病院やクリニックなど看護の現場で働いている人、あるいは勤務経験がある人、これから働きたいと思っている人の中には、皮膚科への転職を検討している人もいるのではないでしょうか。
皮膚科に関する疾患は身近なものです。自分自身のみならず家族を含め、皮膚に関する疾患や悩みを抱えて実際に皮膚科に通院している、または通院経験がある人も少なくないでしょう。
この記事では、皮膚科で働く看護師にフォーカスして年収や仕事内容、働くメリット・デメリット、美容皮膚科との違い、転職に役立つ志望動機の書き方に至るまで、皮膚科看護師について紹介します。
皮膚科の看護師に関心のある人はもちろん、皮膚科の仕事について知らなかったという人も、看護師としての選択の幅を広げるヒントにしてみてください。
<目次>
1 皮膚科の看護師の仕事内容とは?
皮膚科では、痛みや炎症など皮膚にまつわる病気やケガの診察、治療を行います。
主な対象疾患は、湿疹や水虫、乾癬(かんせん)、イボ、虫刺され、かぶれ、アトピー性皮膚炎など。症状に合わせて、治療薬の処方や外用薬、内服薬、注射、医療機器を使った治療など幅広い方法から選択されます。
●一般皮膚科の看護師の主な仕事内容
疾患に応じた医師による診療の補助や手術の介助、患者への薬の使い方や日々のケアに関する説明などが主な仕事になります。また、受付業務や薬品の在庫管理、待合室の整理整頓などクリニックが円滑に運営できるようなサポート業務も担います。
●一般皮膚科と美容皮膚科の仕事の違い
同じ「皮膚科」と名称がついているため、混同されがちな「美容皮膚科」。皮膚科と異なるのは治療の目的です。
皮膚疾患の治療を目的にする皮膚科に対して、美容皮膚科では、肌質改善や皮膚の美しさ、若々しさを保つことを目的にしています。主な対象疾患は、ニキビ、しみ、しわ、毛穴の開き、たるみ、脱毛など。美容の悩みに対し、レーザー治療などの最新医療機器による施術を行います。
皮膚科と行う治療が違うため、看護師の仕事内容にも違いがあります。美容皮膚科の看護師の仕事内容をみていきましょう。
医師の診療補助や備品・薬剤の管理といった一般的な看護業務以外に、美肌やエイジングケアのためのレーザー照射や美容注射といった施術を、看護師自身が実際に行う点が美容皮膚科の仕事の特徴です。
<美容皮膚科の看護師の主な仕事内容>
・医療脱毛や皮膚治療に関するレーザー照射
・ピーリングなどの薬剤塗布
・美容に関する注射や点滴
・皮膚に関する処置の施術や補助業務
名称は似ていても、美容皮膚科と皮膚科では、全然違う仕事である可能性は高いでしょう。
美容皮膚科に興味を持った人は「美容看護師」の記事をぜひチェックしてみてください。美容看護師の仕事内容や一日の流れ、働くメリット・デメリットなどを紹介しています。
2 皮膚科で働く看護師のメリット・デメリット
医師の診療補助や患者への説明業務がメインとなる皮膚科看護師の仕事。そのメリットとデメリットを紹介します。
●皮膚科で働くメリット
・ワークライフバランスが保ちやすい
勤務スタイルとしては、外来や通院する患者の治療がメイン。日勤が多く夜勤の可能性が低いため生活リズムが整いやすいというメリットがあります。
・精神的ストレスが少ないケースが多い
命に関わる重篤な疾患を扱うケースはほぼないので緊急的な対応を求められる可能性が低く、精神的なストレスを受けにくいと捉える人もいます。
・実生活に役立つ知識を得やすい
皮膚に関する知識は、ケガや火傷、虫刺されの処置やスキンケアなど日常生活でも生かせるため、自分自身や家族の皮膚ケアに役立てることができます。
・復職しやすい
日勤が多く、勤務時間が安定していることから、出産や介護などライフステージの変化に伴って一時離職していた人にとっても、復職しやすい環境といえます。 また、命に関わる疾患や患者の急変が少ないため、ブランクがあってもプレッシャーを感じるケースが少ない点もメリットです。
●皮膚科で働く看護師のデメリット
・残業が発生することがある
やけどやアレルギーなど突発的な症状で来院する患者の受け入れ対応が必要になり、予期せぬ残業が発生するケースもあります。
・感染リスクがある
帯状疱疹や水疱瘡、水虫など感染性がある疾患の患者も来院するため、外用薬の塗布時など、接触によって看護師に感染してしまうリスクがあります。
3 皮膚科で働く看護師の年収は?
他の診療科のクリニック勤務とほぼ同水準といえます。夜勤手当や手術手当がつかない職場の場合には、病棟勤務の看護師と比べて低めの水準になる可能性が高いです。
なお、「美容皮膚科」の場合は一般診療科のクリニック勤務に比べて年収は全体的に高めの傾向にあるといわれています。
背景として、美容に関する商品の販売業務が挙げられます。美容看護師として、ケア用品やドクターズコスメなどの物販販売が業務に含まれており、売上貢献額がインセンティブとして自身の年収に反映されやすい仕組があるためです。
4 皮膚科看護師に向いている人の特徴
どんなタイプの人が皮膚科看護師に向いているかをまとめました。
・コミュニケーションを取るのが好きな人
乳幼児から高齢者まで幅広い年代の人が来院するので、世代問わずさまざまな患者に対応できる能力が求められます。人と接することが得意な人、柔軟なコミュニケーションに自信がある人は向いているでしょう。
・細かな気配りができる人
皮膚疾患は見た目に現れるため、周囲の目を気にして悩んだり自信をなくしてしまったりと患者の心理的な負担に大きく影響します。
そのため患者の心身の状態に気を配り、気持ちに寄り添った丁寧な対応が求められます。細かいところまで注意が及ぶ人は力を発揮しやすいでしょう。
5 皮膚科看護師に転職する前に押さえておきたい知識
一般診療科とは異なる施術やケア、スキルが求められることも多い皮膚科看護師。
以下に、皮膚科へ転職する前に押さえておきたい知識をまとめます。
・皮膚に関する基礎知識
入職後に戸惑うことなく、スムーズに業務にあたるために、皮膚の構造や機能、発疹の種類や重篤な病気につながる重要なサインなど、皮膚科に関する基礎知識を事前に学んでおくと役立ちます。
・皮膚の治療やケアに関する知識
看護師としてのキャリアがある人が転職する場合や、即戦力として期待されている状況ならなおさらのこと、入職後に基礎研修やプリセプターが用意されていないケースも考えられます。
そのため、パッチテストや血液検査といった皮膚科の検査方法、外用薬の塗布、創傷管理など皮膚の治療やケアに関する知識や技術に不安がある場合は、業務を安全に行うために学習しておくと良いでしょう。
・皮膚疾患に関する知識
特に重要となるのが、命に関わるような重要な疾患や感染を引き起こす皮膚疾患に関する知識です。
命に関わるような重要な疾患とは、例えば皮膚がんや壊死性感染症などが挙げられます。皮膚がんは、皮膚以外に疼痛やかゆみといった症状が表れないこともあり、受診を先延ばしにしてしまう可能性も。がんの種類は非常に多いので、皮膚がんが疑われる状態を見逃さないように転職前に知識を習得しておくと役立ちます。
・感染症や感染対策に関する知識
皮膚科は、感染に対するリスクが高いため、感染対策に関する知識が求められる場面が多々あります。発症している皮膚に直接触るケースのみならず、皮膚病の原因がウイルスや細菌である場合、飛沫感染や接触感染によって感染が拡大することも考えられます。
そのため、感染経路の特定や院内での感染対策、家庭や職場、学校などの集団生活における具体的な感染対策も重要です。感染力や感染しやすい状況、潜伏期間など、皮膚疾患ごとに特徴が異なるため、しっかりと勉強しておくことをお勧めします。
6 皮膚科看護師への転職に役立つ志望動機
皮膚科への転職を希望する人の中には、ワークライフバランスが保ちやすい、重篤な患者と向き合う可能性が低く、精神的なプレッシャーが少ないなど働く条件や環境に魅力を感じている人も多いでしょう。
しかしそれだけでは、自分本位と捉えられることも。皮膚科が果たす役割や転職を希望する医療機関の特徴と、自分自身の経験や看護師としての志、意欲などを関連づけてアピールできる内容にしましょう。
以下に志望動機の例文を紹介します。例文を参考にしながら、自分自身の気持ちや言葉をしっかりと盛り込み、熱意が伝わる志望動機を考えましょう。
●皮膚科での勤務経験がある人
〈志望動機例〉
総合病院の皮膚科で5年間、皮膚に関する病気やケガの治療のサポート、手術介助などを経験し、やりがいを持って臨んできました。しかし、学生時代から関心の高かった美容の世界で力を試してみたいというかねてからの思いが高まり、美容皮膚科への転職を決意しました。
肌のトラブルや悩みを抱える人たちの思いに耳を傾け、ポジティブに明るく過ごしていくお手伝いができる美容皮膚科で働きたいという思いが大きくなる中、以前、患者として訪れた貴院のことが真っ先に思い浮かびました。患者一人ひとりと向き合い、不安に寄り添いながら患者の意思を尊重する貴院の姿勢に共感し、志望いたしました。
これまで学んできた皮膚に関する知識やスキル、皮膚科での経験を、憧れの美容医療の分野で生かしたいと思います。
●皮膚科での勤務経験がない人
〈志望動機例〉
一般診療科のクリニックで7年、看護師としての経験があります。結婚、出産を機に離職していましたが、看護師としての復職を考えるようになった時、真っ先に浮かんだのが皮膚科という選択肢でした。
仕事を離れて育児に専念している間、子どもがアトピー性皮膚炎だったため、皮膚科に通う機会が増えました。その中で感じたことは、子どもに限らず高齢者まで、幅広い世代の方にとって皮膚科がいかに日常生活と密接に関わっているか、地域医療にとって不可欠な存在であるかということです。
地域密着で患者とのコミュニケーションに重きを置き、健やかな日々のサポート、ケアをモットーとされる貴院で、幅広い世代の患者さんの皮膚疾患に寄り添っていきたいと考え、志望いたしました。
地域住民として自分自身が感じた皮膚科の重要性や、育児中における悩みや不安な気持ちも踏まえ、皮膚科の看護師という立場から多くの方に適切な情報を伝え、ケアにあたることで地域医療の役に立ちたいと考えています。
7 皮膚科看護師の仕事の見つけ方
今回は皮膚科の看護師の仕事内容やメリット、デメリットなどについて紹介しました。ワークライフバランスが保ちやすいことや、日常生活に密着した診療科である点などから転職先として魅力を感じる人も多い皮膚科。キャリアアップやライフステージの変化など、転職を考える際の選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
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・採血
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