代々木上原矯正歯科 (渋谷区／代々木上原駅)
澤田 亜理沙 院長の独自取材記事
代々木上原駅東口から徒歩1分。洗練された街の雰囲気に溶け込んだ、シックな外観が印象的な「代々木上原矯正歯科」。白い壁にナチュラルウッドの床材を用いた院内は、シンプルながらも温かみのある空間。通院期間が長くなる矯正治療専門の歯科医院だからこそ、診療スペースを広めに取るなど患者がリラックスして治療を受けられるよう環境を整えている。澤田亜理沙院長は、東京医科歯科大学卒業後、同大学歯学部附属病院で診療しながら大学院で咬合機能矯正学を専攻。小児矯正から成人矯正まで、難症例も含め幅広く研鑽を積んだ矯正治療のスペシャリストだ。「矯正は患者さんの協力がなければ進めることのできない治療です。信頼関係を築けるようコミュニケーションを大切に診療しています」と語る澤田院長に話を聞いた。
機能と審美、両方を兼ね備えた矯正歯科治療の提供を
まずは開院までのいきさつを教えてください。
大学病院で勤務した後、矯正専門の歯科医師としてフリーランスの立場でさまざまな歯科医院に出向いて診療経験を積みました。たくさんの患者さまを担当させていただいたのですが、患者さまが増えても、私がその歯科医院に通える日数には限りがあり、装置の不具合などの小さなトラブルへの対処を自分でして差し上げられないこともありました。いつでも来院していただける場所があれば、私も責任を持って診療ができ、患者さまにも安心して通っていただけるのではないかと思い、2019年に開院しました。お子さまから成人の方まで幅広い世代の方が来院されていますが、どちらかといえば成人の患者さまが多いですね。代々木上原駅から近いので、地域の方だけでなく電車で通院されている方もおられます。
矯正治療を受けるメリットを教えてください。
矯正は歯並びをきれいに整えるための治療というイメージが強いかもしれませんが、本来は噛み合わせを正しくするためのものだと考えています。噛み合わせが正しく整えば、噛んだ時の力のかかり方に無理がなく、お口全体に均一な力がかかるようになることが望めますから、歯の健康を長く維持することにもつながります。また、歯列のでこぼこがなくなれば日々のケアの中で磨き残しが少なくなり、虫歯や歯周病のリスクも格段に減っていくでしょう。「機能美」という言葉があるように、歯並びが整えば見た目がきれいになるだけでなく、しっかり噛むという歯の機能の改善にもつながります。矯正治療は、できるだけ長くご自分の歯で健康な生活を送っていただくための治療といえます。
矯正治療にはいくつか種類がありますが、どのように選べば良いでしょうか？
成人女性では、目立ちにくい裏側のワイヤー矯正やマウスピース型装置を用いた矯正に興味を持たれる方が多いですね。特にここ数年、マウスピース型装置を用いた矯正を希望して来院される方が増えています。マウスピース型装置を用いた矯正は、少しでこぼこしている、歯と歯の隙間があいているなど、1本1本の歯の動く距離が短い症例に適した方法です。食事や歯磨きの時は取り外すことができるので、治療中のストレスが少ないのがメリットですが、適用できる症例は限られています。また、日中、長時間装着する必要があるので、それが可能かどうかも適用を判断する要素の一つです。
長期にわたる治療を支える患者とのコミュニケーション
コロナ禍で患者さんのニーズに変化はあったでしょうか？
コロナ禍でマスク生活になり、「口元が隠れる今のうちに」と歯列矯正を始める成人患者さまが増えましたね。また、2023年3月からはマスクの着用が個人の判断となり、マスクを外す機会が増えたことで改めて歯並びを意識する方もいらっしゃるようです。コロナ禍以前は目立ちにくい裏側矯正を希望する方が多かったのですが、コロナ禍では表側矯正を選ぶ方が増えた印象があります。表側矯正は外から見えることが最大の欠点ですが、他の方法と比べると矯正中に虫歯になってしまうなどのトラブルが少なく、治療がスムーズに進みやすいのがメリットです。なるべく短期間で治療を終わらせたい方には、表側矯正をお勧めします。
小児矯正についても教えてください。
小児矯正は、まず拡大装置を使って顎を広げることをめざし、スペースができたらすでに生えている永久歯の前歯をきれいに並べて、その後、顎の成長誘導を行うケースが多いですね。広げる・並べる・成長誘導するという3段階で矯正装置を変えていきます。また、お子さまの場合は保護者の方とお子さま双方の治療に対するモチベーションを確認します。お子さまが歯並びを多少でも気にしていれば前向きに取り組んでもらえますが、抵抗感が強い場合には治療を急ぐより時期を待つことも大事。とはいえ、小児矯正はお子さまの顎の成長に合わせて歯を動かしていきますので、スタートのタイミングは重要です。永久歯の前歯が生えそろう8歳前後に始めたほうが良い場合もあれば、永久歯が生えそろってからの治療をお勧めすることもあります。お子さまによって適切な時期は違いますから、歯並びに気になることがあれば早めに矯正専門の歯科医院に相談されると良いでしょう。
治療期間が長くなると、患者さんのモチベーションを維持するのが大変では？
そうですね。私も中高生の頃に歯列矯正を受け、治療を面倒だと思ったこともありましたから、患者さまの気持ちはよくわかります。当時、部活で楽器を吹いていたのですが、矯正の器具をつけると違和感があり、音色も変わってしまうような気がして必死に練習をした覚えがあります。そんな自分の体験談を交えてお話しすることで、患者さまの気持ちを和らげ、治療に対して前向きになっていただけたらと思っています。また、お子さまの場合は、装置を好きな色で作って名前を入れたり、ワイヤーを止めるゴムをカラフルにしてみたりとカスタマイズすることで、興味を持って取り組んでもらえるよう工夫しています。矯正は患者さまの協力がなければ治療を進めることはできません。患者さんと二人三脚で進めるつもりで、日々気持ちを理解し信頼関係を築けるように心を砕いています。
「矯正治療のことなら」といわれる歯科医院をめざして
そのほか、力を入れていらっしゃることはありますか？
矯正装置をつけていると虫歯になりやすいので、治療中の虫歯予防には力を入れています。当院では通院のたびにクリーニングを行っていますが、予防の基本は毎日の歯磨きです。お口を拝見してきちんと磨けていないところがあれば、歯ブラシの当て方などを具体的にお伝えします。治療開始時に、装置をつけていても使用できるデンタルフロスや歯ブラシなど、お口のケアに必要なセットを一式お渡しします。それから、当院は保険適用の矯正治療にも対応しています。矯正治療は基本的に自費診療ですが、顎変形症や唇顎口蓋裂など先天的な病気が原因の歯並びや噛み合わせの異常に対しては、保険が適用されます。顎が大きく出ている、曲がっているなど、悩んでいる方もいらっしゃると思います。ぜひ一度相談していただければと思います。
先生が歯科医師をめざした理由と、矯正を専門に選んだ理由を教えてください。
最初は漠然と、「将来は何か人の役に立つ仕事に就きたい」と思っていたのですが、身近に女性の歯科医師の存在があり、さまざまな話を聞くうちに歯科医師という職業に憧れを抱くようになりました。また、自分が矯正を体験したことも大きかったですね。矯正期間中は面倒に思うこともありましたが、装置を外した後、先生がビフォーアフターの写真を見せてくださったんです。それを見た時は素直に驚きましたし、感動しました。「受けて良かった」と親に感謝しましたね。歯科医師になってからは、専門的な知識がないと携われない矯正の奥の深さに魅了されて、ここまでやってきたという感じです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
矯正治療には時間がかかりますが、整った歯並びと噛み合わせは、その人の生活やこれからの将来に、確実に良い影響を及ぼしてくれると思っています。私がめざしているのは、「矯正なら良い歯科医院を知っているわよ」と患者さま同士のご紹介で、輪が広がっていくような歯科医院です。治療完了まで通い切っていただけるよう、一人ひとりの患者さまのご希望に寄り添った、親身な診療を心がけています。矯正専門の歯科医院に敷居の高さを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、普通の歯科医院と同じように気軽にご相談いただければと思います。
