【例文付】歯科医師の履歴書の書き方｜志望動機などの記入ポイントを解説

厚生労働省の「職業情報提供サイト」によれば、歯科医師の有効求人倍率は3.48（令和5年度）と高く、歯科医師が就職しやすい職業であることがうかがえます。
とはいっても、労働条件や働く環境が整っている歯科医療機関は人気があり、伴って競争率も高くなります。希望する就職先に採用されるために、自分の人となりを知ってもらう履歴書は重要な書類です。好印象や期待感を抱いてもらい就職活動を有利に進めるために、本記事では、歯科医師向けに伝わる履歴書の書き方を解説します。

1　履歴書とは？

履歴書は、応募者の住所や連絡先、学歴・職歴、資格、志望動機などを記入する書類です。自分がどういう人物なのかを、採用担当者に把握してもらうために提出します。面接では、履歴書に書かれた内容について質問されることがほとんどです。また、書類選考がある場合は、履歴書が合否の判断材料にもなります。

履歴書の提出は、特別なケースを除き、必須といえるでしょう。歯科医院を含めたすべての企業は、従業員の情報をまとめた「労働者名簿」の作成・管理が法律で義務づけられており、その作成に履歴書の情報が使われることが多いためです。

2　歯科医師の履歴書の書き方（志望動機・学歴・職歴など）

履歴書の書き方を項目ごとに解説します。各項目の書き方や証明写真のポイントを押さえておきましょう。

①日付（提出日）

ここに記入する日付は、履歴書を提出する日付です。書いた日付ではないので注意。面接時に手渡しする場合は面接日を、郵送の場合は投函する日を記入しましょう。

②証明写真

現像した証明写真を履歴書にのりづけします。パソコンやスマホアプリで作成した場合は履歴書データに画像をはめ込み、履歴書と一緒に印刷することが可能です。その際は、印刷したときに写真が粗くならないように、画質・データサイズには注意しましょう。 （手書き・パソコン・スマホでの履歴書の作成については次項で解説します） 証明写真の基本ルールについてまとめます。

証明写真の基本ルール

• サイズは「縦40ミリ、横30ミリ」が一般的。自動写真撮影機で撮影する場合は、「履歴書用」を選択すれば適切なサイズで撮影されます。
• 証明写真にプリクラやスナップ写真の切り抜きを使用するのはマナー違反。採用担当者の印象を悪くしてしまうので避けましょう。 
• 現在の見た目との印象をそろえるために、3ヵ月以内に撮影された写真を使いましょう。撮影後にもし「写真と本人が同一人物か認識しづらい」くらいに髪型を大幅に変えたときは、もう一度撮影するのがお勧め。また、普段眼鏡を使用している人は、眼鏡を掛けた状態で撮影しましょう。
• 最近は髪を染めているからといって選考が不利になることはあまりないといいますが、事前に入職を希望する職場の雰囲気を確認し、その職場に合った髪色にすると間違いがないでしょう。また前髪で目が隠れてしまうと表情が見えにくく暗い印象を与えてしまいます。顔がはっきり見える長さに前髪を整えて撮影しましょう。
• 履歴書に証明写真をのりづけするときは、万が一剥がれてしまった場合に備えて、裏面に名前（フルネーム）を書いておきましょう。その際は油性ペンなどで記入すると、のりで文字がにじんで見づらくなることが避けられます。

また、以下に証明写真の撮影方法やポイントを解説しています。撮影の際の身だしなみ・表情などについてもわかるので、チェックしてみてください。

③氏名

記入欄にバランス良く、読みやすい大きさで記入します。名字と名前の間には１文字分くらいのスペースを空けると、よりバランスが良くなります。

④生年月日・年齢

生年は西暦・和暦を提出日や学歴・職歴とそろえること。年齢は、提出日の時点での年齢（満年齢）を記入しましょう。

⑤住所・連絡先

自宅と緊急連絡先（実家など）の２件分を記入する欄が設けられていることが多いですが、自宅のみの記入でも問題ありません。ふりがなを振るのは番地の前の漢字のみでいいですが、建物名などで難しい漢字が使われているときはふりがなを加えておきましょう。

連絡先は、つながりやすい携帯電話のみでOKです。ただし、応募先からメールでのやりとりを希望されることがあるので、履歴書のどこかにメールアドレスも記入しておくのがベター。緊急連絡先の欄を使用していない場合は、そこにメールアドレスを書いても構いません。

⑥学歴・職歴

学歴、職歴の順で記入します。１行ずつ使用して「学歴」「職歴」とタイトルをつけた上で、書き出していきましょう。基本ルールは次のとおりです。

最新の職歴まで書き終えたら、在職中の場合は「現在に至る」と記入します。在職中で、退職日が決まっている場合は、「現在に至る（退職予定日〇年〇月〇日）」などと記入しましょう。

⑦免許・資格

免許・資格名は省略せず、正式名称で記入し、取得した年月日順に書きましょう。
資格・免許の後には、免許証が交付されるものは「取得」、合格証明書が交付されるものは「合格」、研修や講習を受講して認定証や修了証などが交付されるものは「修了」と記入します。
また、口腔外科専門医・歯周病専門医など学会認定専門医資格は自身の得意分野や強みをアピールでき、院長と同じ専門医資格を持っている場合などは、それをきっかけとして面接でスムーズな会話につながることもあるので、記入を推奨します。
また、取得している免許や資格が多く、すべてを書ききれない場合は、歯科医師の業務に役立つと思われる資格を優先的に記載するようにしましょう（実用英語技能検定、TOIEC、認定心理士、保育士、アロマセラピストなど）。

⑧志望動機

志望動機は、院長や採用担当者にとって、最も重視する項目であるといっても良いでしょう。

自分がどのように働きたいと考えているか、また自分を採用することで歯科医療機関にとってどのようなメリットがあるかを見極めるための重要な項目であり、面接でも必ずといってもよいほど聞かれます。

魅力を感じたところやなぜこの歯科医療機関で働きたいと思ったのか、今までの経験をどのように生かしていきたいのかなど、具体的に記入することで、意欲がしっかり伝わるような文章をめざしましょう。記入前に応募先のホームページや求人票で、歯科医院の特徴や診療方針、力を入れている治療などをチェック・研究することが大切です。余白が多いとやる気がないと思われてしまう可能性があるので、できるだけ枠内いっぱいに書くのが望ましいです。

⑨本人希望欄

基幹病院などでは矯正歯科や歯科口腔外科といった診療科ごとに歯科医師の所属が異なる場合があるので、そのときは配属希望の診療科をこの欄に書くと良いでしょう。

また、勤務時間に関して家庭の事情による希望を伝えたい場合、「親の介護のため」「子どもの送迎の都合で」というように具体的な理由を添えておくと、採用担当者も考慮しやすくなります。もし希望などが特にない場合は「貴院（貴法人、貴園、貴社）の規定に従います」と明記しておきましょう。

連絡が可能な時間が限られているときは、理由とともに連絡希望の時間帯を書いておくと◎。また、メールアドレスの記入欄がないフォーマットの場合は、メールアドレスをこの欄に書くのがお勧め。応募先がメール連絡を希望していた場合に、確認の手間が省けるので好印象です。

3　歯科医師の履歴書の作成方法（手書き・パソコン・スマホ）とサイズの選び方

応募先から特に指定がなければ、履歴書の作成方法やサイズはどれを使っても問題ありません。
「丁寧に書けば熱意ややる気をアピールできる」といった理由から、学校などで手書きの作成を指導されたことがあるかもしれませんが、パソコンとスマホで作成する場合にもメリットはあります。たとえば、データの保存ができることです。学歴や職歴、免許の取得年月など変更がない部分については、一度作成しておけばその後も使うことができ便利です。作成方法やサイズ選びに不安がある場合は、先方に作成方法の指定やサイズの規定があるか確認しておくと良いでしょう。

また、応募先への提出は主に2パターン。「印刷して持参」または「データ送付」の方法があります。

以下に、履歴書の作成方法（手書き・パソコン・スマホ）やサイズ選びについてまとめました。

●履歴書のサイズと選び方

履歴書のサイズは、真ん中で折り曲げたときの１ページ分の大きさとして、「A4」と「B5」の２種類があります。印刷の際は見開き２ページ分を１枚の紙で出力するため、横の長さを2倍にしなければなりません。

・A4……縦297ミリ×横210ミリ

 ※印刷のときはA3……縦297ミリ×横420ミリ

・B5……縦257ミリ×横182ミリ

※印刷のときはB4……縦257ミリ×横364ミリ

「A4」「B5」どちらのサイズを使っても問題ありませんが、「A4」の方が一般的で書き込める欄も広いので、迷ったら「A4」を選んだ方が良いでしょう。

手書き用に市販の履歴書を購入するときは、サイズ別に分かれているので使いたいサイズを選んでください。文書作成ソフトで作成する場合は、インターネット上で希望するサイズのフォーマットデータを使いましょう。アプリで作成する場合、サイズ設定の方法はアプリによって異なるので、アプリの使い方を確認してください。

各作成方法のメリットやデメリット、向いている人などについて、以下に詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。

4　歯科医師の履歴書フォーマットの種類と選び方

履歴書のフォーマットには複数のタイプがあり、記入欄の内容や大きさなどがそれぞれ異なります。「歯科医師の転職用はこれ！」と決まったものはなく、応募先から指定がない限りは、どのフォーマットを使用しても大丈夫です。ただし、人によって向き・不向きがありますので、本項を参考にして自分に合ったものを選んでみてください。

なお、文書作成ソフトやアプリは、「JIS規格」というフォーマットが多い傾向にあります。文書作成ソフトの場合は、インターネットで探せば他の種類も見つかりますし、自分で他の種類の体裁にカスタマイズもできます。一方、アプリはフォーマットの種類やカスタマイズに制限が設けられている場合もあるので、使いたいアプリの仕様を確認しておくと良いでしょう。

履歴書フォーマットの種類

履歴書には用途に応じていくつかフォーマットがあります。以下にフォーマットごとの特徴と使用がお勧めな人を紹介していますので、自分に合った適切な履歴書フォーマットを選んでみてください。

5 歯科医師の履歴書の提出方法

できあがった履歴書は、きれいな状態で採用担当者に読んでもらうことが肝心。せっかく頑張って書き上げたのに、汚れやしわのせいで印象を損ねてしまったらもったいないです。そのため、履歴書は新品のクリアファイル（無地）に挟んでおくようにしましょう。手書きの場合は、インクが乾いているか確認するのを忘れずに。インクが乾く前にこすって汚してしまい書き直すことになるのは実は「あるある」です。

なお、市販の履歴書では三つ折りで入るような小さい封筒がセットになっている場合もありますが、履歴書を必要以上に折り曲げるのは採用側で管理しづらくなるという面も。このような封筒は使用を避けるほうが無難かもしれません。

6　歯科医師は履歴書以外に職務経歴書も必要？

転職の場合、履歴書に加えて職務経歴書が必要な場合が多いです。志望先が職務経歴書は必要なしと明示していなければ、基本的には職務経歴書も用意した方が良いでしょう。
履歴書は、応募者がどういう人物なのかを採用担当者に知ってもらうための書類であるのに対し、職務経歴書は、応募者が今までどのような職場でどのくらいの実務経験があるのか、どのようなスキルを持っているのかを具体的に示すための書類です。
また資格や免許について詳しく述べることができます。短い面接時間の中では、自分の今までの経験やスキルのすべてを伝えきれない場合もあるため、職務経歴書を用意することで、履歴書には書ききれなかった部分や自分の仕事に対する熱意をアピールできるでしょう。
 

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ここまで、歯科医師のための履歴書の書き方について紹介しました。この記事でお伝えしたコツを踏まえて、採用担当者の印象を良くする履歴書をめざしてください。

また、転職活動で大切なのは、「いつまでに転職したいか」を決め、その希望時期に向けた計画をしっかりと立てて、一つ一つのステップを進めることです。無計画に進めると、せっかく決まった転職先でも「結局合わなかった……」という残念な結果を招きかねません。
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