坂田 晋也 院長の独自取材記事
坂田歯科医院
(四国中央市/伊予三島駅)
最終更新日:2021/10/12

伊予三島駅から徒歩10分ほど、海側の県道から商店街に入ると左手に見えてくる「坂田歯科医院」。現院長の坂田晋也先生が病に倒れた父から歯科医院を引き継いで17年、近隣で歯科医院を営んでいた祖父の代から数えれば60年以上、地域住民に親しまれてきた。大都市まで行かずとも、質の高い、新しい歯科医療を受けられるようにしたいというスタンスで、日々の診療に取り組んできた坂田院長。外観・内装・設備から治療メニュー、スタッフの制服に至るまで古さをまったく感じないのは、進取と研鑽を怠らない姿勢の表れといえるだろう。20代半ばで突然の院長就任から、新型コロナウイルス感染症で不安の広がる現在まで、明るさを失わず走り続けてきた17年を、坂田院長に振り返ってもらった。
(取材日2021年3月31日)
セラミックのメリットは虫歯の再発が起こりにくいこと
白を基調にしたモダンな外観とインテリアで、アロマのいい香りもして落ち着きます。

祖父と父も歯科医師だったのですが、当院は父が40年前に建てて、10年ほど前に僕が改装し、今のようになりました。祖父は僕が生まれる前に亡くなっていますが、ここから歩いてすぐの商店街の中に開業していたそうです。患者さんにリラックスしていただきたいので、空調や換気にも工夫をしています。新型コロナウイルス感染症の流行前から、換気も含めて滅菌対策には力を入れてきました。滅菌器は、世界的に厳しいとされる欧州基準でクラスB規格の滅菌器を導入して、滅菌したハンドピースやタービンなどはパッキングしてしまいます。使う時に患者さんの目の前で開封するので、常に清潔な機材で治療をすることができます。他にも可能な限り使い捨て資材を用意し、院内では検温にご協力いただくなど、感染症対策はできることを最大限行っているつもりです。
得意とされている治療や、力を入れている診療を教えてください。
補綴治療とインプラント治療が好きで、長く研鑽を続けています。近年はCAD/CAMシステムの勉強に注力し、院内に歯科用CTやCAD/CAMシステムを導入するなど機材のデジタル化も進めています。金属アレルギーの心配がなく、目立ちにくいセラミックのかぶせ物を迅速に作製できるCAD/CAMシステムを使用した補綴治療は、当院でも希望されることの多い治療ですが、セラミックには虫歯の再発が起こりにくいというメリットもあるんです。金属の補綴物は歯と固さが違いますし、歯に留めているだけなので、経年によりできたわずかなすき間から汚れや菌が入り込み、治療終了数年後に再び虫歯になるケースもよくあります。一方、セラミックのかぶせ物は歯にぴったりと装着できてすき間ができにくく、虫歯が再発しにくいので、歯を守る上で重要な選択肢の一つと言えるでしょう。
患者さんはどのような方が多いのでしょうか。

年齢的には、お子さんから高齢の方まで満遍なく来院されていますね。ご予約いただければ、小さなお子さんは保育士や幼稚園教諭の資格を持つスタッフが院内で見ていますので、親御さんも安心して受診していただけると思います。土曜日は17時まで診療していますので、お勤めの方や学生さんも多いです。午前中は義歯作製やインプラント治療を希望される高齢の方も来院されるので、幅広い層の患者さんがおみえになります。遠くは八幡浜市や四万十市、観音寺市などから来られる方もいます。何時間もかけて来院された患者さんに「こういう治療を求めていたんです」と言われたときは、本当に歯科医師冥利に尽きると思いました。
勤務医2年目で突然、父の歯科医院を継承することに
予防歯科にも力を入れているそうですね。

歯科に限らず多くの病気がそうだと思うのですが、ひどくなってから治療を始めるとなると、なかなか結果がついて来ないものです。ですから、まず予防に力を入れて、悪くならないようにしていくことが一番大切と思っています。当院は検査をしっかりするコンセプトなので、唾液に含まれている細菌を調べる唾液検査、取った菌を視認するための顕微鏡検査、レーザーを使った虫歯検査、歯周組織検査などさまざまな方法で、患者さんのお口の状態を把握します。そして、どういう問題が起きていて、どんな治療方法があるのかをお伝えし、一緒に治療計画を立てていくスタイルです。器材だけでなく、スタッフも充実させています。治療開始から終了後も、歯科衛生士が丁寧にケアします。
歯科衛生士は何人くらいいるのですか。
常勤が6人、非常勤が3人です。常勤歯科医師は今のところ僕だけなので、圧倒的に歯科衛生士が多いですよね。人数を減らして忙しくなりすぎると患者さんが落ち着かないですし、僕よりもじっくりと患者さんのお話を聞くことができるので、全員が当院には欠かせない存在です。みんなやる気があって、日頃からよく勉強しているし、何が患者さんのためになるのかを考えて行動してくれています。当院では先輩の歯科衛生士が後輩に仕事や技術を教える文化ができているので、新しく入った歯科衛生士でも安心して仕事に取り組めるんじゃないかなと思っています。最近では治療の患者さんより予防やメンテナンスの患者さんが多くなっていますが、これも歯科衛生士やスタッフみんなの努力のおかげと思っています。
開業のいきさつを教えてください。

祖父も父も歯科医師で、子どもの頃から父の働く姿に尊敬や憧れを感じていましたので、進路を決める時も迷いませんでした。2002年に大阪歯科大学を卒業し、大阪市内の歯科医院で働いていたのですが、2年目に父が脳梗塞で倒れてしまったので、急きょ当院を引き継ぐことになってしまったんです。本音としてはもう少し勤務医として外で勉強したかったのですが、実家に帰らざるを得なくなり、2004年に当院の院長になりました。勤務先にも担当の患者さんがいましたので、前日まで大阪で働いて、翌日から当院院長になったため、経営についての知識はまるでありませんでした。最初の数年は無我夢中で走っていて、今思い出しても大変でしたね。そんな中、事情を知った地域の患者さんたちから温かい言葉をいただき、歯科医師としての父や祖父との交流やエピソードを教えてもらえたのが、うれしく励みになりました。
厳しい状況に置かれても、ポジティブに明るく
診療の際に心がけていることを教えてください。

きびきびと働く父を尊敬していたのは確かなんですが、虫歯治療の痛いのが嫌で、実は小学生の時は逃げ回っていました(笑)。そんな僕自身の経験から、自分は痛みの少ない治療をしようと決めていました。まずは注射の前に表面麻酔を行って痛みを感じにくくし、使える注射針の中でも痛みを感じにくい細い針を使用して、注射液を人肌に温めてから静かに麻酔薬を注射します。痛みに限らず、スタッフには「自分だったら嫌だと思うことは患者さんにもしない、言わないように」と伝えています。そして、大人でも子どもでも初診の患者さんには、いきなり治療をしません。急患の場合は別ですが、それ以外の患者さんについては、治療方針に納得していただき、安心して治療ができる状態になってから始めます。
休日はどのように過ごされていますか。
新型コロナウイルス感染症が広がる前は、休日は勉強会に参加するとか、息抜きにおいしいものを食べたりお酒を飲んだり、旅行を楽しんでいました。遠方で勉強会がある時は歯科医師仲間とも会えるので楽しみにしていたのですが、それもできなくなってしまいました。ただ、最近はウェブセミナーが浸透してきたので、自宅で勉強ができるようになり、時間を有効活用できるようになったのが良かったです。息抜きのほうも、近場で家族とバーベキューやプチキャンプをするなど、マイクロツーリズムを楽しんでいます。こんな近くにこんなに面白いことがあったんだ、と発見があるのもいいですね。制約の多い状況ですが、なんとかポジティブに、明るくやっていけたらと思っています。
今後の展望をお聞かせください。

この仕事をしていて一番やりがいを感じるのは、患者さんに喜んでもらえること、感謝していただけることなんです。設備にしても治療にしても、またスタッフの技術においても、患者さんにメリットがあると判断したらできるだけ早く導入し、スムーズに提供できる体制を構築していきたいと考えています。そして、わざわざ大都市まで行かなくとも、質の高い歯科医療を受けていただけるよう、可能な限り先進の機器を導入し、僕もスタッフも勉強を重ねて、たゆまずにアップデートしていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/3万8500円~11万円、インプラント治療/39万円~40万円、唾液検査/3300円~5500円