看護師として転職を有利に進めるために、資格取得を考えている人も多いのではないでしょうか。転職の際に資格を取得しておくと良い理由は、①職場選択の幅が広がる、②キャリアアップにつながる、③給料アップにつながるという3つです。この記事では、看護師の転職やスキルアップに役立つ資格をご紹介していきます。
今回のテーマは「専門看護師」です。
<目次>
1 専門看護師とは?
「専門看護師」とは、水準の高い看護を効率良く行うための技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師に与えられる資格のことで、「専門看護分野」ごとに日本看護協会が認定します。(専門看護師/英名Certified Nurse Specialistは日本看護協会の登録商標です)。
この認定制度は、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献すると同時に、看護学の向上を図ることを目的に誕生しました。
しばしば比較される認定制度として、認定看護師が挙げられますが、大きな違いは必要学歴。専門看護師の場合、大学院修士課程の修了が必要です。
そのほか求められる役割にも違いがあります。認定看護師が実践、指導、相談の3つの役割を担うのに対し、専門看護師は、以下の実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究の6つの役割を果たします。
認定看護師の上位資格にあたる専門看護師は、さらに専門性が高く、求められる役割が多い資格であり、合格の難易度も高い認定資格といえます。
●専門看護師と認定看護師の違いは?
違いをまとめると、以下のようになります。
2 専門看護師の資格を取得する転職のメリット
専門看護師の資格取得をめざす上で、高度な知識やスキルが身に付くことはもちろん、認定資格を取得することで周囲からも客観的に能力を認められ、転職時の選択の幅も広がります。
任される仕事領域の拡大、ひいては給与など待遇面の向上が期待できることに加え、今後さらなる飛躍をめざす上では、転職シーンでの交渉にも役立ちます。
●職場の選択の幅が広がる
質の高い看護の提供はもとより、教育や研究など多角的に看護業界に貢献できることから、転職時の選択肢の幅が格段に広がるでしょう。
また、現在所属する部署や医療機関の枠組みを超え、専門性を生かして複数の現場での実践や調整、教育など活躍の幅も格段に広がります。さらに、専門分野の看護に関する研究会や講演会、セミナーなどで講話を求められる機会が多く、地域の介護・医療関係者など、院内外の人脈ネットワークを広げることも可能です。
●キャリアアップにつながる
さまざまな業務に従事できることから、看護に対する意識が高まり、専門分野の知識やスキルを継続的に高めるきっかけになるでしょう。専門看護師として、各分野の先端医療に従事する医師とともに医療現場に立つ機会も増えることから、キャリアアップのスピードを速めることにもつながります。
看護師長やマネジメントといった通例の昇進ルートのみならず、専門性を究めたスペシャリストとして、多様なキャリアアップの道が拓けてくることでしょう。
ひいては、他の看護師とは異なる豊富な経験、キャリアを積むことができるので、転職の際にも有利に働きます。
●給料アップにつながる
特定分野のエキスパートとして周囲から認知されることに加え、保健・医療・福祉など多職種との連携やマネジメントなどを任される場面も増え、必然的に昇進・昇格のチャンスは増えるでしょう。
管理職に就けば、基本給のアップのみならず、管理職手当が付くなど大幅な年収アップも実現可能です。
職場にもよりますが、有資格者に手当が付く制度を導入している医療機関もあります。資格は、スキルや知識の証明になるので、それを生かして、転職する際の給料交渉をしやすくなるケースも考えられます。
3 専門看護師の資格を取得するためには?
専門看護師の資格を取るためには、看護師免許を保有する看護系大学大学院修了者が、実務研修を経て認定試験に合格する必要があります。受験方法やスケジュールを見ていきましょう。
●専門看護師の受験資格
下記すべての要件を満たしていることが前提となりますのでよく確認しておきましょう。
実務研修施設の一覧は日本看護協会ホームページから確認できます。
上記の必要要件を満たした人に認定資格の受験資格が与えられます。以下に受験費用や試験方法など詳細をまとめました。
●専門看護師の受験スケジュール
試験は年に1度なので早めの情報収集、受験勉強が重要です。
遅くとも、受験したい年の春頃までにはスケジュールをチェックしておくとよいでしょう。
※スケジュールは目安です
審査申請手続きは、「資格認定制度 審査・申請システム」よりウェブ申請を行います。
認定試験に合格したら、認定料の振り込みや「資格認定制度 審査・申請システム」から専門看護師登録手続きを行いましょう。その後5年ごとに 更新申請・審査(看護実践と自己研鑽の実績について書類審査)の必要がありますので忘れないよう注意してください。
専門看護師になるための費用は、修士課程2年分の学費およそ300万円に加え、審査料・認定料の合計として10万円程度。大学院ごとに費用は異なりますが、350万円程度はかかると想定しておくべきでしょう。
各種助成金や都道府県の貸与制度などもあるので、自分が利用できる制度がないか確認してみましょう。
◇ ◇ ◇
今回は、専門看護師について紹介しました。
認定看護師以上にハードルが高い専門看護師。
しかし、専門看護師になることで、自分自身のスキルアップはもちろん、周囲からの評価を高めることができ、看護師としてのやりがいを感じることにもつながります。
広い視野に立って看護業界、ひいては医療業界の発展や環境整備などに貢献することも可能でしょう。
専門性の高い看護を提供したい人、さらには看護業界の発展に寄与したいと考えている場合には、転職も視野に入れてぜひ専門看護師をめざし、キャリアを築いていってください。
当サイト「ドクターズ・ファイル ジョブズ」では、看護師の求人を多数掲載しています。
エリアや駅、雇用形態はもちろん、「ブランクOK」「子育てママ在籍中」「退職金あり」などのこだわり条件でも絞り込めるので、自分が重視している条件で求人を探しやすいです。ぜひ活用してみてください。
相談:看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。
調整:必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。
倫理調整:個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。
教育:看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。
研究:専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。
※参考:公共社団法人日本看護協会「専門看護師」