湖崎 武秀 院長の独自取材記事
湖崎歯科クリニック
(高松市/片原町駅)
最終更新日:2021/10/12

話をするだけでもほっと心がほぐれるような穏やかな口調、優しい笑顔。それが「湖崎歯科クリニック」の湖崎武秀院長の第一印象だ。相手に安心感をもたらす雰囲気は、意識してつくっているというよりも、湖崎院長の内面が自然ににじみ出たものだろう。同院は香川県高松市の中心街から徒歩圏内の場所にあり、開業したのはなんと明治時代。非常に歴史が長いが、それは「患者さんにも、周りのスタッフにも支えられてのことです」と謙遜する。これほどまでに長く愛され続ける理由を探るべく、同院の歩みや地域への想い、そして力を入れている診療などについて話を聞いた。
(取材日2021年7月5日)
「治療」と「予防」で80歳でも噛める歯を目標に
どのような診療に力を入れていますか?

虫歯治療、歯周病治療などの一般歯科に加え、インプラント治療、親知らずの抜歯、口腔がんの検査、顎関節症の治療など、勤務医時代に培った歯科口腔外科の知識と経験を生かした診療もしています。そして特に大切にしているのは、治療をして終わり、としないこと。患者さんには定期的にプロによるメンテナンスを受けていただくようにしています。というのも、治療後に何もせずにいたことで結局また悪化してしまい、ひどい状態でクリニックに助けを求めに来る患者さんをたくさん見てきたからです。治療を繰り返した歯は脆くなってしまいますから、予防に力を入れる。そして、私が受け持つ患者さんには「80歳で20本の健康な歯」を保ってもらえるようにしたいと考えています。自分の歯で食事をすることが、健康と充実した生活にもつながりますからね。口腔内のトラブルには幅広く対応しておりますので、気になることがあれば何でもご相談ください。
定期メンテナンスでは具体的にどんなことをするのでしょうか?
PMTCという歯垢除去・歯面清掃、つまり歯のクリーニングがメインです。歯科衛生士が1回約1時間かけて徹底的に、が当院のこだわり。またそれと同時に、口腔内の健康状態を確認して、必要があれば都度治療をします。「予防」と「治療」の両輪で、患者さんの歯の健康を支えていくイメージです。人にもよりますが、メンテナンスだけなら通院頻度は3ヵ月に1回ほど。予約日が近づいたら、「もうすぐ通院の日です」と電話でお知らせします。先の予定は忘れがちですし、長く健康な歯を保つためには治療をしていない時でも通院してもらい、口腔内を管理することが重要なので、そこへのフォローも欠かさないようにしているんです。
診療で大切にしていることは何ですか?

お一人の患者さんに対して、しっかりと時間を取ることです。特に、どのようなことに悩まれているのかを聞くカウンセリング、そしてそのお悩みを解決するためにどんな治療をするのか、優しい言葉で説明することに時間をかけています。重視しているのは、患者さんがご自身の口の中の状態を理解し、納得していただいた上で治療をすること。ですから、治療方法についても歯科医師が一方的に決めて進めることはしません。複数の方法を提案して患者さんと一緒にどうするかを決めていくスタイルで、たとえ治療の真っ最中であっても、疑問を持ったり、手を止めてほしくなったりしたら合図をしていただければ、とお伝えしています。
高松に根差して約120年。高齢者や入院患者に往診も
できる限り痛みが少ない治療をめざしているそうですね。

歯科から足が遠のく理由として、やはり「痛いのが怖い」という気持ちがあると思うんですよ。なので、治療では表面麻酔を利用して、できる限り痛みを感じにくくなるように、と心がけています。表面麻酔は、麻酔の針を刺すこと自体が怖い方に向けた処置です。針が刺さる瞬間の痛みを緩和するため、歯茎の表面に麻酔薬を塗布します。実際には麻酔の針を刺しての麻酔でなければ、歯自体の知覚を麻痺させることはできませんので、必ず注射針を刺すことにはなるのですが、その時の疼痛ショックで貧血などを起こす方もいますし、自分が麻酔されるなら必ずしてほしいなと思う処置なので、すべての麻酔の前処置として行っています。
こちらのクリニックは開業から120年以上たっていると聞きました。
曾祖父がこの地で開業したのが1894年。当時は眼科だったそうですが、1960年に祖父の代で歯科に転科しました。私は父の背中を見て育ち、歯科医師を志して東京の大学に進学しましたが、「いずれは高松に戻って患者さんを診るんだ」という気持ちはずっと持っていたんです。卒業後、大学の付属病院に約8年勤務し、当院の院長になったのは2000年から。帰郷してすぐ院長になった私を受け入れ、通い続けると決めてくれた患者さんがほとんどで、これは代々誠意を持って診療してきた結果なのかなと、私自身も裏切らないように頑張ろうと思いましたね。お付き合いが長い方の中には、親子4代にわたってかかりつけにしてくれているご家族もいるんですよ。これからも地域の方に信頼し続けていただけるように、心を尽くしていきたいです。
往診にも取り組まれているとか。

病気や高齢で動けず、当院に来られない方の往診をしています。今は主に、近くの病院に長期入院している患者さんの歯科治療で呼ばれることが多いですね。往診専門のチームがいるわけではないので、クリニックでの診療が終わってからにはなりますが、病院の依頼にはできる限り応えたい、患者さんには口の中をすっきりとさせて快適に過ごしてほしい、という想いで対応しています。
歯科技工士や歯科衛生士とともに不安や疑問をフォロー
一緒に働くスタッフのことを教えてください。

私と、歯科衛生士3人、歯科技工士1人、受付スタッフ1人の6人体制で、みんなで力を合わせて診療にあたっています。特徴的なのは、歯科技工士が在籍していること。一般的に、クリニックでは補綴物の製作は外注しているところが多いものですが、当院では入れ歯や詰め物・かぶせ物の調整も、その場で歯科技工士とやりとりできることが強み。歯科技工士が実際に患者さんの状態を見られるので、細かな調整がしやすくてスムーズなんです。また、歯科衛生士や受付スタッフも、本当に患者さんによく目を配ってくれています。例えば、院内のお知らせポスター一つを取っても、「どんな書き方なら伝わりやすいか」を考え、工夫して作っていて。待合室で過ごしている時や検査中の様子など、私が拾いきれない部分で患者さんをフォローしてもらっているので、全員がいなくてはならない存在です。
お忙しい中でのストレス解消法は何ですか?
リフレッシュになるのは、朝一でのゴルフです。空気が澄んだ、自然の中でスポーツをするのが気持ち良くて。また、時間がたっぷりできて、さまざまな状況が落ち着いたら、妻と2人でゆっくりと旅行に出かけたいですね。歯科医師になってから長期休暇を取ったことがなくて、新婚旅行でハワイに行って以来、なかなか妻を旅行に連れて行けなかったので。先ほど話した受付スタッフは実は妻で、日頃クリニックのために頑張ってくれているので、ねぎらいたい気持ちもあります。ただし飛行機が苦手なんですけどね(笑)。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

通院に対する不安が少しでも軽くなるよう、感染症対策にも力を入れています。患者さんごとにユニットの消毒や器具の滅菌処理をすることはもちろん、待合室の椅子もどなたかが座られた場所は都度アルコールで拭くようにするなど、常に院内を清潔に保とうと努めています。昨今の状況では外に出ることを控えて定期メンテナンスをやめてしまう方もいますが、長い目で見れば口腔内の管理こそ、将来のご自身の健康につながる大切なこと。頻繁に通うのが心配であれば通院頻度の見直しもできますし、当院の感染症対策についての考え方などもお話しできますので、些細なことと思わずに聞いていただければと思います。何よりも患者さんと話し合うことが第一だと考えていますから、お気軽に声をかけてくださいね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/31万円