高橋 伸治 院長の独自取材記事
しん治歯科医院
(高松市/房前駅)
最終更新日:2024/10/10

1990年の開業以来、「健康な人が訪れる歯科医院」をコンセプトに地域の人々の口腔の健康を見守ってきた「しん治歯科医院」。国道11号に面した立地では30台分の駐車場を確保しているほか、琴電志度線・房前駅からも徒歩5分と、アクセスの便利な環境下にある。年月とともに味わい深い変化を見せるという、銅板のデザインが印象的な建物に足を踏み入れると、オリジナルキャラクターの「しーかーさん」がかわいらしく出迎えてくれた。まだ「予防歯科」という言葉がなかった時代から、予防歯科に全力を注いできた高橋伸治院長に、診療にかける思いや心に描く歯科医療の未来などをじっくりと聞いた。
(取材日2021年8月11日/情報更新日2024年8月19日)
トラブル予防のため、健康な人が訪れる歯科医院
2016年に、この場所で移転オープンされたと伺いました。

開業から30年余り。牟礼町のこの場所に移って、もうすぐ10年になります。旧医院から約1.5倍の規模に拡大した建物は、車いすやベビーカーでも移動しやすいバリアフリー設計。エレベーターを利用すれば、2階の受付への移動もスムーズです。診療エリアは治療・予防・小児と、患者さんの目的ごとに分かれ、小児エリアでは親子が一緒に受診することができます。患者さんがリラックスしてお悩みや要望をお話しできるようにと、院内にはカウンセリングルームも設置しました。歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士は患者さんの想いを理解した上で、それぞれの立場から意見を出し合い、お一人お一人に合わせた治療計画を立案しています。皆さんにご満足いただける治療を実現するためには、患者さんとの密なコミュニケーションが欠かせません。
常に進化を遂げながら、患者が受診しやすい環境を整えているという印象です。
開業33周年を迎える2023年には、クリニック北側に新社屋を建設。さらに本館1階を改装し、審美歯科目的の患者さん専用のエリアをオープンしました。現在の診療台は通常治療用6台、予防歯科用5台、小児歯科用5台、高度治療用1台、審美歯科用4台の、合計21台です。診療体制としては、歯科・小児歯科、予防歯科、矯正歯科、訪問診療の各部門に専任の歯科医師、歯科衛生士が在籍。どのようなお悩みにも、専門的な知識と技術に基づく診療でお応えしています。歯科医療もデジタル化の時代ですから、必要な機器類は随時導入し、患者さんにより良い治療を提供できるよう努めています。セラミックのかぶせ物を使った治療や、昨今ニーズが高まっているマウスピース型装置を用いた矯正などにも対応可能です。
「健康な人が訪れる歯科医院」というコンセプトはいつ頃から?

開業当時からです。歯科医院が好きだという人はなかなかいらっしゃいませんが、人から嫌われているところで一生働くなんて、私自身が嫌だと思ったんです。皆さんが「歯医者嫌い」なのは、治療が痛くて怖いから。その嫌な治療を回避する、健康な口腔環境づくりをサポートする場所にできれば、皆さんが「行きたい」歯科医院がつくれるのではないかと考えました。今では一般化した「予防歯科」という言葉も、まだ存在しなかった時代のことです。私たちは「健康な人が訪れる歯科医院」というコンセプトを掲げ、その想いを皆さんにお伝えしてきました。今ではお口のトラブルのない、健康な状態の方が多数、定期的に通われています。子どもから大人へ、そして親へと成長していく患者さんの姿は、私たちの大きな励みとなっています。
予防歯科で口腔の健康を全身の健康につなげる
先生が提唱されている、「デンタルフィットネス型予防歯科」とは?

皆さんがフィットネスジムに通うのは、体の健康を維持したいという思いがあるからですよね。「デンタルフィットネス型予防歯科」では、お口の健康を維持するという目的で歯科医院に通っていただきます。歯が痛くなってから仕方なく歯科医院に行くのではなく、将来に向けてお口の環境を整え、健康を維持するために歯科医院に通うというイメージです。患者さんの年齢や体質、生活習慣やお口の状態はそれぞれ異なりますから、当院ではお一人お一人にとって適切な予防歯科メニューをご提案しています。そうすることで、「もっと健康になりたい」と願う患者さん一人ひとりを応援しています。
デンタルフィットネスには、どれくらいの頻度で通うものですか?
多くの方は、3ヵ月に1回のペースで通われています。日常生活の中に、うまくデンタルフィットネスを組み込んでくださっているようです。定期的にお越しいただけると、そのとき、そのときのお口の状態に合わせたアドバイスができますので、患者さんもご自分のケアを振り返りながら、無理のない予防歯科プログラムが継続できます。これが、生涯にわたってお口の健康を維持する秘訣(ひけつ)なんです。
お口の健康は、全身の健康にも影響を及ぼすといわれていますね。

お口が持つ主な役割は、噛むこと、話すこと、そして呼吸をすること。生きていく上で、必要な機能ばかりです。その機能が損なわれると、食事や呼吸はもちろんのこと、コミュニケーションなどにも支障が出て、心身の健康に大きな影響が生じます。皆さんご存じのとおり、健康寿命と平均寿命の間には大きなギャップがありますが、できるだけ「ピンピンコロリ」で寿命を全うすることが、多くの高齢者の願いでしょう。歯科医院で定期健診を受けてお口の健康を保つことは、全身の健康の土台づくりや、ピンピンコロリの実現につながると考えています。皆さんには全身の健康を維持するためにも、歯科医院を上手に利用していただきたいです。
生涯にわたり健康を保つため、定期的な受診習慣を
訪問診療にも力を入れていらっしゃいます。

訪問診療の対象となるのは、年齢やご病気などによって、通院が困難になった方々です。認知症を含めてすでにご病気があり、病状を悪化させないようにと、日々奮闘している方が歯科診療まで受けるというのは、ご本人にとってもご家族にとっても大変なことです。私たちの使命は必要な治療を行うと同時に、そういった方々を新たな病気から守ること。長年通院されていた患者さんが歯科医院に通えなくなったら、こちらから足を運んで、お口の健康を維持するお手伝いがしたい。そんな思いで、早くから訪問歯科診療に取り組んできました。認知症の方の診療は難しいものですが、お元気な頃から定期的に受診されていた方は、お口の中を触られても抵抗が少ないように思います。お口の中を触られることが、ご自分にとって良いことにつながるという認識が残っているのでしょう。そういう意味でも、若いうちから定期的に歯科医院を受診する習慣を持つことは重要だと感じます。
高齢者の歯科医療に関して、気がかりなことがあると伺いました。
今後は、ご自分の歯を維持した高齢者が増えていくでしょう。しかし、ご自分の歯は適切なセルフケアを続けなければ、健康な状態を長く維持できません。年齢とともに歯茎が下がり、根の部分が虫歯になりやすくなっている状態で認知症を発症し、日常的な歯磨きまでできなくなれば、虫歯は加速度的に進行します。そして歯が折れ、大変な痛みと腫れに襲われる。そんなケースが多発するのではないかと危惧しています。ご自分の歯を維持してきたことが、苦しみを生む状況を防ぐには、どうすれば良いのでしょうか? 若いうちから口腔ケアを継続し、通院が困難になったらかかりつけ医に訪問歯科診療を依頼して、ケアを受け続けられる環境をつくることがより重要になるはずです。多くの歯を残した、多くの人が亡くなる「多歯多死」社会が近づいています。医科と歯科の連携、高齢者施設などを含めた地域包括医療の重要性はますます高まると考えています。
最後に、読者へのメッセージをお聞かせください。

「歯科医院は自分の健康が実感できる場所」、「元気になれる場所」。そんなふうに考えて、定期的に利用していただきたいです。訪問診療では、9台の専用車が半径16km以内の診療に対応していますので、お気軽にご相談ください。診療以外では、引き続きフッ化物洗口の普及に携わることで、地域のお子さんの虫歯予防に力を注ぎます。理事長を務める社会福祉法人では、障害児やその親御さんの支援を強化していきます。さらに、当院の予防歯科カリキュラムを全国の歯科医院で実践していただく仕組みづくりも進行中です。当院ではより良い診療をめざして、スタッフ一同、常に新たな知識や技術の習得に励みながら、多方面から人々の健康と幸せに貢献できるよう、進化を続けます。健康維持への第一歩として、当歯科医院をどうぞご活用ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/88万〜99万円、セラミックを使ったかぶせ物/11万円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。