古賀矯正歯科クリニック (世田谷区/喜多見駅)
古賀 仁朗 院長の独自取材記事
小田急線喜多見駅から徒歩約2分、アクセスの良い住宅街の中に「古賀矯正歯科クリニック」はある。緑が多く、落ち着いた外観の建物の戸を開くと、気さくで明るい古賀仁朗院長が迎えてくれた。父の古賀正忠理事長の代から20年、子どもから高齢者まで地域の人に親しまれてきた。感染管理に専門的な知識を持つ歯科衛生士や、食育の面から食事指導を行う歯科医師も在籍。患者を丁寧にフォローすることで、「矯正治療への不安や器具を取りつけることによるリスクを軽減したい」と古賀院長は話す。徹底した検査でトラブルの原因を突き止め、画像を示しながら現状や治療内容を患者に理解してもらう努力も怠らない。2023年10月、理事長から同院を受け継いだ古賀院長。歯科医師としての想いや、診療方針をたっぷりと語ってもらった。
徹底的な検査で状況を把握、矯正時のリスク軽減を図る
まず、歯科医師をめざした理由を教えてください。
当院を開院した現理事長の父の背中を見て育ったのが一番大きいと思います。祖父も叔父も歯科医師だったので、幼い頃から仕事ぶりを目にすることが多くありました。素晴らしい仕事だなと感じていました。私は2009年からこのクリニックで勤務していますが、実際、とてもやりがいのある仕事だと感じています。
2023年10月から、院長に就任されました。これまでにどんな経験を積んでこられたのでしょうか。
鶴見大学歯学部を出た後、当院に入職しました。その後、アメリカに行き2年間勉強しました。約1週間のセッションが計6回あるのですが、アジアやヨーロッパ、各国から歯科医師が集まっていて、とても刺激になりましたね。矯正の分野では、基本となるストレートワイヤー法を世界に広めた歯科医師がアメリカにいて、その歯科医師のもとで学びました。今はマウスピース型装置を使用した矯正もよく使われますが、やはりベーシックな基本を知っておかなければならないという意識です。症例の発表もあり、各国の歯科医師からの評価をもらうことが、患者さんに良い医療を提供できているか、自分の現在地を知る機会にもなりました。テクニカルなことはもちろんですが、探究心を持って研鑽を積み続けること、この大切さを改めて学ぶことができましたね。
貴院の特徴を教えてください。
検査に力を入れています。検査は2回実施します。1回目はレントゲン写真の撮影と口腔内スキャナーを使って歯の状態を見ていき、2回目は唾液の分析をします。唾液の質を見て、虫歯や歯槽膿漏のリスク、口の中が清潔かどうかを調べます。その後、歯の汚れ具合を見ます。染色液を使って、新しい歯垢と古い歯垢を判別し、歯磨きの癖を見極め、これらの結果を患者さんに伝えます。矯正器具をつけると、口内炎や磨き残しといったリスクが生じやすくなりますから、現状を把握し、リスクを軽減することが狙いです。さらに、生活習慣についてお伺いするアンケートも実施しています。シュガーコントロールなど食事指導につなげることもあり得ますね。こうしたことを徹底する理由は、口の中のトラブルの原因を突き止めるためです。それに、歯がきれいになると患者さんのモチベーションも上がってくるのではと思っています。
食育の面から食事指導も実施し、丁寧な説明に注力
説明にも力を入れているそうですね。
矯正歯科で使われるシミュレーションソフトを用いて、画像を示しながらお話ししています。エックス線写真で現状をお見せするのはもちろん、設計図を描いて、どんなゴールに導いていくかをお伝えしています。治療の流れを見える化することで、患者さんに理解していただけるように努めています。また、経過報告も丁寧に行っています。治療前の歯並びは意外と忘れやすいので、2ヵ月に1回程度、お口の中の写真を撮って記録し、患者さんにご覧いただきます。変化が見えると治療のモチベーションも上がりますよね。また、年に1回はエックス線を撮っています。特に成長期のお子さんは、上顎・下顎が成長しますので、保護者の方もお呼びして、一緒に状況を確認しながら矯正を進めていきます。また、今どのくらい歯が動いたのかを具体的に写真や画像を見せながら、どのくらいで治療が終了することが見込まれるのかなどをわかりやすくお伝えするようにしています。
スタッフさんの強みを教えてください。
妻である古賀ゆかり先生が食育について専門的に学んでいます。矯正器具をつけると、食べにくくなる場合がありますよね。そうしたときに、どのような食事をしたほうがいいかアドバイスをもらっています。食べやすいメニューをお伝えして、少しでも食事の負担を軽くできればなと思います。また、感染症や衛生管理に特化した知識を持つ歯科衛生士も在籍しています。衛生管理も徹底しておりますので、安心してご来院いただきたいです。またスタッフ間の仲が良く、情報共有も頻繁に行っています。治療方針については、意見がまとまるまでとことん議論を尽くします。父も、ともにクリニックを支えてきた母の古賀忠佳子先生も率直に意見を伝えてくれるので、参考になりますね。当院は今年で開院から20年を迎えました。歴史が長い分、たくさんの症例に対応してきた実績があります。父と意見を出し合いながら、日々治療にあたっています。
患者層はいかがですか。
やはりお子さんはかなり多いですね。お子さんだと、粘土のような材料を入れて行う型採りができない場合があるので、口腔内スキャナーを使うなど負担を減らす工夫をしています。矯正装置もいろんな種類があるので、それぞれのお子さんのニーズや性格に合わせた選択肢を取るようにしていますね。女性の患者さんも多く、全体の7割くらいを占めているでしょうか。ご高齢の方もいらっしゃいますよ。70代になって、ずっと悩んでいたけれどようやく決断して来ました、というケースがあります。うれしいですね。矯正治療に踏み出せない理由としては、痛みや金額のこと、歯磨きのしにくさなどがあるようですね。確かに大変なこともありますが、それらを軽くするための努力をしていますので、ぜひ一度相談に来ていただけたらと思います。
密なコミュニケーションで適切な治療法を提案
診療方針を聞かせてください。
患者さんにとって適切な方法を提案することでしょうか。患者さんに希望があったとしても、それが本当に理想とするゴールにたどり着くためになるのか、しっかり検討します。例えば、マウスピース型装置を用いた矯正を希望されていても、状況によってはワイヤー矯正のほうが適切という場合があります。その際は、患者さんが納得されるまで丁寧に説明をします。患者さんのお話はもちろんしっかりと聞いておりますが、やはり歯科医師として、より良い方法をご提案することも必要だと感じています。
患者さんと接するときに心がけていることはありますか。
「笑ってグッバイ」です。患者さんに笑顔でお帰りいただけるようにしたいな、と考えています。そのためにはコミュニケーションを密に取って、話し合いながら矯正を進めることが大切だと思います。患者さんは、受付でぽろっと本音をこぼすことがあるんですね。帰り際に「今日の治療はこう思った」など、そういったことを聞き逃さないように、みんなでフォローしながら対応しています。また、私としては患者さんを家族と同じように考えているんですね。今、自分の子どもが5歳なのですが、「もし患者さんがこの子だったら」という視点で考えるようにしています。
最後に、今後の展望をお願いします。
やはり、良い歯科医師になりたいです。経験を積んで、患者さんに良い歯科医療を提供できるよう、ますます精進していきます。矯正を受けるか迷っている方には、ぜひ気軽にご相談いただきたいです。確かに矯正には大変な面もあります。患者さんがその壁を高く感じすぎないように、こちらも努力していきたいですね。お子さんが通院を始めたことを機に、ご両親を含め家族みんなで通院されるケースも結構ありますよ。そのためのサポート制度も用意しています。ぜひ一度ご来院いただけるとうれしいです。