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記事公開日:2023/11/06

最終更新日:

慢性期病棟で働く看護師の仕事とは?役割・やりがいを解説

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これまでクリニックで看護師として働いてきた人の中には、キャリアアップや経験を積むことを考え、病棟での仕事に興味を抱いている人もいるのではないでしょうか。
ただ、ひと口に病棟といっても、急性期病棟や慢性期病棟、回復期リハビリテーション病棟などさまざまな病棟があり、それぞれ役割や仕事内容が大きく異なります。

この記事では、慢性期病棟にフォーカスをあてて看護師の仕事内容や一日の流れ、やりがいなどについて紹介します。慢性期病棟で働くことに興味がある人はもちろん、慢性期病棟での仕事について知らないという人にとっても、看護師としての働き方のヒントになるはず。ぜひ参考にしてみてください。

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1 慢性期病棟とはどのような施設?

「慢性期」は、病状が安定傾向にある時期を指し、病気の再発予防や身体機能の維持・改善のために継続的な看護や治療が求められます。急性期・回復期から慢性期に移行した患者や在宅療養中に状態が悪化した患者などを受け入れて、在宅復帰に向けた長期的な治療とリハビリテーションを行う施設が「慢性期病棟」です。

●慢性期病棟の診療内容

慢性期病棟は高齢の患者が多いのが特徴で、病気だけでなく加齢による身体機能の低下のために複合的な疾患を抱えている人が少なくありません。脳血管疾患や慢性呼吸器疾患、糖尿病、慢性腎不全など患者の症状は多岐にわたるため、患者の状態に応じて喀痰吸引をはじめ、中心静脈栄養(TPN)、人工呼吸、酸素吸入、経管栄養、気管切開、褥瘡処置といった医療措置を24時間体制で対応。また、ターミナルケアや看取りも行います。

●慢性期病棟の患者の在院日数

患者の平均在院日数については、「令和5(2023)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」(厚生労働省)によると、慢性期病棟にあたる療養病床は「119.6日前後」であり、数ヵ月単位での看護が一般的です。

超高齢社会の突入に伴って慢性期患者が爆発的に増えたことや、慢性期病棟の役割が変化して医療の提供だけでなく介護との橋渡し役を担うようになったことから、慢性期病棟への社会的ニーズが高まっています。今後も高齢人口のさらなる増加が確実視されているため、この傾向は一層顕著になっていくことが予測されます。

2 慢性期病棟の看護師の役割・仕事内容

患者の生活を24時間体制でサポートする慢性期病棟において、看護師は患者の状態を細部にわたって観察し変化を捉えて悪化を防ぎ、体調の安定に努める役割があります。患者一人ひとりの状態、性格などに合わせた日常生活のサポートやきめ細かなケアが求められるのです。

以下で主な仕事内容と求められるスキルを紹介します。ただし、対応疾患などによって異なります。

●主な仕事内容

①医療処置

  • バイタルサイン測定
  • 点滴、注射、採血などの医療処置
  • 褥瘡処置、喀痰吸
  • 経管栄養のケア
  • 酸素吸入
  • 中心静脈カテーテル

②日常生活のサポート

  • 清潔ケア、排せつ介助
  • 体位交換
  • 歯科医師や歯科衛生士と連携し口腔環境のメンテナンス
  • 患者や家族への精神的ケア、助言・指導

●求められる資格

慢性期病棟で看護師として働くためには、当然ながら看護師の資格が必要となります。そのほかに必須の資格は基本的にありませんが、業務では高度な専門知識が求められるので、公益社団法人日本看護協会の脳卒中リハビリテーション看護や慢性呼吸器疾患看護、糖尿病看護といった「専門看護師」「認定看護師」の資格を有する人、あるいは働きながら資格取得をめざす人もいます。

3 慢性期病棟で働く看護師の一日の流れ

慢性期病棟で働く看護師の一日のタイムスケジュール例を紹介します。患者の急な容体の変化への対応などが少ないので、決められたスケジュールどおりに休憩や夜勤時の仮眠などを取りやすいことが慢性期病棟の特徴です。日々のスケジュールは勤務先によって異なるため、あくまでも一般的な事例として、仕事のイメージをつかんでみてください。

なお、ほかの病棟看護師と同様、二交代制や三交代制が大半で、シフトのスタイルはさまざま。ここでは、「二交代制の日勤」のケースを紹介します。

慢性期病棟で働く看護師の一日の流れ

【8:30】朝礼/夜勤担当者からの引き継ぎ

夜勤担当者に患者の状態や看護内容などをヒアリングし、業務を引き継ぎます。

【9:00】午前の病室ラウンド(バイタルチェック、点滴、採血、清潔ケアなど)

担当する患者の病室を見回り、状態の確認やバイタルサイン測定をはじめ、清拭、洗髪、陰部洗浄などを実施。排せつケアが必要な患者へのおむつ交換など、患者一人ひとりに適したケアを実施します。また、必要に応じて輸液ポンプなどの補充や点滴の準備なども行います。

【11:30】昼食準備、片づけ、口腔ケア

配膳、下膳、食事介助など、患者の昼食のサポート。歯磨きをするように促し、義歯の洗浄などを行います。

【12:30】休憩

昼食を取ります。至急の患者対応に備えて、スタッフは時間をずらして交代で休憩を取るようにしている職場が多いです。

【13:00】カンファレンス、カルテを記載

各医療スタッフと患者の情報を共有し、看護記録を作成。患者の状態を踏まえ、必要に応じて看護計画の見直しなどを行います。

【15:00】午後の病室ラウンド

午前と同様に担当患者の病室の見回り。午前中に行った処置の経過観察なども行います。

【16:30】夕礼/夜勤担当者へ患者に関する情報を共有

夜勤担当者に患者の容体や留意事項などを申し送りします。

【17:00】患者へ交代のあいさつ

担当患者の病室を回り、夜勤の担当者に交代することを伝えます。

【17:30】退勤

4 慢性期病棟の看護師の魅力・やりがい

数ヵ月単位の長期間にわたって患者を看護していく慢性期病棟での看護師の仕事。そのやりがいや魅力を紹介します。

・じっくりと患者と向き合いながら、看護ができる

急な容体の変化などに迅速な対応が求められる急性期病棟での看護と異なり、じっくりと患者と向き合いながら、一人ひとりにとって最適な看護を自分なりに考え、取り組める点がやりがいや魅力として挙げられます。

・患者や家族と信頼関係を築きやすい

入院期間が長いことから、患者やその家族と心を通わせながら看護にあたりやすいという面もあります。日々のコミュニケーションを通じて、患者の喜ぶ姿を見られたり、感謝の言葉を直接かけてもらえたりする機会も。このように患者と信頼関係を築きやすい環境に看護師としての充足感を抱く人も多いでしょう。

・ワークライフバランスを保ちやすい

日々の業務がルーティン化されており、予期せぬ残業やイレギュラーな事態が急性期などの病棟と比べると起きづらいため、ワークライフバランスが保ちやすいというメリットも。結婚、出産、育児、介護などライフステージの変化を経ても働き続けやすい、もしくはブランクから復帰がしやすいことも特徴です。

・さまざまな職種の人と連携できる

慢性期の医療は介護とも関わりが深いため、医療関係者はもとより介護関連の専門スタッフとの連携を求められる場面が多く、幅広い見識を得られます。

5 慢性期病棟の看護師に向いているタイプ

次に、どんなタイプの人が慢性期病棟の看護師に向いているのか見ていきましょう。

・看護師としての観察力やフィジカルアセスメントを高めたい人

慢性期病棟では患者や家族とじっくりと向き合い、日々の会話や動作から異変への気づき、QOLを重視した関わり、生活の場を意識した看護の実践が求められます。そのため、観察力やフィジカルアセスメントを高めたい、あるいはそういった力を生かして働きたい看護師にとっては活躍のシーンが多い職場でしょう。

・患者や家族に寄り添った看護を志している人

体のケアだけではなく、患者や家族の精神面にも気を配り、心の通った看護を実践したいという人にとっては、長期間にわたって密なコミュニケーションを取る慢性期病棟は、高いモチベーションを持って働き続けやすいといえます。

・じっくりと看護師としての知識や技術を身につけていきたい人

業務の特性上「常に時間に追われている」という状況が少ないことも、慢性期病棟で働く上での重要なポイント。忙しそうな先輩看護師や医師などに話しづらいということも少なく、わからないことをしっかり確認しながら業務にあたれる職場が多いです。着実に看護やケアの知識や技術を身につけたい人に向いているでしょう。

6 慢性期病棟での看護師の求人を探すには

慢性期病棟での仕事を望む場合、入院施設のある比較的大規模な病院などが主な勤務先に挙がります。求人サイトや転職エージェント、ハローワークなどに求人が出ていることが一般的です。

当サイト「ドクターズ・ファイル ジョブズ」では、慢性期病棟の看護師の求人を多数掲載しています。
エリアや駅、雇用形態はもちろん、「ブランクOK」「子育てママ在籍中」「退職金あり」などのこだわり条件でも絞り込めるので、自分が重視している条件で求人を探しやすいです。ぜひ活用してみてください。
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◇    ◇    ◇

今回は、慢性期病棟における看護師の仕事内容や一日の流れ、やりがいなどについてご紹介しました。
地域の医療・介護を支えるためには、慢性期医療が核となり、認知症ケアやターミナルケア、在宅医療などを支えていかなければなりません。高齢化が進む日本においては、在宅医療の拡充を考える上でも、慢性期病棟で経験を積んだ看護師への注目度はさらに高まることが見込まれます。慢性期病棟での経験は将来的にさまざまな医療・介護の現場で重宝され、慢性期の領域に精通した看護師に対する社会的な役割はますます高まるでしょう。

すでに慢性期病棟への転職を考えている人はもちろん、これまで慢性期病棟での仕事についてあまり考えたことのなかった人も、ぜひこの記事を、転職先を考えるヒントにしてみてください。

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こちらの記事の執筆者
花野 静恵

ライター

大学卒業後、編集制作会社でレジャー情報に関する雑誌編集、ウェブサイトの立ち上げに携わる。紙媒体の企画から執筆まで一貫して携われるステージを求めて北陸・金沢の出版社へ。30歳を機にUターンし、名古屋の編集プロダクションへ。2011年からフリーランスのライター、エディター、ディレクターとして医療や介護、レジャー、教育、スポーツなど多分野の情報発信を手がける。

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