高橋 厚 院長の独自取材記事
高橋歯科医院
(松山市／伊予北条駅)
最終更新日：2021/10/12
松山市北条辻、松山市立北条小学校の向かいにある「高橋歯科医院」。院長を務める高橋厚先生は、城西歯科大学歯学部（現・明海大学歯学部）を卒業後、勤務医として関東の歯科医院で経験を積み帰郷。1983年に同院を開業した。高橋院長が手作りをした木工品などが飾られた日当たりの良い診察室で、一般的な歯科診療から歯周病などの予防歯科、義歯の作製や調整まで幅広い診療を行っている。「お口の健康は1本の歯ブラシから」をモットーとし、患者の口腔内の健康を守るために熱心な取り組みを展開している高橋院長に、診療において大切にしていることや毎日のケア方法など、たっぷりと教えてもらった。
（取材日2019年12月14日）
患者のため、スピーディーな対応を心がける
先生が歯科医師をめざしたきっかけ、また開業の経緯を教えてください。
小さな頃から手を動かすことが好きで、物作りをしたいと漠然と考えていました。父が内科医師、叔父が歯科医師と医療従事者の多い家系でしたので、医療系で考える中で歯科技工士になりたいと思い歯科医師の叔父に相談したところ、歯科医師を勧められまして。それが直接のきっかけでした。当時の城西歯科大学に進学し、関東と松山市内でそれぞれ勤務医を経験したのちに開業しました。ここは以前、父の内科医院があった場所であり、実家でもありますが、建て替えて開業することを決めました。ですから、開業当時は内科と勘違いして「おなかが痛いんだけど」と来られる方もいらっしゃいましたよ（笑）。
診療方針を教えてください。
とにかく患者さんのお話をしっかりと伺って、丁寧に説明をすることから始めます。どんな治療をするかわからないまま進むのは患者さんの不安も大きいと思いますから、まずはその不安を取り除くことが第一。問診票を頼りに主訴をお聞きして、デジタルエックス線検査装置や口腔内カメラなどを用いて現状を把握。治療計画を立てていきます。例えば痛みがあったり、歯が欠けていたり、義歯が割れていたりと噛むことに差し障るような状態の場合は、できるかぎりその日のうちに治すよう心がけています。
義歯の不具合を訴えて来られる患者さんも多いそうですね。
ご高齢の患者さんが多いので、義歯の方はたくさんいらっしゃいますね。義歯が割れたり、噛み合わせが悪かったりという不具合のある方は多く、義歯の修理をしない週はないくらいコンスタントに来院されています。義歯を支えるご自身の歯が抜けてしまった患者さんには、その日のうちに人工歯を入れて対応することもありますし、義歯の針金が落ちてしまった場合は針金を調整して元に戻します。とにかく噛めない状況を早くどうにかして差し上げたいので、帰った後も食事ができるように、自分にできることなら対応するようにしています。また、義歯をどうやって直そうかと考えることは特に好きなのです。
治療からメンテナンスまで一貫体制で向き合う
先生のお話を伺っていると、患者さんに親身になって向き合っている様子が思い浮かびます。
しっかりと時間をかけて患者さんと向き合うことは私が最も大切にしていることです。それは過去の経験が影響しているのですが、大学卒業後に勉強をさせてもらった歯科医院の院長先生の方針は効率重視でした。虫歯の洪水時代で患者さんが多かったことも背景にはあるのですが、診察台が10台ぐらいあり、とにかく一人にかける時間を短縮し、流れ作業のように進めていく。そんな治療を目の当たりにしたとき、自分は一人ひとりをちゃんと診られるような歯科医院を開きたいと思ったのです。
現在は先生お一人で治療からメンテナンスまで手がけているそうですね。
そうです。以前は歯科衛生士や歯科技工士も在籍していましたが、今は私と歯科助手という構成ですので、カウンセリングから検査、治療、その後の定期的なメンテナンスやブラッシング指導まですべて自分で行っています。開業当初は虫歯などの患者さんが多く、振り返ってみると治療はしていたけれども、理想的な診療にはなっていなかったのかなと思うところがあります。だからこそ、今は自分が責任を持って患者さん一人ひとりを診るという方向性で診療に臨んでいるところです。
ブラッシング指導など、日々のケアについても熱心にアドバイスされているとか。
日々のブラッシングこそが健康な歯を維持する一番の秘訣だと考えています。磨き方が悪いと虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、知覚過敏になってしまう恐れもあります。歯ブラシを細かく動かす磨き方が望ましいのですが、だんだん面倒になってストロークが長くなると、負担のかかった歯茎が下がってしまったり、力が強すぎると歯が削れてしまったりすることも。そうしてくさび形欠損が起こってしまうと、知覚過敏になりやすくなるんです。中には磨きすぎで奥歯の根っこが露出している患者さんもいらっしゃいました。磨く強さは、恐らく想像よりも弱い力で十分なのですよ。当院では、定期メンテナンスの際に口腔内カメラで撮影した画像を見せて、患者さんご本人に磨き残しを自覚していただきます。磨き方の癖や歯ブラシの届きづらい箇所もありますから、そこを重点的に磨いていただくよう、患者さん一人ひとりの口腔内に応じたアドバイスを心がけています。
1本の歯ブラシが健康維持の秘訣
長年の診療を振り返り、印象的な患者さんとの出会いはありましたか？
開業してから三十数年、患者さんとともに私も歳を重ねてきましたが、残念ながら亡くなられる方も増えてきて寂しさは感じます。ですが、90代でも元気に歩いて来られる方もいらっしゃいます。その方は義歯の調整と、2ヵ月に一度の歯周病の定期メンテナンスで来られています。また、「先生に相談するようになって歯を抜かなくて済むようになり助かった」と言ってくださる方もいて、そういうお言葉をいただけるととてもうれしいですね。その方も定期メンテナンスに通ってくださっているのですが、来られるたびに「今日はどうですか？」と、ブラッシングの評価を聞いてくれるのです。自分が一生懸命お伝えしたことで意識が変わり、毎日の歯磨きやフロスなどのケアを頑張ってくれるようになるのは何よりのやりがいです。
お忙しい日々だと思いますが、診療がお休みの日に楽しまれていることはありますか？
もともとDIYが好きで、診察室に飾っているトールペイントや検査機器の棚なども作っていたのですが、ここ数年は時間がなくて、なかなか手仕事をする時間が取れていませんね。ですから、最近の休日の楽しみといえばドライブです。一人で車を走らせるのが好きなので、気づけば結構遠くまで来ていることもありますね。いい気分転換になります。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
私は、「お口の健康は1本の歯ブラシから」をモットーに、患者さんの歯と口腔の健康を守るお手伝いをさせていただけたらと思っています。適切な治療からの定期的なメンテナンスはもちろん大切なことですが、特に大切なのは毎日の歯磨きです。噛める喜び、好きなものを食べる喜びを失わないためにも、ご自身の口腔内の状態を理解し、適切なセルフケアを続けていただきたい。中には義歯を入れると、それで治療は終わりと考える方もいらっしゃると思いますが、義歯との付き合い方次第で、人生は大いに変わってきます。定期的なチェックをしていないと、噛み合わせが合わなくなったり、汚れがたまって歯茎が炎症を起こしたりと、トラブルが発生するリスクは高まります。何かが起こる前に、ぜひ早めの定期メンテナンスに足をお運びいただければ幸いです。日々のお手入れを生活習慣に取り入れて、きれいな歯で、毎日を生き生きと過ごしましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とはノンクラスプデンチャー（チタン使用・部分入れ歯）／20万円～
