、ただただ不思議に思いました。それが、矯正歯科に興味を持ち始めたきっかけと言えますね。
開業に至るきっかけは?

大学卒業後は勤務医として勤めていましたが、大きな病院ではどうしても自分と患者さんの間にワンクッションあった感じがしていたのです。もっと患者さんと身近に接して、そして自分の考えのもとにやっていきたい、そういう気持ちが自然と芽生えてきました。それは技術面というよりも、全体の雰囲気であったり、患者さんとのコミュニケーションのとり方であったり。開業した今、自分の診療スタンスで患者さんの治療に専念することができ、充実した気持ちでいます。
患者さんと二人三脚で治療する、だからこそ会話を大切にしたい
歯の矯正って大変なイメージがあるのですが‥‥

虫歯の治療に比べると、歯科矯正の場合は緊急性の高いものはまずありません。そして、治療もじっくり時間をかけてやっていくものなので、始めるきっかけがつかみにくく、大変そうなイメージが先行してしまいがちです。なので、矯正治療にとっては、「本人がどれだけやる気があるか? 」ということが一番肝心なのです。そのためには、患者さんに矯正治療というものを理解していただかなければならず、特に最初のカウンセリングの段階で、ひとつひとつ疑問や不安を解消してあげることが大切です。例えば、「強い力を加えたら、早く歯が動くような気がするのだけど‥‥」とおっしゃる患者さんには、「弱い力を持続的に加えることが大切なのです。ポイントをおさえて、コントロールしながら動かすので、どうしても時間が必要なのです。」と、分かりやすく説明をし、患者さんの矯正治療に対する気持ちを高めていくことが大切だと感じています。
矯正後の患者さんの反応はどんな感じですか?
治療が終わりに近づくと、形が整ってきれいになっている様子が、器具をつけたままでもよく分かります。そして、何人かの患者さんが最初の状態を忘れて、元々からそうだったかのような感覚になるんですね。治療前の写真と見比べて、一番びっくりされるのが患者さんご本人!「これ、本当に私?」って。治療後、患者さんと笑い合うこの時間は幸せですね。今まで、二人三脚で頑張ってきた時間があるからこそ、患者さんと一緒に心から喜び合えるのだと感じています。
印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?

歯科矯正は時間をかけて取り組む治療なので、全ての患者さんと様々な思い出がありますが、ある女性の患者さんで、治療後の喜ぶ様子がとても印象的だった方がいらっしゃいますね。鼻の先とアゴを結んだ線をイーラインというのですが、横顔を見た時にイーラインから唇が出ていると、常に口をあけている状態になりやすく、顔のつくりにも影響が出てしまうのです。その方も長年、口元のコンプレックスに苦しんでおられました。矯正治療に加え、唇の筋肉を動かす練習を繰り返し、そして治療後、自然と口が閉じられるようになって、顔の表情も明るくなりました。その時に、「先生、治療して一番喜んでいることってなんだと思いますか?」と質問されたのです。「食べやすくなった、かな?」と答えると、「いえいえ、お化粧が好きになったんです。今まではお化粧をするのが苦痛でたまらなく、お化粧品を買いに行く時は本当に憂鬱だったんです。それが今では、化粧品店での試し塗りも喜んでお願いしているのですよ」。その生き生きとした表情は、矯正治療の目に見える結果からだけではなく、その方の気持ちが変わったからなんだと感じました。現実にそういう患者さんは大勢いらっしゃいます。患者さんの治療が一人終わるごとに一緒に喜び、私も充実感が得られ、そしてとても勉強になるのです。患者さんの価値観は一人一人で違い、矯正治療されることで得られる喜びも様々。だからこそ、押し付けにならないやり方が大切なのだと気づかされるのです。
「先生、あのね‥」今日はどんな話を聞かせてくれるのかな?
お子さんの治療で先生が心がけていることは?

歯の矯正はまさに、患者さんと医師との二人三脚でやっていくものですが、お子さんの治療の場合は、二人三脚にとどまらず、親御さんとのコミュニケーションが大切になってきます。親御さんは、自分のことではないからこそ、余計に心配だと思うのです。「なんだかよく分からないけどやってる」では、お子さんも続けるのは辛いだろうし、親御さんはますます不安になることと思います。お子さん本人の気持ちを前向きにしてあげるのはもちろんですが、親御さんにも、どういうことをするのかをしっかり説明することを心がけています。
子供の患者さんとの会話が楽しみだとか。
矯正の治療には、1年以上かかる場合も少なくありません。大人の1年はあっという間ですが、子供にとっては、遊びや勉強、他にも学ぶことがいっぱい詰まった、内容盛りだくさんの1年なんですよね。そして、1年で大きく成長します。治療を通して、その成長ぶりを見守っていけることは、僕にとっても嬉しいことですし、また、その大切な成長期に関わる者として、診療の時間を「楽しみに」とまではいきませんが、穏やかなものにしていきたいと思っています。なので、お子さんの治療の場合は特に、会話を大切にしています。ゆっくり話を聞いてあげることによって、その子が今どんな気持ちなのかが分かるからです。例えば、4月の新学期がスタートする時期に、クラス替えがありますよね。「お友達と同じクラスになれた?」なんて聞いて、「違うクラスになっちゃったんだよー」と、しょんぼりとした返事が返ってきたら、「じゃあ、今日はこのぐらいにしておこうね」と、できるだけお子さんの負担にならない治療を心がけています。逆に嬉しいことがあった日は、僕が何も質問しなくても、ニコニコしながらたくさん話をしてくれて、そんな日は「今日はもう少し頑張ってみようか!」と提案したりします。「自分がどう治療をしたいか」ではなく、会話を通じてお子さんの気持ちを理解してあげて、こちらがその気持ちに合わせてあげながら、治療を進めていくようにしています。なごやかな治療の様子を見て、安心されたお母様がその間にお買い物に行かれることもあるんですよ。お子さんも「いってらっしゃい!」って感じで。そんなやりとりが、嬉しかったりもしますね。
矯正を始めようと迷っている方へアドバイスはありますか?
常々、歯科矯正をやりたいと思いながら、なかなか始められずにおられる方は多いと思います。うちに来られる患者さんの中でも「2、30年前からずっと気になってはいたのだけど、なかなか始めるきっかけがなくて」といった方が多くおられます。「若い時にやっておけばよかった」とおっしゃられる方もいますが、歯科矯正には年齢制限はありませんし、「就職の時に気になって」、「結婚の時に気になって」と、始めるタイミングも人それぞれです。「よし、やろう!!」とモチベーションが高まった時が、始める時期なのだと思いますよ。
プライベートはどのようにお過ごしですか?
趣味は、あえて言うならドライブですね。道に詳しい友人に誘われて、たまに遠くまで足を延ばして、リフレッシュしています。
今後の展望をお聞かせください

うちは専門医である僕と副院長の妻がおりますので、患者さんのご要望をできる限り受け入れたいと考えています。今もこれからも、患者さんが快適だと感じる治療をしていきたい、それが一番ですね。毎日の積み重ねの中で、原則論をはずさず、無理をせずやっていきたいと思っています。そして矯正治療を通じて、少しでも多くの患者さんが充実した毎日を過ごすためのお手伝いができればと考えています。