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平野 夕子 副院長の独自取材記事

平野歯科クリニック

(佐倉市/京成佐倉駅)

最終更新日:2021/10/12

平野夕子副院長 平野歯科クリニック main

JR京成本線大佐倉駅から徒歩20分、住宅地の中にある「平野歯科クリニック」は、1996年に開院。すっかり地域に溶け込んでいる風情だが、10年前に改装した院内は明るく居心地がいい。同院の副院長を務める平野夕子先生は、夫の平野啓行院長と夫婦二人三脚で地域の人々の歯の健康を守ってきた。東京歯科大学非常勤講師を務める院長は、先端の歯科医療を主に担当。夕子副院長は、地域のホームドクターをめざし、予防を重視して歯を失わないための診療を心がけている。優しくきめ細やかな診療に定評のある夕子先生に、クリニックの診療や歯科医療にかける思いを聞いた。

(取材日2016年8月26日)

開業20年で、少しずつ歯のケアをする人が増えてきた

どんな患者さんが多いのですか?

平野夕子副院長 平野歯科クリニック1

0歳から100歳近くの方まで、まんべんなく来られます。昔は小学校が終わる頃から1〜2時間ほど子どもの診療が続くことがあったのですが、最近は少子化のせいか、そうした時間は少なくなりました。午前中はやはり高齢者の方が多いです。あと、これは開業して初めてわかったのですが、患者さんの中には歯が痛いだけではなかなか受診してくれない方もいます。聞くと、例えば右側の歯が痛くても、取り敢えず左の歯で食べるそうで、その左側も痛くなったり、欠けたりで噛めなくなって、ようやく覚悟して受診されるそうなんです。もちろん、少しでもしみたり、見た目に1点でも黒い所が見つかったらすぐに駆けつける方もいらっしゃいます。訴えとしては虫歯だけでなく、歯周病で歯がぐらついて噛めなくなった人、作った入れ歯が合わなくなった人、あとは口の中のケアをしてほしいという人も多いです。

予防のために通ってくる人も多いのでしょうか?

20年前に開業した頃と比べると、かなり増えていますね。開業当初は、「歯が痛いから来た」という患者さんがほとんどで、歯の治療が終わってから、「さらに歯石を取りましょう、歯の掃除をしましょう」と提案をすると「もう痛くないからいいよ」と断られる患者さんもいて、ケアの観点が全くない方もいらっしゃいました。それでこの土地に是非とも予防歯科を根付かせたいと思い、歯科衛生士さんから患者さんに指導をし続けてもらいました。すると、定期検診をする度に少しずつ口の中のケアを行う人が増えてきたように感じます。今では、治療の終了が口腔ケアのスタートであるという当院のスタイルが定着しております。

この地域の特徴はありますか?

平野夕子副院長 平野歯科クリニック2

ここには新興のニュータウンがあるのですが、そこに住むビジネスマンは、朝早くの電車に乗って都内の企業に通い、働いて帰ってくるのが夜の11時ぐらいになるそうです。歯が悪くなってもクリニックに来れるのは週末のみ。歯のケアというよりも歯科医院へ来るのがやっとという感じです。平日、疲れ切って夜11時に帰宅しご飯を食べて、そこでしっかり歯を磨くということがなかなかできないのですね。それが続いて、口の中が崩壊した状態で定年を迎える方が多いのです。そうならないように、毎回今からしっかり歯を磨きましょう、というお話をするのですが、忙しい方にはなかなか難しいようです。

もう一度足を運んでみようという雰囲気をつくりたい

治療にあたる上で、重要視していることはありますか?

平野夕子副院長 平野歯科クリニック3

インプラントといった先端の医療は院長が担当しており、私は女性的な視点から患者さんに向き合っています。例えば、患者さんの中には、小さい頃歯科医師に押さえ付けられ痛い思いをしたとか、歯科医師の何気ない言葉で傷ついたとか、意思の疎通がなく治療を断念してしまったとか、そんな方が実はたくさんいらっしゃるようです。女性だから優しいというわけではないのですが、比較的話しやすいとは思いますので、そのような思いを持っている方でも、一度この歯科医院へ来てくれたら、「もう一度来てみようかな」「治療が終わるまで頑張って通ってみようかな」と、もう一度足を運んでみようという雰囲気をつくれる診療を心がけています。

具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか?

治療前に患者さんに書いてもらう当院の問診票は、最後の1行が「治療は怖いですか?」という問いかけになっていて、「怖い・やや怖い・ものすごく怖い」の3つから答えを選んでもらうようになっています。「ものすごく怖い」に丸をつけられた方には、特に注意を払って接するようにしています。具体的にはしっかり麻酔を効かせる、説明をよりしっかりする、「あなたが痛みに弱いということをわかっていますよ」というスタンスで治療に臨み、安心してもらうようにしています。私が大学を卒業したての頃は、虫歯を放置していた患者さんをとがめたりしたこともありましたが、人生には育児や介護、親や自分自身の病気などいろいろ大変なことがあり、そんな状況では歯にかまっていられないのが現実ですよね。若い頃はそういうことがわかりませんでしたが、人生経験を重ねた今は理解できるようになりました。

医院の特徴について教えてください。

平野夕子副院長 平野歯科クリニック4

先進的な医療であれば、都内の病院と引けをとらない設備はそろえています。診療に関しても、一方的にこうしましょうというのではなく、歯を削る治療が良いのか、お金がかからない治療が良いのか、保険外の治療になるとどこが違うのか、見た目的な問題を重視しているのか、しっかりお話を聞くようにします。あとは、噛めるレベルですが、それなりに噛めれば良いのか、天然の歯と同じように噛める歯が欲しいのか、そのように患者さんに治療方法を選んでもらうようにしています。いろいろな治療がありますが、それぞれに長所短所があり、すべてこれで良いという治療法はなかなかありません。ですので、患者さんは何を一番優先させたいのか聞くことで、要望を的確につかみ、満足していただけるような診療を心がけています。

口腔ケアを怠ると、時として命に関わることも

学生時代や研修医時代の印象深いエピソードはありますか?

平野夕子副院長 平野歯科クリニック5

以前勤務していた診療所の所長に、1989年頃のアメリカの歯周病学会のポスターを見せてもらったことがあります。ポスターには「フロス・オア・ダイ(floss or die)」と書かれていました。「デンタルフロス(口腔内のケア)で歯をきれいにするか?死を選ぶか?」という意味です。今でこそ、口腔内の状態と全身疾患との関連は当たり前のように言われていますが、当時日本ではあまり知られておらず、それ以来その言葉がずっと心に残っていました。そしたら最近、心臓の手術を受けるという患者さんが来られて、歯周病の進行度合を検査してほしいと言うのです。それがないと病院で手術してくれないそうなんですね。ようやく日本も、口の中の細菌の状態を大きな問題として扱うようになったのです。「やっとこういう時代が来たんだ」と感無量でした。

日頃どのようなことを患者さんにアドバイスしていますか?

基本は歯磨きなどの口腔ケアですね。そして歯を失った高齢者の方には、歯がないままにした時のリスクについてお話します。 奥歯を失って入れ歯を作ったにもかかわらず、十分な調整をしないで使わないままですと、踏ん張れずに転倒しやすくなるんですね。これは高齢者の方にとって深刻です。この転倒が骨折を招き、寝たきりにつながることもあります。だからこそ、「注意してくださいね」としつこいくらいにお話しするのですが、なかなか聞き入れてくれない方も中にはいらっしゃいました。ところが、ある時テレビ番組で歯を磨く実験や、奥歯のない高齢者が入れ歯を作って入れると、それまでよろよろとしか歩けなかった人がしっかり真っ直ぐ歩けるようになったという実験をして放映されたらしいのです。映像の力はすごいと思いました。日頃何度もお伝えしても理解して下さらなかった方達が、一発で受け入れて下さいました。

読者の方々へのメッセージをお願いします。

平野夕子副院長 平野歯科クリニック6

女性の方はライフステージの変化が大きいので、これから子どもを産んで育てる方には、小さい頃からのお口の中のケアがいかに大切かということを知っていただきたいですね。子育てのほかにも仕事や介護、ご自身の病気などがあり、女性は家族を支えていく上ですごく大変だと思います。でも、1年に1回でもいいから、お口の中のチェックに来てほしい。現在、女性の平均寿命は85歳くらいです。それまであと数十年、自分のお口の中の状態を把握せずに、どんどん年をとっていくのは怖くありませんか? かかりつけの歯科医師をちゃんと持って、定期的にチェックしてもらいましょう。

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