松江歯科口腔外科クリニック (松江市／乃木駅)
石倉 信造 院長の独自取材記事
松江市乃木福富町、高校や住宅などが立ち並ぶ県道24号線沿いに「松江歯科口腔外科クリニック」はある。2023年12月1日に開業した同院は、歯科口腔外科を専門とし大規模病院で長く研鑽を積んできた、石倉信造院長が診療する歯科口腔外科に特化したクリニックだ。いわば歯科口腔外科のエキスパートである石倉院長がクリニック開業に至ったのは、地域の歯科医療を底上げし、後継育成から歯科医師の知見や技術も向上していきたいという強い想いから。「培ってきた技術を余すことなく提供し、地域に貢献していきたい」と話す石倉院長。松江市立病院の歯科口腔外科部長まで務めた経験も持つベテランでありながらも、気さくでフランクな人柄の石倉院長に、開業のきっかけや、今まで積み上げてきた歯科医師としての経験、診療時の心がけなどを聞いた。
技術を惜しみなく提供し、広く地域の患者に貢献したい
開業されたクリニックの特徴を教えてください。
大きな病院の歯科口腔外科で研鑽を積んできた実績を生かして、歯科口腔外科に特化したクリニックを開業いたしました。症状や患者さんの状態などにもよりますが、一般のクリニックでは難しいような外科的な治療のほか、一般歯科でもお困りのことがあればできる限り対応できたらと思っています。当院は入院設備こそありませんが、歯を抜くといった日帰りの外科的な治療を行うことが可能です。外科的な治療は怖いイメージをお持ちの方も多いと思いますが、長年の経験を生かし、安心・安全な治療提供に努めてまります。当院で治療が難しい場合には市立病院などに紹介するケースもありますが、連携はしっかりと取れていますのでご安心ください。歯とお口周りのことを相談できる場所として、お困りなことがあれば気軽にお越しいただきたいですね。
開業をしようと思われたきっかけは何だったのでしょう？
長年、歯科口腔外科を専門として「地域に貢献したい」「後継への技術指導に尽力したい」との想いを持っていました。そうした私自身がやりたいと思い描いていることを自由に行っていくためには、開業しか選択肢はないのではないかと思ったんです。そのためにクリニックでの技術指導も積極的に行っていければと考えています。すでに当院で研鑽したいという先生もいるんですね。ご自身が学びたい治療や症例の時だけなど、普段のお仕事と両立できる形でお越しいただけたらうれしいです。多くの歯科医師の先生方が外科的処置の治療技術を習得してくれたらと思っています。私の持っている技術を惜しみなく提供していきたいです。
石倉院長が歯科口腔外科を専門とされたのはなぜですか？
歯学部の頃、私の知り合いに口唇口蓋裂を持つお子さんがいる方がいらっしゃったんですが、その方から「鳥取大学で手術をするので立ち会ってくれないか」と相談がありました。大学の歯科口腔外科に行って立ち会ってもいいか聞いてみたところ、ご快諾いただきまして。白衣も貸してくれて、手術だけでなく外来も見せてくださったんですね。手術の後、「次の日もおいで」と声をかけていただいたのを皮切りに、気がつけば3年生から5年生まで3年間、鳥取大学の歯科口腔外科に足しげく通う日々を過ごすことに（笑）。学生実習が始まった頃には、外科的なことは大体こなせるようになっていました。また、松江市立病院での勤務時代には、きっかけとなった患者さんの口蓋裂を治すための仕上げの手術に携わらせていただきました。後に、結婚したとの報告を受け、改めて喜びを噛みしめましたね。そうしたご縁がつながって、今の私を培っていると思っています。
患者と向き合い、長く付き合える歯科医師でありたい
設備や院内のこだわりはありますか？
骨を切ったり削ったりするような超音波メスをはじめ、歯科口腔外科の治療における基本的な設備は整えています。そのほか、インプラント治療を行うための機器や、歯科用CTももちろん配備しています。また、感染対策として、口腔外バキュームも備えています。院内は開放感を持たせるためにも、個々のユニットを広めに設置しています。密室ですと緊張感がどうしても出てしまいますのでね。プライバシーは守りながら、全体的に広々とした空間になるように意識しました。
歯科口腔外科において行う治療はどういったものがあるか教えてください。
病院勤務の中では、手術はもちろん、歯や口周りの幅広い症例の診療や治療、管理に携わってきました。例えば、先ほどお話しした口蓋裂や、顎変形症といった先天的な異常の治療も多く行ってきました。骨を切ったり、顎や歯の位置を正しい状態に矯正していったりすることで「きちんと噛める状態」をめざす治療ですね。また、口腔がんも歯科口腔外科の領域。お口の中や舌にある腫瘍の診療や処置も対応します。一方、一般歯科の領域でも、糖尿病や慢性的な心臓病といった基礎疾患をお持ちの方は治療時のリスクが高いので、歯科口腔外科の仕事になるケースも。ほか、入院患者の口腔ケア、進行した歯周病の外科的な治療、治療困難な症例の入れ歯やインプラントの手術なども行ってきました。入院設備がないので大がかりなものは病院へ紹介する形になりますが、日帰りでできる外科的処置はクリニックでも対応可能です。気になる症状があればお気軽にご相談ください。
診療で心がけていることは？
まずは患者さん自身の希望をきちんと満たしていくということですね。患者さんが満足のいき、そして健康を保たせるための治療を提供していきたいと思っています。今まで35年間勤務医として働いてきましたが、勤務医の仕事は紹介状どおりの治療を提供して、指示された仕事をきちんと行うということが主だったんです。ですので、これからは患者さん自身の抱いている想いをくみ取り、できることとできないことを丁寧に説明して納得していただいた上で、治療をするということを大切にしていきたいと思っています。一人ひとりの患者さんと実際にしっかりと向き合って、患者さんとより深く、長く付き合っていけたらうれしいですね。
歯科口腔外科の技術を駆使し、質の高い医療の提供を
これからどういう相談を受けていきたいですか？
治療が難しいと諦めていた方に、新しい選択肢を提示していきたいと思っています。例えば、インプラント治療は骨がないとできないのですが、その骨を増やすために移植したり、誘導・延長を図る技術があるんですね。この造骨するという技術はまだクリニックではポピュラーではないので、当院で受け入れることで地域に貢献できるのではと思っています。他院で断られたものでも当院で治療可能な場合もありますので、一度ご相談いただけたら幸いです。ほか、歯周病の治療だと、一般的にご自宅でのブラッシングや、院内での定期ケアによる歯石除去が主ですが、それ以外に外科的な処置でもできることがあるのではと考えています。歯ぐきを切開して歯根の歯石や細菌を除去する処置のほか、歯周病で欠損してしまった骨の再生治療などからお役に立てたらうれしいですね。ここで例を挙げたもの以外にも、歯やお口のことでお困りなことがあればお気軽にご相談ください。
石倉院長ご自身の健康の秘訣をお聞かせください。
趣味の水泳ですね。最初は25メートルくらいしか泳げなかったんですが、2年間週3のペースでプールに通って、今は1時間でも2時間でも泳ぎ続けられるように。きっかけは禁煙で、心肺機能を向上できたらと思い始めました。実際に通ってみると、小さい頃から習っていらっしゃるご高齢の方が、私よりも長く泳いでいて、しかもスピードも速いときましてね（笑）。どうしてそんなに泳げるんだろうと思い、それからはひたすらに泳ぎ方を勉強しました。インストラクターの方のご指導のおかげで、今やその方たちを追い抜いて、先頭きって泳げるようになったんです。あとは、ダイビングも好きです。ライセンスを取得し、深くまで潜って海の中のいろんな生物を見て楽しんでいます。
読者の方にメッセージをお願いします。
歯やお口でお困りなことがあれば、お気軽にご相談ください。私は目がぎょろっとしているところがあるので、厳しいことを言われそうと思わせてしまうのか、話しかけにくい人に見えてしまうようなんですね。実際は話好きで、いろいろ関係ないことや冗談も言いがちな性格なので、気を楽にしてお越しください。気軽に声をかけてほしいのは、歯科医師の先生方も同様です。今まで積んできた経験や知識が、この地域の歯科医療の向上に少しでもつながればと思っています。
