やまなか歯科医院 (安芸郡府中町/天神川駅)
山中 威典 院長の独自取材記事
天神川駅近く、府中町役場やイオンモール広島府中があり多くの人が行き交う場所に「やまなか歯科医院」はある。院長の山中威典(やまなか・たけのり)先生は、医療を通じて人と関わる仕事がしたいと歯科を志し、大学病院勤務や米国留学を経て、2007年に同院を開業。専門分野の補綴や歯周病治療に加え、口腔内の菌を確認する位相差顕微鏡解析システム、3D口腔内スキャナー、レーザーなどの先駆的な機器を駆使しながら、質と精度にこだわった治療を提供。患者に寄り添う「One to One」の診療姿勢で地域医療と向き合っている。また、現在も勉強会に参加したり、歯科医師会の活動では自ら講演会を企画したりと、技術の研鑽にも余念がない。そんな山中院長に、歯科治療に関する想いや診療時に大切にしていることについて、詳しく話を聞いた。
高い専門性で包括的治療を実現
先生は府中町のご出身だそうですね。
はい。府中町で開業したい気持ちはかねてからあり、大学や留学先などで13年ほど研鑽を重ねて2007年に開業しました。アメリカ留学から帰ってきて数年たった頃、このクリニックビルが建つ際に開業のお話をいただいたんです。ちょうどいいタイミングだったので、この場所に決めました。ビルに入っている内科と小児科の医師は、偶然にも高校の先輩です。医療は連携が大切なので、患者さんを紹介し合うなど、濃い関係性を築いています。患者さんは地元の方が多いですが、私が大学病院にいた当時から来てくださっている方もいますね。アクセスの良さもあり、隣の山口県や岡山県から電車で来られる方や、姫路や愛媛県など、遠方から来てくださる方もいます。
歯科医師を志したきっかけは?
もともと人と関わることが好きで、医療の世界で何がいいかと考えて出た結論が歯科でした。歯科は治療することはもちろん、訪問診療もできるし、外科的処置や栄養指導もできます。そうした意味で、幅広く人と関われるのではないかと考えました。例えば、小学校に行って食育の指導をするなど、自分次第でやろうと思えば何でもできる。そうして「多くの人と関わる」という意味での可能性の広さを感じたことから、歯科の道を選びました。
専門は補綴や歯周病の治療だと伺いました。
まずは歯科治療の基本である、「削る」、「かぶせる」という技術を身につけなければと感じ、補綴の専門性を高めることに専念しました。しかし、治療を続けていくうちに、歯並びが原因となっているケースが多いことを実感したんです。歯列が整っていないと、凸凹した箇所、歯が重なった部分はブラッシングがしにくく、汚れをしっかり取ることができません。それが虫歯や歯周病の原因になっています。そこで、削る前になんとかできないかという思いがだんだん強くなり、歯列を整えるための矯正や、歯周病についても研鑽を重ねました。現在、当院では小児矯正やマウスピース型装置を用いた矯正をはじめ、矯正専門の歯科医師も在籍しており、成人の矯正にも対応しています。ほかにも、口腔内の菌を確認できる位相差顕微鏡を導入し、予防歯科にも力を入れています。
「One to One」で患者に寄り添う治療を提供
クリニックでの治療の流れを教えてください。
初診の場合は問診後、専用ルームでカウンセリングを行います。当院のモットーは「One to One」なので、患者さん一人ひとりの具体的な症状や、今まで受けた治療で気になった点など、お話を詳しく伺います。その後、精密な治療のために顕微鏡検査、エックス線検査、歯周病検査、口腔内の撮影などを行い、情報を集めた上で治療へ。その後、問題がなければ定期検診に移行しますが、位相差顕微鏡を使った口腔内の菌の検査は検診時も行っています。私たちも患者さんも、このようなデジタル機器を使って可視化し「菌が減った」と確認できれば安心ですよね。口腔内の菌は体内に入ると、血圧上昇や糖尿病の原因になったり、心臓に悪影響を与えたりすることもあり、放置すると危険です。全身的な健康を守ったり、体の免疫力を高める意味でも、位相差顕微鏡での菌の確認をとても重視しています。
「One to One」について詳しくお話を聞かせてください。
患者さん一人ひとりの背景を知った上で治療しようという姿勢を、当院では「One to One」と呼び、スタッフ全員で徹底しています。歯科は定期的に患者さんが来院するので、生活や背景を踏まえて治療ができる仕事です。そのため受付もローカウンターにして椅子を設置し、話しやすい空間にしました。すると次回の来院予約をする際に「孫の運動会がもうすぐ」や「旅行に行く」といった踏み込んだ話につながることがあります。そんな会話を通し「では治療はこうしましょう」「これを使ってみてはどうですか」と、患者さんの生活に寄り添った治療が提案できる。次に来られたときも「どうでしたか」と、さらなるコミュニケーションが生まれます。個々の患者さんにあった健康で生き生きとした生活を支えるために「One to One」を大事にしています。
バリアフリーの面でも患者さんに寄り添う環境になっていますよね。
患者さんが大変に感じることは、できるだけ解消したいという思いがあり、15年前の開業時からバリアフリーを意識した内装にしました。入り口にはスロープがあるので、車いすだけでなく、ベビーカーの方もスムーズに院内へ入れますし、そのまま診察室やエックス線検査室まで行くことができます。また、トイレにはバリアフリーはもちろん、大きめのおむつ交換台を設置しています。授乳が必要な場合はカウンセリングルームを使用いただくことも可能です。すべては「体に優しく、心に優しく」接する歯科でありたいという思いからですね。
新たな技術を取り入れながら、体に優しく・心に優しく
治療面での設備についてはいかがでしょう。
当院が導入しているレーザー治療機器は、切開などで用いることで歯茎の腫れを抑え、インプラント治療後の早い治癒につなげるために取り入れています。深くまで浸透するレーザーですので、炎症が深い場合でも外からのレーザー照射が可能です。患者さんの負担の軽減も期待できるため、治療や手術に用いています。ほかには、歯型を採る際に迅速かつ精密に撮影ができる3D口腔内スキャナーをはじめとしたデジタル機器や、マウスピース型装置を用いた矯正専用のシステムなど、幅広く導入しています。
ところで、先生のご趣味は何ですか?
所属している歯科医師会でソフトボール大会があり、仲間に誘ってもらって楽しんでいます。大学生の時にアメリカンフットボールをやっていた影響か、スポーツ観戦も好きですね。あとは船の免許も持っているので、海へ出てスキューバダイビングや釣りを楽しむことも多いです。趣味が多いわりに勉強会などが忙しく、正直あまり時間はありません。ただ、歯科医師会の活動で自ら講演会を主催することは、自分のためにも皆のためにもなって医療が盛り上がりますし、仕事の活力になります。趣味に時間がとれない忙しい中でも、そうした機会のおかげで仕事に前向きに取り組むことができていますね。
医療に対し、常に前向きな姿勢で取り組まれているのですね。
年々、この仕事が楽しくなってきています。日進月歩で医療が進歩し、新しい機器や技術が活用できれば「今までずっと悩んでいた患者さんが、これを使ったらより良くなるのでは」「これからの患者さんの治療により役立つのでは」と、希望や将来への見通しを持つことができます。例えば、今まで半年かかっていた治療が3ヵ月で済んだり、患者さんの負担が軽くなったりすれば私もうれしいですし、そこに医療へ打ち込んでいく楽しさを感じていますね。
今後の展望について教えてください。
私は大学病院で、補綴の難症例を多く経験してきました。留学先や大学院で培った専門性も含め、それらを治療により生かしていきたいです。当院は矯正専門の歯科医師も在籍しているため、レベルの高い治療を提供できる体制が整っています。そんな専門性を強みとしてさらに伸ばし、患者さんに提供することが第一です。そして忘れてはならないのが「One to One」「体に優しく、心に優しく」という、当院のモットーです。デジタル機器を積極的に導入して技術がどれほど進歩しても、そこに心がなければ治療は意味をなさなくなります。理念に賛同してくれるスタッフとともに、患者さんを大切に思う心の部分はそのままに、専門性や知識、技術を高めていきながら診療することを今後も心がけていきたいです。