眞木 俊二 院長、眞木 信太郎 副院長の独自取材記事
まき歯科
(今治市/伊予富田駅)
最終更新日:2021/10/12

今治市の郊外、田園風景の広がる中寺地区に「まき歯科」はある。親しみやすい笑顔が印象的な院長の眞木俊二先生は1981年に九州歯科大学を卒業後すぐ帰郷し、翌年1982年に開業。優しさオーラが全開の眞木信太郎副院長は、明海大学歯学部大学院を卒業後、大学病院の補綴科で研鑽を積んだ後、2015年から同院で診療にあたっている。「地域の皆さんに信頼される、町のかかりつけ医であり続けたい」と話す2人に、診療にかける思いを語ってもらった。
(取材日2020年6月12日)
あらゆる世代が通いやすく親しみやすいクリニック
歯科医師をめざされたきっかけをそれぞれ教えてください。

【眞木院長】子どもの時から何か手に職を持ちなさい、と言われ続けていて。電子工学が全盛の時代でしたから、その道も検討しましたが、当時今治は歯科医院が少なかったので歯科医師をめざすことにしました。
【信太郎副院長】後を継いでほしいと言われていたわけではなかったし、祖父が教師で、私はおじいちゃん子だったので、高校3年生までは教師をめざしていました。ところが大学受験で結果的に歯学部に進むことになりました(笑)。最終的には父の影響だと思いますが、今では歯科医師になって本当に良かったと思っています。
副院長が今治に戻られた5年前から2人体制になって変わったことや良かったことは?
【眞木院長】時間的にも気持ち的にも余裕ができました。入れ歯のことに関しては専門である息子に相談することも多く、頼りにしています。2世代でやっている先輩方から「何も言うな、一切言うな」とアドバイスももらって(笑)。気になってついつい言ってしまいそうになることもありますが、信頼して任せています。
【信太郎副院長】院長がこれまで築いてきたベースがしっかりあるので、新しいことも導入しつつ、とても働きやすい環境だと思います。経営者として大切なこと、例えばスタッフとの関係性も見習うことが多く、長く勤めてもらっているスタッフが多いのは院長の人徳だと思います。私はまだまだ強く言ってしまうこともあるので、スタッフとの間に入ってクッションの役割を担ってくれてもいます。
診療の際に心がけていることはどのようなことですか?

【眞木院長】口の中を見る前に、患者さんとのコミュニケーションを図ることを一番大切にしています。初診の方などは特にしっかり話をするようにしています。歯科の治療が苦手な方も多いですから、リラックスして安心して治療を受けてもらえるようにしています。
【信太郎副院長】開業して38年間、院長が築いてきた患者さんとの信頼関係を裏切らないようにということをとにかく念頭に置いています。院長のやり方を意識しながら、自分が得意な分野に関しては改善できる点があれば提案していくという感じです。院長が近くの幼稚園の園医もしている関係で、幼児からご高齢の方まで患者さんの層も幅広いのですが、患者さんお一人お一人との心の距離感が近く、生活背景もわかっていますので、これからも身近なかかりつけ医としての役割を果たしたいと思っています。
早くから定期的な検診とクリーニングを提唱
どのような診療に力を入れていますか?

【眞木院長】昔ながらの削って治すという治療だけではなく、歯周病の治療や予防の取り組みはかなり早かったと思います。メンテナンスの重要性が今のように提唱されていない時代から、患者さんに定期的に通院してもらうシステムを構築し、予防に力を入れてきました。
【信太郎副院長】虫歯になってからではなく、何もなくても定期的にチェックに来ていただけるような仕組みづくりです。虫歯や歯周病にならないよう、まずは予防することに力を入れています。顕微鏡を使ってお口の中の細菌検査をしたり、歯肉の状態を検査したり、歯石を取り除いた上で、歯科衛生士による歯磨き指導も行っています。また、大学病院に現在も非常勤で勤務しており、最先端の治療法を学び当院でできることはやるようにしています。
定期的なメンテナンスに来ない患者さんに対してどんな工夫をされてきましたか?
【眞木院長】歯周病が進んでいますよ、と言っても自覚症状がないとなかなか意識されません。だから歯の裏側に歯石がいっぱいついている写真を見てもらったり、顕微鏡を覗いてもらって細菌がうごめいているのを目の当たりにすると治療しないといけないモチベーションが上がるようです。口で言うよりも、ご自身の目で見ることで意識されますね。あとは定期的にはがきを出したりしながら啓発をコツコツ続けてきました。通わなくなっていった患者さんも虫歯になって痛い思いをされるとあらためて通ってくれるようになったケースもありますよ。
院内に歯科技工士さんもいらっしゃいますよね?

【信太郎副院長】30年以上勤めてくれている、なくてはならない存在です。院内で責任持って作ることができますし、患者さんと直接関わるので細かい点も調整できますし、修理も素早く対応できます。開業当時から通われている60~70代のアクティブシニアの方が当院では一番多い層なので、これから入れ歯の需要がどうしても増えてくると思っています。私が補綴科、いわゆるかぶせ物や入れ歯を専攻したのも、当院の患者層に合わせたからなのです。院内技工士がいることの強みをこれからもますます発揮して、装着していてストレスのないものを作っていきたいと思っています。
地域に根差した歯科医療を提供し続ける
歯科医師としてやりがいを感じるのはどんな時ですか?

【眞木院長】ちょっと観点が違うかもしれませんが、近くのスーパーなどに買い物に行った時に、いろんな方から「眞木先生」って声をかけられる時です(笑)。私はこの辺りが地元ではないので開業当時はほとんど知り合いもいませんでした。スポーツ少年団のお世話をしたり、PTAの会長もしたり、地域活動に積極的に関わることで、地域になじめたかなと思います。地域医療に携わる身として、地域の皆さんとのコミュニケーションが一番大切だと思っています。
【信太郎副院長】患者さんの笑顔を見ることができた時です。私はここで生まれ育ちましたので、患者さんから「小さな頃から見ていた子がこんなに大きくなって、立派になったね。また来るよ」と言ってくださったり。照れくさいですけど、本当にうれしいですね。
プライベートでリフレッシュ方法はありますか?
【眞木院長】学生時代はバドミントンと駅伝をやっていましたし、地域の体育指導員もするなど、スポーツが大好きなんですが、今はもっぱら畑仕事をしています。家庭菜園の延長みたいなものですが、気分転換にとてもいいんです。小さな耕運機で土を耕し、耕した後を振り返って見ると、きれいな畝(うね)ができていると楽しくてね。孫たちに芋掘りさせて喜んでもらったり、知り合いに芋や大根をあげると喜んでくれる。そうするとうれしくなって今年はもっと作ろうと思ってしまいますね(笑)。
【信太郎副院長】休みの日は1歳と3歳の子どもたちと一緒に遊ぶようにしています。あとは、高校時代にハンドボールでインターハイに出場した経験もあり、今も、チームで最年長ではありますが、今治の社会人クラブで活動していたり、スポーツ少年団でジュニアのコーチもしています。父も私もスポーツは好きですね。
今後の展望についてお聞かせください。

【眞木院長】ますます高齢化が進む中で、訪問診療もきちんと対応したいと思っています。患者さんを最期まで診るというのは、地域医療従事者としての責任だと思っています。
【信太郎副院長】「ゆりかごから墓場まで」という言葉がありますが、幅広い世代の患者さんと末永く付き合っていきたいと思っています。もともとずっと患者さんとして来られていた方が、妊婦健診も来られて、お子さんが8ヵ月ぐらいになると早速連れてきてくださいました。そういうお母さんだとお子さんは虫歯にならないと思うんです。今治市は中学生まで保険診療の歯科医療費が無料です。妊婦健診も無料ですし、子どもは下の歯が生えて、ぶくぶくうがいができるようになったら対応できるので、早めに検診に来てもらえるよう小児歯科の分野にも力を入れていきたいと思っています。