高須賀 愼二 院長の独自取材記事
高須賀歯科医院
(松山市/本町六丁目駅)
最終更新日:2021/10/12

松山市東長戸に開業して30年以上、地域の人々の歯や口腔の健康を守り続けている「高須賀歯科医院」。院長の高須賀愼二(たかすか・しんじ)先生は、日本歯科大学を卒業後、同大学の歯周病学講座で研鑽を積んだ後、地元である松山市の歯科医院での修業を経て1987年に開業した。患者は開業当初から通っている高齢者も多く、ニーズに応えるかたちで虫歯や入れ歯の治療、歯周病治療に精力的に取り組んでいる。「患者さんが望むことをしっかりとくみ取り、お一人お一人と丁寧に向き合っていきたい」と語る高須賀院長。一言一言に患者への想いが感じられ、実直な人柄がにじみ出るインタビューとなった。
(取材日2021年4月5日)
生まれ育った地元の人々の口腔の健康を守りたい
歯科医師をめざしたきっかけから現在までの経緯を教えてください。

高校生の頃、父の知り合いに歯科医師の方がいて、その方から歯科業界の話をいろいろ聞かせてもらったことがきっかけになりました。日本歯科大学を卒業後、同大学の歯周病学講座で2年ほど研鑽を積み、地元である松山に帰ってきました。それから松山市内の歯科医院で4年ほど修業をさせていただいた後、1987年に開業に至ります。父の事業所の敷地の一角に建てたので、まさに地元。地域の患者さんに貢献できればという想いからこの場所にしました。
患者さんの年齢層や受診理由はどのようなものが多いのでしょうか?
開業時から比べると、圧倒的にご高齢の方が増えましたね。ここを開いてもう30年以上になりますので、開業当初から通っていただいている患者さんと一緒に年を重ねているような感じです。受診のきっかけとしては、やはり痛みを訴えて来られる方が多いです。あとは歯の詰め物が取れたり、入れ歯の具合が悪かったり。皆さん口腔内に何らかのお困り事を抱えて来られますから、まずはそこを取り除くことが最優先。その治療が完了したら、次の段階として定期的なメンテナンスをご提案しています。
ご高齢の患者さんに対して注意していることなどはありますか?

ご高齢の患者さんは、高血圧や糖尿病など何かしらの持病を抱えている場合が多いので、全身状態を鑑みて治療に臨むようにしています。特に歯を抜くときは気を使いますね。抜歯自体、体に負担やストレスがかかるということもありますが、骨粗しょう症の患者さんは骨の再生機能が落ちているために抜歯をすると問題が生じる可能性があるなど、さまざまなリスクが考えられるのです。なので当院だけで診断するのではなく、患者さんそれぞれのかかりつけの先生に相談してもらうようにお願いしています。
患者ファーストの姿勢で納得の歯科診療を提供
患者さんと接する際に大切にしていることは?

患者さんファーストで、常に何を求めてらっしゃるかを考えるようにしています。治療に対する考え方や姿勢は患者さんによってさまざまです。積極的に治療からメンテナンスまで取り組んでいこうという患者さんもいれば、とりあえず痛みをとってほしいという患者さんもいますので、まずはお話をしっかりと聞くことから始めます。現在こういう状態で、こんな治療法が考えられますよということはしっかりとお伝えしますが、選択するのは患者さんご自身。患者さんが納得して治療に臨んでいただくことが一番ですから、決して押しつけることのないように気をつけています。
先生は歯周病の治療にも力を入れてらっしゃるそうですね。
はい。歯周病に関しては大学でも専門的に学んできましたので、積極的に取り組んでいます。歯周病のケアというのは、定期的に診ていくことが大切。当院では歯周病の患者さんには定期的に来ていただき、ブラッシング指導とスケーリング(歯石除去)を行います。一人ひとり歯磨きの癖もありますから、磨けていないところはピンポイントでお伝えします。外科的処置が必要な場合もありますが、私はできる限りそれをしない方向で治療を行うようにしています。歯周病が進行している方でも、日々の歯磨きやデンタルフロスなどのセルフケアとスケーリングで症状をコントロールすることは十分可能です。治療を続けていくうちに患者さんもより前向きに協力してくださるようになるので、その瞬間はとてもうれしいものです。
印象的な患者さんとのエピソードはありますか?

歯周病の患者さんでいうと、以前診療した方のことは特に印象に残っています。その方はまだ19歳だったのですが、重度の歯周病で歯が全体的にグラグラしていたのです。虫歯はほとんどなかったのですが、歯茎がかなり厳しい状態で……。歯周病の怖いところは、初期での自覚症状があまりないこと。ですから気づいたときにはかなり進んでいるというケースが多いのです。何本かは抜くしかない状態ではありましたが、ブリッジで歯を補い、しっかりと歯周病治療を行いました。もう30年近くたちますが、歯周病の怖さ、治療の大変さを実感したという点では、今でもとても印象に残っている患者さんですね。
一人の人間として、患者の人生に寄り添う
今後の展望を教えてください。

開業して30年が過ぎ、60代も半ばに差しかかってきましたので、いつまで現役でいられるかなと考えることもあります。現在息子が歯科医師として他院で修業中ですので、いずれ帰ってきてくれることを期待しつつ、それまでは頑張らないといけませんね。長年通ってくださっている患者さんも多いので、皆さんと健康に年を重ねていきたいと思います。今はかつてのように患者さんが続々とご来院されるという状況でもないですから、お一人お一人にしっかりと時間をとって、コミュニケーションも取れるようになりました。ですからこれからは患者さんとしてではなく、一人の人としてお付き合いをしていきたいなと考えていますし、そうしなければいけないと感じています。認知症や寝たきりで通院が難しくなった場合は往診の必要がありますので、そのあたりのこともお話しする中でくみ取れるようにならなければいけないなと思っています。
お忙しい日々だと思いますが、ご趣味などはありますか?
一番の趣味といえば野球です。仕事より力が入っているかもしれません(笑)。大学時代から始めたのですが、すっかりはまってしまって……。松山に帰ってきてからも自分で軟式野球チームを立ち上げました。ポジションは投手も野手も捕手もなんでも経験してきまして、現在は監督兼選手で、今も週に1回くらいは試合をしたり、普段はジムでトレーニングをしたりと、野球漬けの日々を送っています。今は還暦野球リーグに参加していますが、70歳になると古希野球リーグもあるので、それまでは頑張るつもりですよ。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私は基本的に無口で口下手なので、開業した当初はそれこそ手を動かすことに専念して、患者さんと会話をすることがほとんどなかったように思います。ですが、月日の流れとともにおなじみの患者さんも増えてきて、コミュニケーションの大切さを痛感しました。患者さんには自分の考え、どんな治療をしてほしいか、家でのセルフケアの方法など、なんでもご相談いただきたいと思っています。今でも口下手なのは変わりませんが、傾聴することは得意だと思います。患者さんの声に耳を傾け、じっくりと話していただけるような時間を持ちたいと考えていますので、どうぞお気軽にお越しください。