古市 貴暢 理事長の独自取材記事
古市歯科医院
(高松市/花園駅)
最終更新日:2023/01/31

琴電長尾線・花園駅から徒歩約10分の場所にある「古市歯科医院」は、歯科・小児歯科を標榜する歯科医院。理事長である古市貴暢(ふるいち・たかみつ)先生の父が1970年に開院し、今年で53年目を迎える。古市理事長は長崎大学歯学部を卒業後、香川大学医学部博士課程を経て父とともに診療を開始。診療においては予防歯科に情熱を傾け、今では患者のほとんどがメンテナンスを目的に来院しているという。めざすのは患者の生活に寄り添い、患者の生活を豊かにする歯科医院。「患者さんとは、末永く持続可能なお付き合いを続けていきたい」と語る古市理事長に、継承に至るまでの経緯や注力している分野、今後の展望などを聞いた。
(取材日2023年1月5日)
父の背中を追いかけて歯科医院を継承
歯科医院の成り立ちと、先生のご経歴についてお聞かせください。

当院の起源は、戦後まもなく私の祖父が作った歯科技工所です。四国地方の中でも比較的早い時期にできた歯科技工所であったと聞いています。その後、1970年に父が「古市歯科医院」を開業、2001年に法人化しました。私は父の背中を見て歯科医師を志し、長崎大学歯学部を卒業。香川大学医学部の博士課程在学中には、アメリカ合衆国にあるニューメキシコ大学ヘルスサイエンスセンターへの研究留学を経験しました。ヘルスサイエンスセンターでは歯科の領域を飛び出して、脳神経学に関する共同プロジェクトに携わっていました。この2年間の経験によって、エビデンスをベースにした視点が身についたと思います。大学院を修了した2005年から診療に加わるようになり、2代目理事長に就任したのは2006年のことです。
お父さまと一緒に診療する中で、どんなことを学ばれましたか。
一緒に診療をしていたのは3年ほどでしたが、私も父も「患者さんの歯を少しでも多く残したい」という同じ診療理念を持っていましたので、学ぶことは多かったです。父の歯科医師としての姿は立派なもので、亡くなって15年たった今でも「かなわないな」と思うところが多々あります。時代とともに診療のアプローチ方法は変わっていきますから、一緒に診療していた時はしょっちゅう意見がぶつかっていましたが、父を知っている患者さんからは「あなたのお父さんにはお世話になった」と声をかけられることが多く、慕われていたんだなと感じます。当院は父の代から患者さんとしっかりコミュニケーションを取ることで有名でした。コミュニケーションを通じて、患者さんとの信頼関係を構築すると同時に、患者さんが緊張感なく診療に臨めるようにとの想いがあったからです。この考え、方針は今でも当院の大きな特徴となっています。
理事長就任から8年後となる2014年には、移転、リニューアルをされたそうですね。

以前の診療所はエックス線室がむき出しだったり、個室の診療室がなかったりと気になる点がありましたので、同じ地区内で土地を探して、現在の場所に移転することを決めました。新しい歯科医院は木の醸し出す雰囲気を大切にしようと、外装から内装に至るまで随所に木材を使用しています。あえて節の目立つ木や、下地に使う木など意表をつく木材を採用しているのも面白いのではないでしょうか。また患者さんがリラックスできるよう、雛人形やこいのぼりなど季節の飾り付けにも気を配っています。診療スペースは広くゆったりとした造りにしたほか、カウンセリングルームやキッズスペース、エックス線室も備えました。完全個室の特別診療室は鉛の壁で囲んでいるので、エックス線室まで移動をしなくても撮影をすることができます。技工室には2人のベテラン歯科技工士が在籍し、さまざまな技工を行っています。
地域の住民にメンテナンスの重要性を伝えたい
患者さんはどのような方が多いですか?

地元の方々が中心ですね。父の代から通ってくださっている70〜80代の患者さんのほか、30〜40代の子育て世代の方々やそのお子さんなど、幅広い年齢層の方が通ってくださっています。親子二代で診療を続けていますので、患者さんの年齢層も二世代にわたっているのだと思います。また前述の通り、院内には技工室があり、セラミックやジルコニアを含めたさまざまな材料の技工物をスピーディーに作製、調整していますので、小豆島など近隣の島々から来院される患者さんもいらっしゃいます。
学校歯科医も務められていると伺いました。
10年ほど前から高松市内の小学校で学校歯科医を務めています。長年、小児歯科診療をしていますと、年々顎の小さいお子さんが増えてきているという実感があります。顎が小さいと歯並びの乱れにつながることもありますので、必要に応じて矯正歯科をお勧めしています。当院にも月に2回、非常勤で矯正治療専門の歯科医師が来てくれていますので、矯正歯科の必要性があり、患者さんや保護者の方のご希望があれば、矯正治療も行っています。虫歯については、まったくないお子さんと多いお子さんに二分化されている印象です。将来、歯を失わないためにも、子どものうちから予防歯科の知識を伝えていきたいです。
歯科診療において、特に力を入れていることを教えてください。

当院では、予防歯科学の分野に情熱を注いでいます。昔は「歯が痛くなったら」「入れ歯が合わなくなったら」歯科医院へ行くという考えの患者さんが少なくありませんでした。しかし、口腔内の健康を維持する上では、痛くなくても、入れ歯にトラブルがなくても定期的に歯科医院を受診し、メンテナンスを受けることが重要です。私は歯の治療をするだけでなく、患者さんに正しい知識を提供し、患者さんの生活を豊かにすることも歯科医師の大事な仕事の一つだと考えています。ですので、「痛くなったから来た」という患者さんに対してもメンテナンスの重要性を伝え、定期的な受診を促しています。こうした活動のおかげか、当院には大半の方がメンテナンスで来院されるようになりました。年齢に関係なく、納得して定期的に通ってくださる患者さんが増え、ありがたく思っているところです。
患者の生活の一部となって健康を見守る
休日はどのように過ごされていますか?

山登りや自転車、釣りといったアウトドアな趣味に加え、読書などのインドアな趣味も嗜んでいます。新型コロナウイルス感染症の流行によって、行けるところは限られてしまいましたが、余暇はできるだけ自分が楽しいと思えることをするようにしています。といいますのも、実は理事長を継承した2006年頃、大病を患ってしまったんです。当時は消防局に登録をしていて、真夜中でも救急の患者さんを治療していましたから、働きすぎていたのかもしれません。病を患った後は、頑張りすぎないようにすることを学びました。今は歯科医師としての自分だけでなく、趣味を楽しめる自分も大切にしています。
歯科医師をしていてやりがいを感じるのは、どんな時でしょうか。
メンテナンスの重要性を、患者さんが理解してくださった時です。当院では患者さん一人ひとりに担当歯科衛生士を決めて診療にあたっていますので、最初は「痛くなったから来た」というお考えの患者さんであっても、次第に歯科衛生士とのコミュニケーションが円滑になることで歯に対しての意識が向上し、継続して通ってくださるようになるとうれしく思います。また初診から定期的に口腔内写真を撮影し、記録をしているので、写真を通して変化に満足していただけると、歯科医師で良かったなと感じます。そのとき、そのときのお口の状態を診るのではなく、過去と未来を通して、一人ひとりの患者さんと向き合う診療を続けていくのが私のモットーです。
今後の展望についてお聞かせください。

虫歯や歯周病などの一般的な歯科疾患は生活習慣病ですので、改善のためには生活習慣そのものを変えていく必要があります。そのためにも、当院では今後も患者さんの生活に寄り添い、その一部となって、持続可能なお付き合いを続けていきたいと考えています。定期的に受診していただけると、口腔内の健康の維持が期待できるだけでなく、口腔内のトラブルが起きた際に過去のデータをさかのぼって見ることができ、原因の究明や治療方法の選択に役立つことがあります。「歯科医院はコンビニエンスストアよりも数が多い」という事実はよく知られていますが、それだけ数が多いのは、歯科医療が人間の生活において欠かせないものだからではないでしょうか。痛くなったら行く場所ではなく、痛くなくてもメンテナンスのために定期的に通う場所として、これからも患者さんと末永くお付き合いさせていただきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミック治療/6万6000円〜、ジルコニアを用いた治療/8万8000円〜